大根(秋蒔き・冬収穫)の育て方

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大根の基礎データ
大根
科名アブラナ科
属名ダイコン属
学名Raphanus sativus var. longipinnatus
別名ダイコン
水やり水を好む
場所外の日なた
難易度中級者向け
画像投稿
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開花
種蒔
肥料
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大根の栽培の概要

大根はアブラナ科ダイコン属の野菜。8月〜10月に種を撒き、収穫は10月〜2月。大根の生育温度は17度~20度。涼しい環境を好みます。大根は8月〜10月に種まきする秋蒔きと、3月〜5月に種まきして春から夏にかけて収穫する春蒔き大根とありますが、春蒔きは害虫が発生しやすく一般家庭の家庭菜園向きではないので、秋蒔きが定番です。このページでは秋蒔き(冬収穫)の大根をまとめています。

秋蒔き大根って害虫の少ない時期に栽培するので成功率の高い野菜で、土地さえあれば大量にできやすい。作りすぎて近所に人に配ることになる。それでも消費できない場合は、切り干し大根・凍大根、それでも消費しきれず、畑の緑肥になってしまうことが多い。作りすぎに注意。

その他の野菜については以下のページも参考にしてください。

種まき(8月〜10月)

種まきは8月〜10月にします。早く種まきした方が収穫は早いですが8月は気温が高く、病害虫のリスクがあるのである程度気温の下がった9月中旬がよりよいです。遅いと今度は寒さに当たってトウ立ちする可能性が出てきますので10月中に種まきしましょう。

10月以降の種まきも収穫が年を超えるだけで問題ない。ただトウ立ちしやすいので収穫できないか、十分に大きくならないことも。小型品種なら冬の収穫も可能です。

土づくり(8月〜10月)

大根:土づくり(8月〜10月)
大根栽培に大事なのは畑を深く耕すことです。深く丁寧に耕すことがよい大根を作る条件です。よく二股だとかクネクネ曲がった大根をテレビや雑誌で見かけますが、あれは土の中に石があったり、土が固いと発生しやすいです。できれば石などを取り除きます。石が多いなら蕪(かぶ)に切り替えた方がいいです。

また、酸性の土を嫌うので、種をまく2週間前までに深さ30cm〜35cmを掘り返して、苦土石灰を1平方mあたり100gほど混ぜ込んで中和させておきます。
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植え付けの1週間前に元の土に対して2割か3割の腐葉土堆肥を追加して、緩効性肥料1平方mあたり150gを混ぜて用土とします。堆肥・腐葉土が未熟で、ダマになっていると二股・三股大根が生まれやすい。完熟のものを使いましょう。

この土で高さ10cm条間45cm〜50cmの畝を作ります。水はけの悪い土なら、畝の高さを15cm〜20cmと高めに作ります。水はけの悪い土だと雨後に土が長期間濡れてしまって、水を吸い上げて大根が割れてしまいます。
苦土石灰の苦土はマグネシウムで葉緑素の材料になる。マグネシウムが枯渇すると葉っぱが黄色くなる。この症状が出てから土に撒いても効果が薄いので、葉っぱに苦土石灰を溶かしたものを散布することで改善する。

葉っぱを食べる「葉大根」もある。葉大根は大根部分も食べられるが、根の部分はあんまりおいしくない。

種子の基礎知識

大根は直根性で移植が苦手で苗から植えることはなく、苗は流通していません。最初から地植えに直播で栽培を始めます。種子ホームセンター・百均などでも扱っていますし、マニアックな品種はネットで取り寄せましょう。常温保存で三年〜五年ほど発芽率は維持できますので余っても安心です。秋蒔きで育てる場合は「秋蒔き用」のものを買いましょう。

発芽温度は25度。大根は寒さ(15度以下)に当たると「トウ立ち」の準備をはじめます。トウ立ちすると大根に「す」が入り、おいしくなくなるのでトウ立ちする前に収穫します。なので、9月前後に種まきをして冬になるとトウ立ちのスイッチが入り、年内から年明け以降に収穫していきます。収穫を遅らせるテクを駆使しても2月〜3月が収穫のリミットですね。
春蒔きと秋蒔きは全く違うものなので注意しましょう。

種まき(8月〜10月)

大根:種まき(8月〜10月)
大根の種は嫌光性発芽種子(光が当たると発芽しにくい種子のこと)なので通常の種より深さよりも深く蒔く。そうしないと1本も出てこないこともある。種まき後には深い位置に種をまくため基本的にそこまでの水やりは不要だが、土の水はけがよすぎたり、日照りが長期間続いたなら水やりは必要です。

深さ1cm、直径3cmほどの穴を開けて、そこに種子を4粒〜5粒ほど入れます。ビール瓶の底とか500mlペットボトル底を押し付けて穴を作るといいです。この穴を1cmの土をかぶせて埋めます。土と種子を密着させるために軽く上から手で押さえます。最後に水をしっかりとやって種まきは終了です。

穴と穴(株と株)の間は30センチは離して下さい。二十日大根は5センチくらい間を取ります。発芽率が良い種子(信頼できる会社の種子で新しいもの)ならば、4粒でなくて1粒でもいいかも。もしくは筋蒔きして、徐々に間引いて株間20cm〜30cmにしていきます。
種まきの際に種まきをする穴に種子といっしょに浸透性の殺虫剤(オルトランなど)を入れておくと、虫予防になります。ただし浸透性殺虫剤を使った場合は間引き菜は食べられませんし、秋蒔きではそこまでしない。

銀マルチをすることで雑草予防・アブラムシ予防になります。秋蒔きではそこまでしない人が多いと思う。

土が砂質の畑で、あんまりに乾燥すると水やりをしても土が吸収しないことがある。土の表面をほぐすと水を吸収するようになります。もしくは種まきした後に、土の上に土が見えないくらいにもみ殻を撒いて水をやって乾燥を防ぐようにする。

間引き作業(8月〜10月)

種まきして3日〜4日で発芽する。発芽気温25度で、土が乾き切らないように水をやるとすぐに発芽します。いい大根を収穫するには間引きが重要で、本葉が2~3枚になったら3本まで間引き、本葉が5~6枚になったところで一つの穴に1本にする。間引く時は引く抜かずにちぎる、もしくはハサミで切ります。引っこ抜くと近くの「残す予定」の根を巻き込んでしまうためです(直根性のため、このダメージが意外と後々効いてきます)。間引いたものは食べましょう。

1週間以上発芽していないなら種子が死んでいる可能性が高いので、蒔き直しをする。根がでているのに根が黒くなっているなら、土が強酸性・強アルカリでダメになった。土壌成分計でphを測って調整してから蒔き直す。日本の雨は酸性なので放置していると酸性に傾くが、中性にするために石灰を混ぜていると、アルカリに傾くことがあります(マルチをして雨が土にあたらないようにしているとある)。
筋蒔きしているなら、双葉が生えたら1回目の間引きをして2cm間隔にする。本葉が3枚になったら間引いて4cm間隔にする。本葉5枚で8cm間隔にして土寄せする。最後は株間20cm〜30に空ける。

間引菜はどうする?

基本的に間引き菜は食べるか、(浸透性殺虫剤を使用していて)食べるのが嫌なら廃棄します。もしくは根が残るように抜いて、別のところに植えることもできなくもないです。

筋蒔きにした場合、徐々に間引いて最後は20cm〜25cmにしていきます。最初の頃は「間引き菜」なんですが、株間10cm以降は徐々になんだか勿体なくなってきます。これもスコップで土ごと掘って別のところに植え替えることもできなくもないです。ただ、間引いた大根を植え替えると二股・三股になりやすいとも。食べる分には問題ないですけど。大根は直根性で植え替え・移植は向いていない。でも、丁寧にやればできなくもない…普通はやらないかリスク覚悟の作業。

水やり(8月〜2月)

畑栽培の場合、水やりは不要。自然に降る雨だけで大丈夫です。ただ、雨が降らないと肥料が水に溶けず、吸収しにくいのであんまり雨が降らないなら水をやることもあります。

追肥(9月〜10月)

2回目・3回目の間引きした後に追肥をします。大根の周囲に1平方mあたり50gか1株あたり15g〜20gほどを大根の根にあたらないように撒いて鍬(くわ)などで土を混ぜていきます。混ぜつつ、土寄せをします。土寄せは大根の株元に土を寄せて、株がグラつかないように軽く埋める作業です。
肥料が多いと収穫のときに引っこ抜くと割れやすい。
2条植えにしているなら、条間に溝を掘って肥料を入れて埋めましょう。

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収穫(10月〜2月)

種まきから60日〜90日で収穫します(収穫までの期間は品種によるのでパッケージをチェックしましょう)。画像のように葉っぱが開いて外葉が垂れてきたら収穫時期だと言われますが、まぁ開いていなくても味に変わりはないので収穫しましょう。引っこ抜いて収穫します。葉っぱ(大根菜)も食べられます。葉っぱは湯がいて細かく切ってから冷凍すると長期保存可能。

大根は春になるとアブラナ科の植物と同様にトウ立ちします。トウ立ちすると大根に「ス」が入る。なのでトウ立ちする前に収穫するべき。ひっくり返せば収穫せずに春まで植えっぱなしで保存というのも可能。年明け後は地上部の葉っぱを成長点ごと切ってトウ立ち予防した方がいいです。また、本来の収穫時期からずれるほどに割れる可能性が高まるので早く食べた方がいいに違いないです。
乾燥後の雨で割れることが多くなる。大雨が降って水分過剰になると割れやすい。土を水はけをよくしたり、高畝にすることである程度、避けられます。

種まきから一定期間を超えると割れやすくなり、スが入りやすくなる。品種による。

大根は15度以下寒さに当たることでトウ立ちの準備をはじめ、20度を超えるとトウ立ち準備を解除する。なので年明けを越したあたりにはすでにスイッチが入っているので放置していると徐々にトウ立ちを始める。

受粉と採種(2月〜4月)

種子をとって、来年に蒔いて栽培することも可能。大根は自家受粉しにくいため、採種するのであれば2株以上を残して受粉させます。

菜花も食べられるが、白菜・小松菜の方が美味しいとも。大根の菜花は好みが分かれる。好きな人はめっちゃ好き。あと栄養素は素晴らしい。

病害虫

ヨトウムシ
昼間に葉っぱを食べ、夜は土の中に潜む。防虫ネットでも予防できない。被害があったら、昼間に土中をほじって探すか、夕方に張り込みして出てきたところをテデトール

アブラムシ
茎や葉の汁を吸う。防虫ネットで囲って予防すれば、基本的には大丈夫。秋蒔きでは浸透性殺虫剤までは必要ないかなと。

キスジノミハムシ・ダイコンサルハムシ
葉っぱを食べる虫で葉っぱに小さな1mmほどの穴が見られるようになる。幼虫も大根を食べ、その傷口から軟腐病が発生することもある。防虫ネットで侵入を防ぐのが基本で、発生したらトレボン、モスピラン顆粒水溶剤、ダントツなどで駆除。

ウィルス病
葉っぱにモザイク状の模様が出ます。ウィルス病は感染すると治癒不可能で廃棄するしかないです。アブラムシなどが感染させるのでウィルス病予防はアブラムシ予防となります。防虫ネット・浸透性殺虫剤で予防し、発生したら手で取るか対応薬剤で駆除します。

萎黄病
葉が黄色くなって萎れる病気

軟腐病
水っぽくなって柔らかくなって腐敗して悪臭がします。

黒斑病
寒さに当たったり、過湿になると発生する病気。前もって殺菌剤を散布すると予防できるが、基本的に寒さに当たる前に収穫し、枯葉が大根にあたらないようにするといいです。

サビ病
本葉5枚前後の頃に菌が入って、収穫時期に目に見えるようになる。種まきのときに殺菌剤を使うことで予防できる。水はけが悪いと白サビ病が出やすい。かわりに水切れしやすい。

品種の雑記

●いろんな変種大根(ダイコンニンジンとか赤大根とか)があって家庭菜園を始めると楽しくて色々育てるけど、結局、無難な品種に落ち着くことになる。
●赤大根・二十日大根は炒めものに。
●宮重は上から下まで同じ太さで、料理するのに便利。味のバランスもいい。
●ねずみ大根は冷蔵庫に入りやすくて便利。日持ちもする。
●葉大根の大根はあんまりおいしくない。でも食べられる。
●だるま大根…夏でも作れる。辛い。
●耐病総太りは病気耐性がある青首大根で初心者向け。ちょっと高い。耐性はあるけど、被害がないんじゃないで農薬は撒きましょう。
●二十日大根はサラダ・漬物に美味しい。間引いて最後の株間は4cm〜5cm。条間は15cm〜20cm。
●おでん大根の名前で売っていても実際の品種は分からない。おでん大根という品種はない。パッケージにあるので調べておきましょう。ダイソーのは打木源助なのでおでん大根=打木源助っぽくなりつつあるけど。
●スーパーで売ってない品種を育てるのが楽しいって人もいる。

特徴・由来・伝承

アブラナ科の野菜の一種。一口に大根といっても二十日大根(ハツカダイコン・ラディッシュ)などや、桜島大根や聖護院大根といったカブのような形状(球に近い)の品種もあります。
春の七草のスズシロ(清白)は大根のこと。

エジプトのピラミッド労働者の食料として二十日大根に近いものが栽培されていたとされるほど、古くからある野菜。日本の生産・消費は世界で一位。世界の大根の消費の9割が日本らしいです。他の国では食べないみたいですね。
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