牡丹(ボタン)と芍薬(シャクヤク)の違いと見分け方…シャクナゲ・山芍薬・ピオニーとの違いも
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牡丹(ボタン)と芍薬(シャクヤク)の違い
牡丹(ぼたん)と
芍薬(しゃくやく)は、見た目が似ていることからしばしば混同されますが、実際にはいくつかの明確な違いがあります。管理人もよくわかっていなかったので、
牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)の違いをまとめてみました。スポンサーリンク
こちらが牡丹(ボタン)
牡丹(Paeonia suffruticosa)はこちら。
まずはこんな植物だったなと確認しましょう。
こちらが芍薬(シャクヤク)
シャクヤク(Paeonia lactiflora)はこちら。
花びらが少ない品種もありますが、こういう八重咲のものがよく見られるので、これを覚えておいてください。
パッと見にはほとんど同じに見えますよね。意図的に近い画像を選んだのもあるんですが、近いっちゃ近いんですよ。
それでは違いについて見ていきましょう。
牡丹は木、芍薬は草という違い
牡丹(ぼたん)は木で、芍薬(しゃくやく)は草です。この違いは明確で、牡丹(ぼたん)は木ですから、冬も地上部があり、寒風にあたると傷みますが、それは
花芽・葉が傷むという意味で、基本的には寒さに強い植物です。一方で芍薬(しゃくやく)は冬には地上部が枯れる
多年草です。
つまり、冬に地上部がある場合は牡丹(ぼたん)。
冬に地上部がない場合は芍薬(しゃくやく)ということになります。
しかし、冬にならないとわからないってのは困りますよね。
ボタンの方が花が大きいという違い
牡丹(ぼたん)の花の方が直径20cm〜30cmと大きく、花びらが多く、色合いも派手で、甘い香りがします。「花の王」と呼ばれるに相応しいものです。
ボタン栽培にハマるのもわかるというものです。
一方で芍薬(しゃくやく)の花は直径10cm〜20cmと小さいです。牡丹(ぼたん)に比べると花びらが少なく、香りも弱い。色合いも若干淡いとされます。小さいですが全体の印象は優雅であり、牡丹とは違う良さがあります。切花でも利用されます。
といっても、この違いは決定的なものではないです。芍薬(しゃくやく)の方が花びらが細く、牡丹(ぼたん)が少し広いともされるんですが、なんともパッと見では判断できない。栽培の具合によっては牡丹(ぼたん)の花も小さなこともありますし、香りの強弱なんて主観が大きいですからね、これでは区別がつかないことはよくありますよ。
開花時期の違い
牡丹(ぼたん)の開花は4月〜5月。
芍薬(しゃくやく)の開花は5月〜6月と若干ずれます。
重なっている時期もあり、絶対的な違いとも言えないくらいのズレなんですよね。
一番の違いは葉っぱ
牡丹(ぼたん)の葉は複葉であり、一つの葉が複数の小葉から構成されています。小葉は大きく、卵形や長楕円形をしており、先が尖っています。葉には深い切れ込みがあり、複雑な形状をしています。切れ込みは必ずあるわけじゃないですが、複数入っていることが多く、しかもランダムに切れ込みが入ります。このランダムってのが面白い。
一方で芍薬(しゃくやく)の葉は単葉であり、1枚の葉がそのまま1つの形をしています。葉の形は細長く、楕円形や長楕円形で、先が尖っています。芍薬(しゃくやく)の葉にはほとんど切れ込みがなく、全縁(ぜんえん)と呼ばれる滑らかな縁を持っています。
ところで、牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)の交配種であるハイブリッドシャクヤクの葉っぱは牡丹(ぼたん)と同じで切れ込みが入っていますね。
ということで、葉っぱを見れば、牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)の違いはわかりますね。今後は二つを交配させたハイブリッドシャクヤクという別問題も発生しそうだけど。
シャクヤクとシャクナゲの違いは?
さて、ここからは、牡丹(ぼたん)・芍薬(しゃくやく)の違いから離れて、別の似た植物についてまとめていきます。
芍薬(しゃくやく)と
石楠花(しゃくなげ)は、見た目が異なる植物ですが、名前が似ているため混同されることがあります。
画像を並べると、一目瞭然、違うのですが、音だけ聞くとパッと思い浮かばないって人がほとんどでしょうね。
シャクナゲとは?
シャクナゲ(Rhododendron)は
ツツジ科ツツジ属の常緑
低木。開花時期は4月〜5月。ボタンが「花の王」なら、こちらの石楠花は「花木の女王」。
こうなるとなんだか牡丹(ぼたん)とも共通点が出てきますね。
牡丹(ぼたん)や芍薬(しゃくやく)が大きな1輪の花を咲かせるのに対して、シャクナゲはツツジに似た花を集めて、ボール状の花を咲かせます。これが遠目にはボタンやシャクヤクに似ているっちゃ似てますね。しかし、近づいて花を見れば違いは一目瞭然です。
葉っぱの形状も違います。葉色が芍薬(しゃくやく)より濃く、厚めなので違いは明確。
栽培する場合は、土を
酸性の土に保ち、根が浅いタイプなので水切れしないように気をつける必要があります。
ヤマシャクヤクもある
山芍薬(Paeonia obovata)はシャクヤクとあり、同属ですが別種の植物です。花は芍薬(しゃくやく)と比べると花びらは白で5枚と、楚々としており、自然風の庭園には合っている植物です。
この山芍薬のような一重咲きが徐々に芍薬(しゃくやく)のようになっていったんでしょうね。
山の木陰で咲いているもので、強い日差し、乾燥に弱い。芍薬よりもさらに弱いです。
開花後に赤と青(青というか黒)の種ができ、赤い種は発芽能力がない。赤い種を食べさせて、青い種を守っている?ではないかなと思う。この実も鑑賞価値があるので、栽培したら、これも室内で飾るといいです。
ピンク・濃い赤ピンクの花を咲かせるベニヤマシャクヤクもあります。
ピオニーってなに?
シャクヤクとピオニーの違いは?
ピオニーはシャクヤクのこと。シャクヤクの英名です。同じものです。
どうも英語では「blush like a peony(シャクヤクのように赤くなる)」で、顔を赤くする様子を表現することがあります。シャクヤクの花を女性的な美しさを体現した象徴としているのですね。
そのせいか、名前のブランドや、女性向けの商品名(香水とか)に利用されがち。それで最近、芍薬を「ピオニー」と呼称する花屋さんが見られます。こういう言い換えて、芍薬を知らない新しい世代に売り込もうというのはよくあることです。
最後に…
牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)は二つは、相違点もありますが、見た目も似ているだけでなく、芍薬(しゃくやく)を台木として牡丹を
接木するのが一般的でありますし、牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)を交配させることもできます。
そのくらいに近い種なんだってことは覚えておきましょう。
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