金木犀(キンモクセイ)の育て方

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キンモクセイの基礎データ

キンモクセイ
科名
モクセイ科
属名
モクセイ属
学名
Osmanthus fragrans var. aurantiacus
別名
金木犀
耐寒
マイナス10度
水やり
水を好む
場所
外の日なた
難易度
中級者向け
キンモクセイの開花時期…植え付け・植え替え時期…肥料時期…剪定時期…月別スケジュールです。

金木犀(キンモクセイ)とは?

金木犀(キンモクセイ)はモクセイ科の常緑低木沈丁花クチナシ、キンモクセイが三大香木。その中でも秋を代表する香りのよい花木といえば、このキンモクセイ。この香りには食欲を抑える効果があるとされます。公園樹、庭木として人気があります。

肥沃な土地で育ち、大きく育ちますが、成長速度が遅いです。排気ガスに弱く、大気汚染の強い地域だと花が咲かなかったり、花がついても香りが弱かったりしますので、植える場合は環境をよく調べましょう。

最低でも必ず午前中日が当たるところに植えましょう。非常に日光を好み、日光が足りないと葉が落ちることもあります。
樹高7m〜8m
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特徴・由来・伝承

キンモクセイはギンモクセイの亜種で江戸時代に中国から伝わったと言われていますが、九州に自生するウスギモクセイが変異したという説もあり、来歴ははっきりしません。雌雄異株(オスとメスがある)のうちのオスしか日本には無いために、日本ではキンモクセイの結実は見られません。ちなみに雌木は植物園に行かないと見られません。

キンモクセイを含むモクセイの種って中国由来で、ほぼほぼ雄木しか日本国内にはないんです。強い香りを放ち、大量に開花するんですが、日本には雌木がないため、決して受粉することがないと考えると、必死に咲く姿は本当に物悲しいものがありますよね。

中国ではキンモクセイのことを桂花と呼び、この花を白ワインにつけたものが桂花陳酒です。

キンモクセイは秋の季語。漢字で書くと金木犀。トイレの芳香剤として使われるので、そういうイメージを持ちやすいです。ところで、金木犀の香りの成分のスカトールは、哺乳類の糞の香りのスカトールです。実は濃度が低いスカトールは甘い香りに感じ、濃度が濃くなるとウンコの匂いになるだけで同じもの、らしいです。

香りと記憶

金木犀の香りはなんだかトイレの芳香剤を連想させる…と嫌う人もいます。という話ではないのですが、例えば愛犬がなくなったとき、金木犀の香りがする頃だった…って記憶がある場合、庭木に金木犀を植えて、その季節に香りを嗅ぐと、どうしても愛犬を思い出し、切ない気持ちになる…なんてことがあります。だから植える前に人生を振り返るのもいいかもしれないですよ。

人間の記憶って実は香りと結びついていることが多いんですよね。

種類・仲間

ギンモクセイ(銀木犀)

ギンモクセイ(銀木犀・Osmanthus fragrans)はモクセイ科モクセイ属の常緑樹。本州(東北・関東を含む)・四国・九州で見られる。花は白で、香りがある。香りはキンモクセイには劣るが、キンモクセイの香りが強過ぎると思うなら、ギンモクセイの方が適している。雌雄異株で雄木しかないため、結実することはないです。

耐寒温度はマイナス10度で寒さにはそこそこ強い。

木犀と書くと本来はギンモクセイのことを指すが、キンモクセイ(金木犀)の方がよく見られるので、キンモクセイが「木犀」扱いされることが多い、かも。

葉っぱをよくよく見ると葉の縁に「トゲ」が見られ、ちょっと痛い。キンモクセイに比べるとちょっと葉が細い。

シキザキモクセイ(四季咲き木犀)

シキザキモクセイはギンモクセイの四季咲き品種。白い花が冬以外に開花する。花数は少なく、香りもちょい弱いが、頑健で四季咲きなのはすごい。樹高は1.5m前後と小さくまとまるのも嬉しい。

暑さにちょい弱く、寒さには強め。
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キンモクセイ(金木犀)

キンモクセイ(金木犀・Osmanthus fragrans var. aurantiacus)はモクセイ科モクセイ属の常緑樹で、ギンモクセイの変種とされています。関東以西・四国・九州で見られます。秋になるとびっしりと大量に黄色の花が咲き、非常に強い芳香があります。耐寒温度はマイナス10度で、寒さには強い。雌雄異株で雄木しかないため、結実することはないです。

花が咲いてしまえば花が黄色いので、すぐにキンモクセイと分かります。

葉っぱはギンモクセイに比べると少し波打っています。葉っぱの縁に若干のトゲがありますが、痛いというほどではない程度。

ヒイラギモクセイ(柊木犀)

ヒイラギモクセイ(Osmanthus × fortunei)はギンモクセイとヒイラギの交配種。葉っぱにトゲがあり、触れると痛い。花はギンモクセイと同じ白で、香りがありますが、ギンモクセイより香りは弱い。トゲがあり、よく枝葉が出るので、刈り込んで生垣にすることが多いです。

ウスギモクセイ(薄黄木犀)

ウスギモクセイ(Osmanthus fragrans var. thunbergii)は中国・インド原産のモクセイ科モクセイ属の常緑樹。葉っぱは深緑で光沢があってツヤツヤしています。ギンモクセイとよく似ているが、少し黄色の強い、乳黄白色の花が咲き、香りがあります。香りはギンモクセイと同じくらい。雌雄異株で雄木しかないとされていますが、実は日本に野生種があるという話もあります。

葉っぱにはほとんどトゲはない。よくよく見ると、トゲっぽいものが見られます。

シマモクセイ(島木犀)

シマモクセイ(Osmanthus insularis・ナタオレノキ・サツマモクセイ)はモクセイ科モクセイ属の常緑樹。樹高が15mになる高木。福井以西・九州・四国・沖縄に自生しています。葉にはトゲがほとんどない。雌雄異株だが雌木があって、10月に開花し、翌年の6月〜7月に実が見られます。

個体数が少なく、絶滅危惧種です。

違いは?見分け方は?

日本で見られるモクセイは以上の五つ。花と葉っぱで区別はつきます。
ギンモクセイ…花が白い
キンモクセイ…花が黄色い
ヒイラギモクセイ…花が白く、葉にトゲがある
ウスギモクセイ…花がクリーム色
シマモクセイ…絶滅危惧種で見かけない

水やり

キンモクセイは若干、乾燥に弱く、特に花芽ができる7月以降の夏場の水切れには注意します。この時期に土が乾燥すると成育や花つきを悪くします。

庭植えの水やり

庭植えでは植え付け後しばらく乾かしすぎないよう注意します。その後は自然に降る雨だけでも十分で、水やりの必要はありません。ただし、上記にあるように花芽ができて以降の7月〜8月は庭植えでも水切れしない様にします。

鉢植えの水やり

鉢植えでは鉢土が乾けば与えます。鉢底から水が出るくらいにしっかりとやりましょう。受け皿に溜まった水を放置すると根が腐ってきます。水やり後は必ずチェックしましょう。

肥料

庭植えの肥料

キンモクセイは肥沃な土と肥料を好みます。液体肥料のみでは栄養不足で不十分です。固形の有機肥料が適しています。肥料は年に2回から3回与えましょう。

地植えの場合は特に2月ごろに寒肥としてリン酸やカリウムを含む有機肥料を与えます。油粕のような窒素分が多いものは与えないようにしましょう。 あとは開花で消費した栄養を補強するお礼肥を10月にあげます。

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鉢植えの肥料

鉢植えは2月の寒肥、5月と開花後の10月ごろに同様に有機肥料(化成肥料)を施します。 鉢植えは土が少なく、肥料成分が流れ出やすいので5月にやらないと肥料が不足してしまいます。肥料が足りないと花付きに影響します。

植え付け・植え替え

時期・頻度

植え付け・植え替えは新芽が出る直前の春(3月〜4月)にします。秋(10月〜11月)に開花株が出回るので、これを土を一切落とさないで、植え付け・植え替えるか、春に植え付け・植え替えをします。春の方がいいです。

用土

水はけがよく、肥えた土を好みます。

弱酸性(pH5.5〜pH6.5)の土壌を好むため、アルカリ性の土は避ける。庭植えにするときによほど酸性土じゃない限りは石灰で中和しないようにします。鉢の中に入れる土は、赤玉土腐葉土を7対3の割合で混ぜて入れます。酸性を好みますがブルーベリーの土(pH4.0で酸性が強すぎ)は使わないようにしましょう。

培養土は水はけよく水持ちよく配合してあるんですが、キンモクセイにとっては水はけが物足りないことがあります(つまり根腐れしやすい)。また、中和しているので酸性を好むキンモクセイには酸性度が足りない…まぁ、中性なら枯れることはないから、ここは気にしないでもいいかな。できれば赤玉土7腐葉土3か、一般的な培養土に鹿沼土を1割ほど足して水はけ良くしてから植えるといいです。

一般的な培養土で植えてもいいですが、そのときは水やりを調整してください。
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鉢植え

鉢植えの植え替えをする場合は、古い鉢から取り出して、古い土を軽く落として、新しい土を足して、一回り大きな鉢に植え替えます。前と同じ大きさの鉢に植え替えたい場合は、古い土を3分の1ほど落としてから同じ大きさの鉢に植え替えをします。変色している根は切ってください。

鉢が大きいと水が溜まりやすく根腐れしやすくなります。鉢が深かったり、現在の鉢よりかなり大きなものに植え替えるのであれば、鉢の下から高さ3分の1くらいのところまで水はけのよい土か鉢底石を多くして、水はけよくしましょう。
鉢植えの場合も、できるならば、土を一切、落とさず、根をほぐさずに一回り大きな鉢に植え替えてください。大きくできない場合のみ、土を落として同じ大きさの鉢に植え替えをします。

庭植え

庭植えの場合は、植え付けの一週間前に深さ40cmの穴を掘り、掘り出した土に対して2割〜3割くらいの腐葉土か堆肥を入れ、化成肥料を規定量入れてよく混ぜておきます。一週間で土が馴染むので、一週間後に、土を半分穴に戻して、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後にしっかりと水をやります。

キンモクセイは根を傷つけると生育不良を起こしてしまいます。庭植えにしたら、もう移植はできません。また、植える時も苗をいじらず、根を崩さないで植え付けてください。

挿し木

タネができないため挿し木で増やしますが、根が付きにくいです。5~7月に、新梢が充実しきる前の枝をナイフで長さ10cmほどに切ります。木質化すると根が出にくくなるので、充実してきたころにすぐ挿し木にしたほうが良いでしょう。葉を4、5枚ぐらい残し、その他の葉は取り除いて1時間ほど水につけて水揚げをし、成長促進剤(例:ルートンなど)を切り口につけて、赤玉土や挿し木用土に挿します。挿し穂が2分の1ぐらい用土に埋まるように挿します。

水やりをしっかりして明るい日陰に置きます。フィルムで覆って密閉挿しにしてください。発根まで時間がかかりますので、冬は玄関や軒下などで春まで管理し、根が出てきたら鉢上げします。

花を付けるまでには、だいたい5年以上かかるでしょう。
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管理場所・日当たり

キンモクセイは花木の中でも特に日光を好む植物なので、日当たりが悪い場所に植えると、最悪の場合、冬でも葉が落ちない常緑樹なのに落葉しはじめます。

日当たりのいい場所であっても、梅雨や秋の長雨の時期では新芽が日光不足で落ちることがあるくらいですから、とにかく戸外の日当たりで管理しましょう。

越冬

キンモクセイは耐寒性がやや弱いので、関東以北の地域の気候は栽培に向いていません。冬に地面が凍結するような地域では栽培が困難です。

日光不足になるので、どんなに寒くても室内に置かないようにします。霜などの恐れがある場合は、防寒したり軒下に移動させましょう。

剪定

キンモクセイは成長が遅く、強く刈り込むと枯れてしまうことがあります。そこで毎年少しずつ刈り込んで樹形を整えていきます。花が終わった10月〜11月か、新芽が動き始める3月あたりに剪定します。詳細は以下のページを参考にしてください。

開花しない原因は?

開花しない原因として花芽がつく7月〜8月以降に剪定した場合や、強い剪定をした場合、日光不足などがあります。詳細は以下のページを参考にしてください。

害虫・病気

風通しが悪いとハマキムシ、そのほかの蛾の幼虫などがつくことがあります。密生した枝を間引きして風通しをよくすると予防できます。大量発生してしまった場合は、ムシや卵がいる葉はそのまま摘み取りましょう。浸透移行性剤のオルトラン液剤やオルトラン水和剤、スミチオン乳剤、マラソン乳剤を葉っぱの表面や中にかかるよう散布します。(中に散布するのは幼虫や卵が潜んでいるからです。)

モンパ病という根の病気が発生することがあります。発症した時にはどうにもならない状態で、治療方法はない。木ごと廃棄する。原因は菌の感染と、水はけが悪いことと、キンモクセイが何かの原因で弱ったこと。
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