ハエトリソウ栽培の詳細版…花の処理や種まきなども包括的にまとめ

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ハエトリソウ(蠅取り草)とは?

ハエトリソウの育て方の詳細版:ハエトリソウ(蠅取り草)とは?
ハエトリソウモウセンゴケ科食虫植物学名はディオナネア・マスシプラ(Dionaea muscipula)。葉を閉じるという行為はハエトリソウにとって、非常にエネルギーを消耗するために、いたずらで葉っぱを何度も開閉させていると、ハエトリソウは枯れてしまいます。

茎はロゼット状に広がり、地下茎と共に球根がある。意外とかわいい花を咲かせる。赤くて印象的ではありますが、虫を捕らえるのは葉っぱであって花ではない。春に購入しても夏に枯れるか、翌年まで持たずに枯れることが多いです。世の中に大量に且つ割りと安く出回っているのですが、栽培が難しいです。

ハエトリソウは温帯の植物で、熱帯植物ではありません。春から秋に掛けて成長し、冬になると休眠して越冬します。普通の四季のある日本にあったサイクルの植物のような気がしますが、それでも難しいです。

ちなみにハエトリソウを栽培しても家の中の虫は減りません。
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エレクタとロゼットと品種ハエトリソウにはタイプが二つある。一つはエレクタタイプ。エレクタタイプは立ち上がるタイプ。もう一つはロゼットタイプ。ロゼットタイプは昔からあるタイプで在来種とも。ロゼット型(地面にペタっと広がるタイプ)に広がる。

エレクタ・ロゼットは品種による違いというよりは個体差と考えた方が自然です。ハエトリソウの「品種」は実生などで育てたものや採取したものの中から出てきた特殊な形状のものを株分けやメリクロンでクローン栽培して増やしたもの。

海外ではエレクタが好まれるため、海外で選別された品種はエレクタが多い(感じがする)。反対に日本ではロゼットが好まれるので、日本で選別されたものはロゼットが多い。
●名前のついた品種の中には葉が閉じないものや、捕虫器(捕獲器)が出ないものなど、特殊なものがある。
ホームセンターのハエトリソウは強く、育てやすい。初心者こそホームセンターのものを育てましょう。そこから徐々にいろんな品種に手をつけていきましょう。
水やりハエトリソウは温帯の湿地に生息する植物なので、基本的に水を非常に好みます。根をミズゴケに巻いて植えます。ミズゴケに巻いたまま素焼き鉢に突っ込む感じです。ミズゴケは終始濡れているように水をやります。ミズゴケが黒く、腐っているようであれば、植え替えを検討します。

夏は腰水にして管理するか、水やりの頻度を増やします。水が蒸発して水切れを起こさないようにします。日光があたると乾燥しますし、水が沸騰して根を傷めるので、腰水するのがいいです。
ミズゴケは100均で売っているものは質が悪いので避けましょう。
肥料か虫かハエトリソウは虫を食べなくても生育するので、無理に虫をやらないほうがいい。たくさん与えると、虫を捕らえたまま、虫と一緒に葉が腐って、場合によっては株全体が枯れてしまったり、株が弱ることもあります。虫をあげるのは一月に一回程度。それも別になくてもいい。虫を捕まえた捕虫器は傷んでしまうので、見た目美しくするには虫を一切あげない方がいい。

虫を月に一回やるか、薄い液体肥料をちょっとあげるかのどちらか。ただ、肥料をやると水ゴケにアオコ(藻)が発生して緑になります。
アオコは液肥が多いと発生しやすい。液肥はハエトリソウの栽培には必要で、アオコはある程度は発生するものと考えた方がいいです。アオコは水苔の表面だけで鉢の内部までは見られないので、見たら取り除けばいいですが、一年に一回、植え替えでやりかえるのであんまり気にしないでもいいです。

植えかえ

植え替え時期植え替えは2月前後が適期とされるが、これは活動が止まっている時期に植え替えをすることでダメージを避けるためで、多少のダメージを覚悟するなら真夏以外のどこで植え替えをしても構わない。

ミズゴケの場合は、ミズゴケが腐りやすいので毎年植え替えをしましょう。
用土ハエトリソウは酸性の土壌を好み、また湿地を好むので、ミズゴケ(酸性)か未調整のピートモス(酸性)を主とした土壌に植え付けます。ミズゴケで巻くのが一般的ですが、ピートモス1鹿沼土(酸性)1を混ぜた無肥料の土壌に植えるのもいいです。

ミズゴケは100均で売っているものではない方が良い。ホームセンターや園芸店で少々高くてもそちらを買う。ミズゴケが粉々になって泥になっているとハエトリソウの根が窒息してしまう。
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ピートモス単用でもいい。もしくはピートモスにパーライトを1割足したものでもいいです。未調整ピートモスは酸性で、この酸性のピートモスに水道水ではなくて、雨水(弱酸性)をやるとハエトリソウには問題なく、他のカビやコケが生えてきにくい。

食虫植物用の土ってのもあり、これなら通常の鉢植えと同じように土栽培ができますのでこれを利用するといいです。もしくは観葉植物の土でもいいです。

土がアルカリ性になるとカビが生えやすい。雨水だとカビは生えにくいです。

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ミズゴケで鉢植えにするミズゴケで根を巻いて育てます。購入時には土で植わっていますが、植え替えするときは、土を落としてミズゴケで植え替えます。その方が管理が楽だからです。

ミズゴケは腐りやすいので一年に一回取り替えるといいですが、植え替えはハトリソウにとってストレスなので、腐っていないのであれば植え替えはしなくてもいいです(でも、植え替えた方が確実に健康に育つ)。

まず植え替える前の日に、ミズゴケを水につけて吸水させ、戻します。

古い鉢からハエトリソウの株を取り出し、ピンセットでコケを丁寧に取り、新しいコケでくるみ、素焼きの鉢(プラスチックでも構いませんが、素焼きの方が水が蒸発して夏に温度が下がりやすい)で植え付けをします。鉢の底の穴を網で塞いで、その上に鉢底石(軽石)を2cm〜3cm入れて、水苔にくるんだ株を突っ込んで終了です。軽石はあってもいいし、なくてもいいです。
●過密になると調子を崩すので株分けをした方がいいです。
●株が増えると植え替えが面倒。植え替えがストレスになる前に廃棄する勇気を持ちましょう。
土で植える場合は?土で植える場合は、通常の鉢植えと同じように植えてください。

鉢植えの底の穴を鉢底ネット(鉢底網)で塞いで、その上に鉢底石(軽石)を2cm〜3cm入れて、その上に用土を入れて、ハエトリソウの株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に鉢底から水が出るまで水をやってください。

植え替える場合は、土を少し落として、新しい土を足して同じ大きさの鉢に植え替えるか、土を全て落として新しい土で植え替えます。土はあまり落とさないで植え替えた方がハエトリソウのダメージは少なくて済みます。
管理場所・日当たり日当たりの良い場所で、雨に当たらない場所が好ましい。ただし高温に弱いので、春~夏〜秋の間はずっと半日陰にするのも手。ハエトリソウは虫から栄養を取っているイメージがあるが、実際は日光を好みます。日光不足がハエトリソウが枯れるパターンの一つです。室内管理していると日光が当たっているように見えて、物足りないってことがあります。できるだけ戸外で日光に当ててあげてください。
春と秋の管理春と秋は戸外の日当たり(もしくは半日陰)で管理する。ハエトリソウは日光を好むので、できるならば半日陰ではなくて日当たりでしっかりと日光にあてます。

冬に室内で育ててきた株を春にいきなり戸外に出すと葉焼けを起こすことがある。戸外の日陰→戸外の半日陰(ひだまりか遮光した場所)→日当たりと徐々に慣らしてやる。それでも室内で育った葉っぱは日光に葉焼けするけど、新しく出た葉っぱは大丈夫です。

水やりは変わらず乾燥しないように管理します。
夏の管理夏は半日陰で管理する。夏の直射日光には葉焼けすることがあるし、水が高温になると根が傷んで枯れてしまいます。なので夏は半日陰に移動させるか、遮光する。どうにも水やりが追いつかない場合は、発泡スチロールに水を張って、鉢の半分か三分の一ほどまで水に浸かっているようにします。腰水にできるならやりましょう。楽なんで。

夏は腰水にしておくと乾燥を防げるが、腰水の水が直射日光で「沸騰」して枯れるパターンは多いです。腰水にしても半日陰で管理したり遮光しましょう。また、コンクリートの上に置いていると根が熱されて枯れます。また、白い壁が近いと反射光で傷むこともありますので気をつけましょう。
●夏の直射日光では枯れない!って主張する人もいるけど、基本的には半日陰・遮光が無難だと思ってください。都市部のヒートアイランドで高温になったベランダはハエトリソウには厳しいですし、他の要因もあります。大事なのは自分の環境で合った栽培法を見つけること。
●小さな鉢だと鉢の側面に日光が当たって熱くなって枯れることもあるので、夏は高温、というか直射日光に注意。
●ハエトリソウは暑さ自体にはまぁまぁ耐性があるんですが、根は高温に弱い。なので夏は半日陰か遮光が無難。
冬の管理冬は暖地では軒下で越冬します。寒冷地の冬は室内に取り込みますが、ハエトリソウは元々温帯の植物で、耐寒温度は0度〜5度です。自生地でも冬は0度前後まで下がります。なので、軒下の雨・霜の当たらない場所で土が凍らない程度の寒さなら戸外での越冬も可能です。さすがに凍ると枯れます。

室内で管理しても、5度以下の寒い場所で管理する必要があります。ハエトリソウは寒さに当たって休眠するもので、休眠しないと春以降の生育が悪くなり、徐々に弱って消えていきます。人が生活する場所は暖房で乾燥していますし、気温が10度前後だとハエトリソウが休眠しきれずに、春の生育に悪影響があります。

冬もできれば日当たりで管理し、水は切らさないでください。休眠して変化がなくても水やりは欠かさないでください。
●冬にストーブを炊いているとなかなか休眠しない。
●かといって土も凍るような寒い地域だと枯死する。
●10度以下で休眠に入る。成長が止まっていれば休眠状態。
●戸外の目立つところに置いていると、結構盗まれる。
●寒冷地で戸外で寒さに当てられない場合は、ジップロックに入れて冷蔵庫(4度)で管理して、休眠させるといいです。

花は摘む花が咲くと株が弱るので、ツボミは摘んだ方がいいです。ハエトリソウは結構難しく、微妙なバランスで枯れることがあるので、初心者は摘みましょう。
人工授粉と採種と実生人工授粉して放置していると種子が取れます。サヤが茶色くなったら中に黒い種子が出てきます。開花した直後は柱頭(雌しべの先)が開いていないので受粉できないが、2日目には柱頭が開いて受粉可能。雄しべの花粉はカチカチなので、これを取り、指ですりつぶして粉末にして柱頭につける。受粉後は雨に当てないようにする。なぜか自家受粉しない(確率が低い)。花粉ができていないことがあり、その場合は当然、種子はできません。

ハエトリソウの種子は時間と共に発芽率が落ちるので、取ったらすぐ蒔く(取蒔き)のが基本。冷蔵庫で管理すれば一年ほどは保存できますが、それでも発芽率は落ちるので取り蒔きが基本なのは変わらないです。

ハエトリソウは種子から育てること…実生(ミショウ)は生育が遅いため、上級者のマニアックな楽しみです。株分けしたものと大きさが同じなら実生の方が遥かに生育が遅いです。
●種子から育てると、愛情を感じやすいが、株分けした同じ大きさの株の方が大きくなる速度が速い。まぁ、ガーデニングは趣味でやることであって効率やコスパを語る意味はないんですけど。
●株分け・葉挿し・実生でも増える。一般的には株分け。植え替えの時に株分けをする。
●オークションやネットで種子を売っていることがあるけど、発芽するか分からないし、本当に目当ての種かも怪しい。ハエトリソウの種子は時間が経つと発芽率が下がるので、海外からの取り寄せは種子が本物でも発芽率は悪い。
捕獲器について捕獲器(捕虫器)の中に感覚毛という毛があり、これに「2回」当たると捕獲器が閉じます。3回当たると消化酵素を作り、さらに当たると消化が始まる。水をやるときにこの感覚毛に当たると閉じ、それがストレスになって株が弱ります。

虫を捕らえると捕獲器は傷んでしまいますし、捕獲器が開いている状態の方が見栄えが良く、栽培が楽しい。綺麗に育てたいなら、虫はやらない方がいい、と栽培家は結論づけがちです。
●感覚毛に当たっても閉じなかったり、閉じても遅い場合は、株が弱っている可能性が高い。餌やりをやめ、他の環境を見直した方がいい。
●どうしても捕獲器に餌(タンパク質)をやりたいならカツオブシや卵白を少量やる。いや、別にやらなくていいんですけど。-
●なぜか、栽培している人は餌をやりたがるもの。
病害虫食虫植物ですが、アブラムシナメクジに食べられることもあります。そのナメクジを逆に捕らえることがあるのですが、そのとき大きなナメクジだったら、消化しきれずにナメクジとともに腐って葉っぱが枯れますので、おかしいと思ったら、すぐに葉っぱごと切って捨てましょう。

炭そ病
炭そ病で葉っぱ・新芽が黒くなる。変色した部分を取り除き、殺菌剤を散布する。

ハダニ
ハダニは発生するらしいけど、乾燥すると発生しやすいハダニなので、通常はあんまり発生しないと思う。
特徴・由来・伝承英語名がVenum Flytrap(ビーナス・フライ・トラップ)、日本語に直訳すると、女神のハエ罠、という感じでしょうか。ハエトリソウの葉っぱを女神のまぶたとまつ毛に見立てての命名です。

食虫植物と名の付く植物は数あれど、これほど分かりやすく虫を捕らえる植物はこのハエトリソウだけ。能動的に虫を捕らえるのですが、別に虫をおびき寄せる匂いを分泌しているとかそういうわけではなく、単に偶然葉っぱに乗った虫を捕らえるだけなので、害虫駆除には役に立たない。

ハエトリソウに限らず食虫植物が虫を取るのは、不足しがちな栄養素を補うためで、虫を食べないと枯れる、ということは無い。仮に虫が一切取れない状況になっても、通常の花でいうところの「肥料不足」になるだけ。
雑記
●ハエトリソウの栽培は難しくなっているらしい。それが株の寿命なのか、環境の変化(温暖化など)なのか、別の要因なのかは分からない。
●ホームセンターのハエトリソウは頑健。
●獣神サンダーライガーがハエトリソウ栽培をしていて植え替え動画が上がってます。

他の食虫植物については
に簡単にまとめているので、参考にしてください。
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