園芸品種

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園芸品種とは

園芸品種というのは、特定の植物を交配したり選抜するなどして人が作り出した品種のことです。栽培品種と同じ意味で使われます。園芸品種は元の種にはない色合いや、斑入りであってり、病害虫に強かったり、暑さ・寒さに強くなっていたりと、何か栽培でのメリットがあるように作られています(実際はメリットがあるものが流通しているだけですけどね)。
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品種について

●●科●●属と書いたとき、科→属とより細かい分類になるというのは分かると思います。品種というのはこの「属」の下の「種」の更に下の区分けに当たります。一般的に同属同志の種を交配させますが、中には別属同士で交配できるものもあります。

科→属→種→品種
観葉植物イポメア学名は「Ipomoea nil」です。Ipomoeaというのが「科・属」を表しています。「イポメア」の日本語名は「サツマイモ属」です。イポメアとサツマイモは同じ属の植物なんです。この二つの違いを表すのが「nil」の部分です。これが「種」に当たります。品種はこの下位……つまり、色とりどりの花についた品種名がここにあたります。ちなみに属名には必ず他の属名と重ならない名前が付きますが、種名には重なるものがあります。例えばデルフィニウムシネンセスプリムラシネンセスなど。

園芸品種の例

園芸品種:園芸品種の例
例1 ガーデンシクラメン
交配選別を繰り返すことで独特の形質、有用な性質を人工的に作り出した園芸品種の例としては、ガーデンシクラメンがあります。ガーデンシクラメンは日本の農家が寒さに強いシクラメンを選別して交配して種子を作り、育てて寒さに強い株同士を交配……という作業を繰り返すことで、寒さに強いシクラメンを生み出した結果です。
シクラメンは球根で栄養繁殖することが出来ます。栄養繁殖はクローンですから性質は親球根と全く同じ――寒さに強いわけです。

例2 ペチュニアカリブラコア
サントリーがペチュニアから作り出した園芸品種がサフィニアです。サフィニアは1989年に登場、春から夏のガーデニングを変えたと言って差し支えの無い存在です。ペチュニアと近縁種カリブラコアの改良が進み、サフィニアの優位性はもう薄いですが、まだまだ根強い人気があります。

F1種は種子ができにくい理由

園芸品種:F1種は種子ができにくい理由
すでにある種を人工的・意図的に交配させて作ったものを園芸品種といいます。園芸品種のうちF1種というものがあります。F1とはFilial 1 hybridのことで、日本語では1代雑種とか雑種第一代という言い方をされます。

園芸品種を作って販売するにあたって、Aという種とBという種を用意します。植物には花の中に雄蕊(オシベ)と雌蕊(メシベ)があります。雄蕊には花粉がついていて、自家受粉するものでそのままだと、その花の雌蕊に花粉がついて受粉して、種子ができます。これだと、普通に親株と同じ性質の種子ができます。

そこで、まず花粉が少ない株を選抜して交配させていきます。そうして、花粉が少ない子株を何世代も作っていき、徐々に花粉のできない株を作ります。すると、この株では雌蕊に受粉しなくなります。

その花粉ができない株Aに、花粉ができるB株の花粉をくっつけて受粉させます。するとAとBの性質を受け継いだ株(種子)ができます。これがよく流通している園芸品種(F1種)です。この手順を踏まないと、できた種子に「望んだ性質」ではない確率がグッと上がりますので、この手順を踏みます。つまりこれは種の品質を一定にするための大事な技術です。

すると、この園芸品種は花粉ができない親株Aの性質を受け継いでいるため、種子ができづらくなります。その結果、園芸品種から「種子」ができづらくなります。ただ、種子が「絶対できない」のではなく、「かなりできづらい」ものになる訳です。
種苗会社が成立するのはこうして、次の世代が生まれないテクニックがあるからです。

親株の性質を受け継ぎにくい?

園芸品種は掛け合わせて生まれた新しい品種を挿木などの栄養繁殖で増やすってのが普通です。F1種は次世代(種子)が生まれにくくなっていますが、栄養繁殖でなら増やせます。

では、このF1種を含めた園芸品種を自家受粉させると、親株と同じ種子が採取できるかというとそうはならないんです。

園芸品種が受粉してできたものは、親株の性質を必ずしも受け継ぎません。「絶対受け継がない」ではなく、「必ずしも受け継がない」だけです。これはメンデルの法則の解説を読めばわかります。親と全く同じ性質を受け継ぐ種子もできるんのですが、かなり確率は低く、ほぼほぼの個体が親の性質を受けつかず、何世代か経つと、(元の性質の個体は)なんやかんやで、ほぼ駆逐されます。

なので園芸品種は種子を作らせず、株分けなどで増やすか更新して継続して栽培させるか、毎年、苗を買って栽培します。
そうして種苗会社は利益を挙げられ、新しい品種が毎年生まれるのです。今後の新しい出会いのためにも苗を買ってあげましょう。
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