なぜ必要?剪定の目的と手順
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剪定とは
剪定は樹木の枝を切ることで全体を整えたり、風通しをよくしたり、成長を促したりと樹木の健康には必要な作業のこと。
剪定って不自然?
よく「自然で既にキレイなものに人の手を加える」ということは矛盾しているんじゃないのか?と考える人がいます。人が手を加えなくても自然はそれだけで循環をしているのではないか??という批判です。
昔は私もそうなんじゃないかと思っていました。でもどうも違う、と今は考えています。というのも
「自然は人の手が加わることを前提にして成り立っている節がある」からです。よくマツタケが赤松の根本に生えるということを聞きますが、そもそもマツタケは人が入って手入れをしている山じゃないとなかなか生えません。昔は釜を炊くために薪(まき)を拾っていました。そのせいで足元は適当に開け、風通しがよかった。私たちが森に行って「森林浴」と背伸びして「空気がきれい」と感じられるのは確実にそこに人の手が入っているからです。人の手が入っているから、見晴らしが良くて風通しが良くて、木漏れ日が差すのです。
だから庭木も手入れをしないとキレイにはなりません。
●「週末だけ」「ある時期だけ」「
台風や大雪のときだけ」「観光客の目につかないところで」お手入れされるような場合や、自然な風合いに見えるように意図されて仕上げられている場合、一見しただけではお手入れしてくれる方の存在に気づかないかもしれません。
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剪定の目的
脇枝を出させる
枝を切り戻すことで、脇枝が伸び、結果的に大きく育ちます。もちろん枝を落としても脇枝が出ない(出にくい)樹木もあります。「
サクラ折るバカ、
ウメ折らぬバカ」という言葉があります。ウメは剪定するとしただけ枝が何本も伸びて花を付けるのですが、サクラは剪定すると傷口から
病気になったりして株が弱ることが多いことから来た言葉です。
摘芯と同じシステムですので
を参考に。
成長を抑える
放置しておくとバカでかくなって、管理がしにくくなる樹木もあります。そういった樹木は適宜切って大きくなりすぎないように剪定します。大きくなっても3メートル以下に抑えておかないと大変です。
高さを抑えるには
芯止めを行います。手順は以下のページを参考に。
風通しをよくする
小さな枝が四方八方から伸びて、幹に近いところが密生して風通しが悪くなり、病気になることがあります。また、
害虫が発生しやすくなります。そこで枝を間引いて、幹の内部まで日光と風を通すことで木の健康を維持します。
樹形を整える
どうしても日光の多い方が偏って育ったり、思いがけず変な方向へ枝が伸びることが多いので、それを切り落としてバランスよく仕立てます。単に格好が悪いだけならいいのですが、大きな影を作って他の植物に日が当たらなくなったり、隣の家に出張って近所関係が悪くなったり、
ピラカンサスのように枝にトゲがある樹木が道に出張って人を傷つけるということもあります。
徒長の制限
ヒコバエ(シュート)のように根本からヒョッコリというかシュっというか、ヒョロ長の枝が出ることがあります。こういうのを放置しておくと栄養が分散され、大抵こういったシュートには花が咲かないので無駄です(もちろん種類によるのでおおまかな話です)。
剪定の時期について
樹木が花を咲かせるために樹木は大体一年前くらいから花を咲かせる準備をしています。一見するとつぼみも何もないのですが、いずれ花になる「
花芽」を育てています。何も知らずに適当に剪定をしてこの花芽を落としてしまうと、次のシーズンに花が咲きません。
花芽をいつ作っているか知らないと剪定が出来ません。樹木の種類によって花芽が出来る時期が違うので、この知識が剪定には絶対に必要です。花芽ができること「花芽分化」の時期は各樹木のページに書いてあるので、必ずチェックしておきましょう。
剪定の手順
準備
虫がいるかもしれないし、枝や幹で擦ってしまうかもしれませんし、虫がいることもありますので、長袖・長ズボン・帽子で防護しつつ、軍手をして作業をしましょう。樹高の高いものを剪定するなら脚立も用意します。
よく切れるハサミで行います。切断面がギザギザだと不衛生で後々ダメージになりかねないです。太い枝はノコギリで落とします。
チェンソーは?
太さが2cmまでならハサミ、
太さが2cm〜10cmは電動バサミ
20cmまでは電動レシプロソー
そこから先はチェーンソー、
ノコギリは時間がかかるがかなり太いものでも切れるし安全。
切れ味がよいと樹木の健康にもいいが、切れ味がよいということは事故が起きるってこと。一年に一回の剪定で、一回しか使わない道具で、慣れない剪定をすれば自己が起きるのは当然。指を多少切ったでは済まず、切断することもよくあります。
ノコギリで切れない太さになったら…直径30cmになったら、造園業者に相談しましょう。それが無難です。
大木でノコギリの刃が噛むのは、角度が悪い。刃を上から斜め下に入れて切る。
①枯れた枝を切る
まずは、枯れた枝を切ります。そのままにしておくと、そこから病気が広がったり、ここに害虫が住んでしまうこともあります。何より不要ですし、見た目も悪いですから剪定してしまいます。
②変な方向に伸びた枝を切る
流れと反対に向かう枝、細かい枝などを落としてしまいます。詳細は以下のページを参考にしてください。
③徒長枝を切る
他の枝に比べてやたらと勢いのある枝を切ってしまいます。樹木にもよりますが、こういう枝には大抵、花が咲きません。それに放置していると樹形が乱れますし、徒長枝に栄養を取られて他の枝が弱ることもあります。徒長枝を切るときは、枝分かれしているところまで戻って根元から切ってしまいます。
④必要に応じて切り戻す
樹木によっては、枝先を切り戻すと、摘芯になって脇枝が出てきて、密生します。生垣にしている場合や、枝先に花が咲く樹木の場合は切り戻すといいです。
⑤樹形を整える
まずは遠くから見て、「この枝を切ろう」と算段をつけてから切ります。切ったら、また遠くから見て、次の枝を決めます。これを角度を変えつつ、何度か繰り返すと整います。
⑥癒合剤を塗る
太い枝を切って、そのままにしていると切り口から雑菌が入って病気になったり、腐ってしまうことがあります。そこで切り口は
癒合剤を塗って保護します。癒合剤は木工用ボンドでも代用できます。
完成です。
以上で剪定は終了です。
剪定で切った木は剪定ゴミとして自治体に出してもいいですし、粉砕して
マルチングにしたり、
コンポスト(
堆肥・
腐葉土)として利用するのもあり。粉砕するシュレッダーは安いものではなく、京セラなどちゃんとした会社のものを買った方がいいです。安いのを買ってもすぐに壊れて結局高いのを再購入することになりがちです。
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園芸用語