バラの癌腫病を気にしないって人もいます…治療法はほぼないが予防法はある
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バラの癌腫病
癌腫病は
バラに発生する
病気。根にコブができ、栄養を吸われます。細菌が原因で、一度感染すると周囲の株も感染し、その株を
剪定したハサミや、土を掘り返したスコップにも細菌が付着、それらで作業した株や土にも感染し、広がっていきます。
癌腫病はバラから土へ移動、その後、その他の植物にも感染し爆発的に増えていきます。なのでコブが見つかったらその苗木は処分、周囲の土も処分。ハサミやスコップは熱湯消毒が基本です。
ちなみにネットショップではない一般店舗の花屋さんはそんな知識はありませんし、花屋さんにはチェックする術もないです。問い詰めても意味が無いです。癌腫病のバラを掘り返すことをネットでは「芋掘り」と言うらしいです。
最初に簡単にまとめ
●癌腫病はバラ栽培でよく発生する病気。
●感染すると治癒はほぼ不可能。
●どうやら「健康な株」であれば感染しても悪化しないっぽい。癌腫病が広がって酷いのであれば環境・
肥料などを見直す。
●癌腫病が発生した場所にまた植える場合は、土を入れ替える。バラの
培養土で植えるといい。
●癌腫病が出たら、○年以内なら交換・返品ができるネットショップもあります
●癌腫病は本来は常在菌ではない、のですが常在しつつある。
●
薔薇の育種家には気にしない、とする人もいる。
気にしない?
バラの育種家は癌腫病をあんまり気にしないことが多い。感染すると根治は難しいものの、コブを取り除けばある程度は生育は回復するし、癌腫病=廃棄とするとバラの育種はほぼ不可能になるため、気にしないとする人もいる。
ネットショップに問い合わせても「生理現象です」と言われることが多いのはこういう事情から。
そうはいっても、気分のいいものではないし、感染株がある以上。作業の際には消毒は必須になる。いや、感染しようがしまいが、バラ栽培では基本的に、消毒は必須なわけで、気にしないという人の主張も一理ある。
あとはガーデナーの気分ですね。
その上で以下の項目を読み進めていってください。
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癌腫病のメカニズム
癌腫病の原因となる菌が根の傷口から入り込みます。もしくは感染した株を剪定したハサミやナイフを消毒せずに使って感染します。そして根の細胞の遺伝子を壊してしまいます(がん化させてる?)。その後、原因菌はバラの株の外に出て行ってしまいます。細胞を壊した結果、根の細胞の一部が肥大化し「コブ」となります。それだけでなく、このコブでは株が生み出した「栄養」を土中の原因菌に引き渡すようになります。そのために株は弱っていくわけです。
●遺伝子を破壊するが細菌です。ウィルスじゃないです。
問題はこの「細胞の遺伝子の破壊」がどこからどこまで影響しているか?です。癌腫病になったバラでも地上部は健康な遺伝子であることが多いので、挿し穂で株を増やせば、その株は癌腫病の株ではない健康な新株になります。
ではコブ部分を取り除けばいいか?というと、さすがに地下部分のどこまでが病気になっているのかは分からない。でも、コブの部分を取り除いて殺菌すればしばらくは回復するし、健康に管理していると消えることもある。
●ただし、大抵のバラは台木に
接木しているため、挿し穂すると元々の株とは品種は同じでも、接木ではなくなるため性質が若干違う。つまり「全く同じ株」とはならない。
●癌腫病が発生した土には原因菌がいる。
●癌腫病はあんまり気にしない、という育種家は多い。
判断
カルスということも
バラの根にはカルスというコブが出来ることがあります。傷口に発生して、そこから根が出てきます。これと癌腫が見分けがつきにくいです。カルスは元気な株や
挿木に発生します。
葉っぱの色が悪い。シュートが出てこない。出てきても勢いが無いなど症状が出るんですが、これは他の病気や調子を崩しても起こることでよく分からない。
少し掘り返し、芋部分を手で触ってポロっと取れたら、癌腫の確率はかなり高い。その取れた部分にトップジンなどの殺菌剤を塗って、しばらく栽培して様子を見て、もう一度確認して、芋が大きくなっていたら癌腫は確定です。
予防方法
とにかく消毒…これが基本
剪定するハサミやナイフ、根に触れる可能性のあるスコップなど、道具は使用前に必ず消毒し、別株で作業するたびに消毒する。
キッチンハイター(泡)で洗うと楽。もしくは薄めて吹きかける。バラ園は消毒剤を入れたバケツに1株を剪定し終えるたびに放り込んで複数のハサミをローテーションさせる。焼いて消毒が良いが刃が傷むし時間がかかる。ハイターの代わりに第三リン酸ナトリウム(商品名でいうとビストロン)もあり。
清潔な土を使う
鉢植えであれば、殺菌消毒された市販の培養土を必ず使うこと。
庭植え(地植え)にするのであれば、土に
堆肥を入れて作るのではなく、掘り上げた土をそのまま培養土とごっそり入れ替えて植え付ける。もちろんこれは金がかかりすぎで、手間もかかり、あまりに現実的ではない。だからバラ栽培は鉢植え栽培が無難。
根に傷がつかないようにする
癌腫は傷口から感染するので、植えるときに根に傷がつかないようにします。また、植える土に石があると根が傷つくので、石を出来るだけ取り除きます。
根を切ったものを庭土に植えるときは、植える一週間前に木酢液を薄めて撒きます。それから植えてください。木酢液は
酸性で、癌腫病の原因となる細菌は酸性を嫌います。ただ木酢液にどの程度の効果があるのかは微妙。
●あとはバクテローズ(薬剤)くらい。これも予防薬で、治療とは違います。
●
コガネムシの幼虫は根を食べる。するとその傷口から癌腫病が発生する。
コガネムシの防除も大事な作業。
●癌腫病は品種や環境もあるが、どうも株が「健康かどうか」が一番なんじゃないか?とも。癌腫病はよくわからない部分が多い。
どこから感染したかは、分からない
生産者の畑に癌腫病があったのかもしれませんが、購入者が植えてから感染した可能性もあります。もともと購入者の畑に住んでいたかもしれない。誰が悪いかは分からない。
ネット掲示板などで、どこの店のバラに癌腫が多いかチェックしておくのが賢明。それが「正しい情報」かどうかは神のみぞ知ること。それでも、当てずっぽうに買うよりはマシです。
外国産苗を植える
癌腫病はどうやらヨーロッパからやってきたらしく、日本のバラは大抵は日本原産の「ノイバラ」を台木にしているために耐性がありません。外国産の苗はロサ・カニナ、ロサ・ラクサを台木にしていて、これだと元々癌腫病がある地域のバラのため癌腫病にある程度耐性があります。
●そのため外人が書いた本は癌腫病を問題にしていないことが多い(気がする)。
治療方法と対応法
基本は廃棄
基本的に癌腫なら廃棄、捨ててしまいます。他の健康な株に感染するかもしれないし、徐々に弱っていくので悲しいだけです。
治療したいなら…
掘り起こし、病変部分のコブを切り取り、木酢液などで傷口を消毒し、土にも撒く。切り取る時に使ったナイフなども消毒しておく(他の株に感染するのを防ぐため)。コブを取り去ると株の弱体化は緩やかになるが、大抵はまた発生する。ただ、うまく取り除いて健康に管理していると症状が無くなることもある。
また、その株を植える場合は殺菌された土で植える。基本的には完治したわけじゃないので、鉢植えにしておき、他のバラに感染しないように庭植えは避ける。庭に植える場合で癌腫病が発生した土は直径60cm深さ60cmを掘り返して、新しい土で植える。バラの
専用土と入れ替えて植えると楽。
一旦、癌腫にかかった株を栽培するときは、作業するハサミ・ナイフは使うたびに消毒する必要があり、そうじゃないと健康な株まで感染する。
この手間と費用や精神的なストレスを考えると、やっぱり感染株は廃棄した方が賢明だと思います。感染から発症について
根の先に発生しやすい、とされます。地表近くに大きなコブが見られたらもう末期と考えてください。上記の処理をしてもちょっと手遅れかもしれない。でもやって損はないです。
コブはボロボロと取れるもの。取れてもいずれ発症します。
癌腫病に感染してから発症するまで何年か掛かる。そのために、どこで感染したのかは分からない。苗の時点――つまりは流通時点で感染している可能性は高い。
挿し穂で保険
根は病気になっていますが、地上部は感染していないこともあります。
これはどこまで感染しているのか分からないため、賭けでもあるので、やらない方が無難ですが、挿し穂で更新することもできなくもないです。
バラの枝を葉っぱ3枚がついたものを取り、発根剤を塗って
赤玉土の苗床に挿していると発根しますので、発根したら鉢に植え付けます。ただ、バラは大抵は接木しているもので、挿し穂で増やしたものは接木じゃなくなるので以前よりは生育が悪くて病気に弱い株になってしまいます。
最後に…
廃棄するのは心が痛いですが、あくまで基本は廃棄。コブと取り除くことでそれでよしとするのも手ですが、その場合は消毒をしっかりとするようにしましょう。
あとは通常の管理に戻ります。通常の管理については
バラを参考にしてください。
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