学名でよく見る「シネンシス」「キネンシス」とは?

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学名でシネンシス(キネンシス)ってよく聞きますね。

プリムラ・シネンシスとかデルフィニウム・シネンシスとかサンタンカ・シネンシス、カメリア・シネンシス、スターチス・シネンシスなどなど。よく学名でシネンシスやキネンシスを聞きませんか??わたしもこれがどういう意味なのかよく分かっていませんでした。

シネンシスは綴りで言うと、「sinensis」もしくは「chinensis」。学名はラテン語で書かれていますが、これを英語で書くと「chinese」です。日本語で書くならば「中国産の」ということです。
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歴史背景

そもそもヨーロッパのアルプス山脈より北の地域…ってなるとイタリア・スペイン・ポルトガルなどの地中海以外のヨーロッパは緯度が高く、緯度が高いということは寒くて、夏が短く、冬が長いため、植物が乏しいのです。そのため、非常に強い「植物・花・果実」に対する憧れがありました。

船で世界中に移動できる大航海時代(15世紀以降)に入るとその欲望が爆発します。

植物が…例えば胡椒などのスパイスや、ゴムの木が実際に利益になる時代というのもありましたが、そもそも文化的に渇望があり、貴族たちは利益と植物収集という欲望を満たすため、貿易船に出資し、プランツハンターたちに金を渡して世界各地に派遣し、異国から植物を収集するようになります。

リンネによる分類学の成立

18世紀になるとドイツのカール・フォン・リンネがすでに知られていた動物・植物を分類しました。学名の形式はそれ以前からあったのですが、明確にキッチリと分類されるようになったのはこれ以降です。おそらく世界が広がり、大量に増えた動植物の知識を分類する必要に迫られたということでしょう。これで学名が成立しました。

ヨーロッパの人たちは希望峰を超え、中東を超え、東南アジアを経由して、中国と日本に到達しました。そうして中国で発見された植物の学名に「シネンセス」と付けられていきました。

プランツハンターっても文字も読めないような…ほとんど詐欺師のような人もいたんですが、「この植物は新種だ」と同定できるような知識がある程度は必要で、知識層である神父や医者も多くいました。ちなみにそうして日本にやってきたのがシーボルトです。

中国で発見?

学名の成立後の18世紀から19世紀にかけて、プランツハンターたちがアジアに植物収集に来たことが、学名に「シネンセス」が増えた理由です。

シネンシスは発見時の経緯を反映しているだけで、その性質をあらわしているものではありません。シネンセスとあっても、中国だけに自生しているわけじゃなく、また日本原産のという意味の「japonica」といった学名がついていても、実は中国など他国から、渡来して自生していた植物を、日本で発見して名づいたということもあり、学名は必ずしも実情を反映したものではないです。

学名は変わらない

学名は一度付けられると、その植物が「中国産」で無かったとしても変更されません。一度つけた学名はその植物の科属が変わらない限りは変更されないようになっています。これは分類の混乱を防ぐためです。

といっても科属の変更はままあるので、その際に変更されることは十分ありうるんですよね。
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