ゼラニウムの育て方

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ゼラニウムの基礎データ
ゼラニウム
科名フウロソウ科
属名ペラルゴニウム属
学名Pelargonium hortorum.
別名テンジクアオイ
耐寒0度〜5度
水やり水控え目
場所外の日なた
難易度初心者向け
画像投稿
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開花
植え
肥料
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ゼラニウムとは?

ゼラニウムはフウロソウ科多年草。条件が揃えば長期間咲き、良い香りがあるグループもあり、種類によっては葉っぱに模様が入っていてカラーリーフとしても優秀、かつ育てやすいと結構いいことづくめ。葉や茎の独特の匂いが嫌い!という人もいますが、その代わり虫が付きにくいというメリットもあります(蚊取り線香にドグダミを加えてより強烈にしたような匂いがする)。

霜に当たると枯れてしまいますが、暖地では戸外で問題なく越冬、中間地では戸外の軒下で霜に当てなければ越冬します。ただし気温がマイナス5度以下になる強い寒波が来ると室内に入れる必要があります。関東以北では冬は念のため室内に取り込み明るい窓辺に置くとよいでしょう。若干夏の暑さに弱いものの夏越しは難しくありません。

ゼラ?ペラルゴ?

植物を分類するときに「科」というのがあります。その科のさらに細かい分類が「属」です。まず、そもそも「ゼラニューム属(ゲラニウム属=フウロソウ属)」というのがありまして、非常にたくさんの種類のゼラニュームが属していました。

で、ある日、その中から見直すことになりまして、ゼラニュームの中の似ている種類の一群が「ペラルゴニューム属」として独立したんですね。そのペラルゴニューム属の植物が現在、流通している「ゼラニューム・ペラルゴニューム」の品種になってるんです。

ゼラニウムというのは昔のゼラニウム属に属していたときに呼んでいた名前で、厳密に言えば現在はゼラニウム属じゃなくてペラルゴニウム属なんですよ。でも、ゼラニュームで浸透しちゃってるものだから、今でも「ゼラニウム」って呼んでいるんです。だから、ゼラニウムとペラルゴニウムは現在では区別の曖昧な存在です。

だからどちらも学名は「ペラルゴニウム」ですが、ゼラニュームとペラルゴニュームは元となった品種が違うので、性質が違うっちゃ違うので性質がちょっと違います。

種類・品種

花ゼラニウム

花ゼラニウムは花をメインにした普通の「ゼラニウム」のこと。南アフリカのケープのペラルゴニュームインクイナンスやペラルゴニウム・ゾナーレを品種改良したもの。一重・八重・色も様々な花が咲きます。以下の変わり葉ゼラニウム(ファンシーリーフドゼラニウム)と星咲きゼラニウム(モミジバゼラニウム)も「花ゼラニューム」に属します。英名はフィッシュゼラニュームという。これは葉っぱが「生臭い」から。現在は品種改良でそこまで臭わない。

ゼラニウムは魚臭いが、花が多い。ハーブゼラニウムセンテッドゼラニウムは香りがいいが花が地味。だけど、ハーブ・センテッドの方が比較的、楚々としているので人によっては可憐だと思うかもしれないです。

変わり葉ゼラニウム

葉っぱに模様が入っている種類。葉っぱがメインで花はオマケで花は貧相!というのが従来だったのですが、品種改良で最近は花も大きく派手になってきています。育て方は一般的な花ゼラニュームと同じ。秋から冬の寒い時期に葉っぱが鮮やかになる。

斑入りゼラニウムは花が少なめ。これは品種改良する上で葉っぱの斑入りを優先した結果、花が少なくなったためではないかと思われる。

星咲きゼラニウム

星咲きゼラニウムのモミジバゼラニュームという種類の流通が多いので、そちらの名前の方が有名だと思います。葉っぱが紅葉の形をしていて、四季咲きで、花が細く星のように開花します。ペラルゴニウム・フォルミヌムを改良したのだと言われていますがよく分かりません。

アイビーゼラニウム

アイビーゼラニウムツタバゼラニウム)はペラルゴニウム・ペルタトムの改良種で匍匐性で四季咲き。アイビーに似た葉っぱが皮のようにシッカリしていて、垂れ下がるように伸びる。夏の暑さに弱く、寒冷地でしか育たないのが普通だったが、現在は一季咲きの暑さに強いものも流通しています。

アイビーゼラニウムはサボテンの土のようじゃないと夏の暑さで枯れやすい。サボテンの土にさらに軽石(鉢底石)を2割ほど混ぜるとなおいい。

ペラルゴニウム

ペラルゴニウムは一季咲きのグループ。南アフリカのケープ原産のペラルゴニュームグランディフロルムやペラルゴニウム・ククラタムなどを改良した品種群を指しています。「ゼラニウム」とは元となった種類が微妙に違います。花が大きく、ゼラニウムより寒さに弱く、性質も全体的に弱い。ゼラニウムの葉っぱが生臭いのに対して、ペラルゴニウムの葉っぱは香辛料か漢方のような香りがします。

ハーブゼラニウム・セインテッドゼラニウム

匂いゼラニウム(ハーブゼラニウム・セインテッドゼラニウム)は匂いがメインの品種で、香りがいい変わりに花が地味なことが多い。というか花が大きな品種は香りが鈍い。ローズゼラニウムミントゼラニウム、レモンゼラニウム、アップルゼラニウム、パインゼラニウム、ストロベリーゼラニウム、ライムゼラニウムなどがあります。育て方はペラルゴニウムと同じだが多少寒さに弱い。

ハーブゼラ=センテッド=匂いゼラは同じもの。同じ意味だが、今はセンテッドゼラニウムって名前でよばれがち。

セイテッドゼラニウムは冬の時の方が香りが強い…というか冬の方が良い。寒い方が青臭い匂いが混らないからいい匂いがする。ただし種類によってはあまり変わらない。

センテッドはこぼれダネで増えることがある。種ができるものもあるしできないものもある。品種改良されたものは不稔性が多く、種子ができないことが多い。昔に流通した株ほど種子ができやすい。

センテッドゼラニウムは種類が多い。多すぎてマニア心をくすぐるが、集めるとスペースがなくなる。冬越しも大変だし。

ナツメグゼラニウムはナツメグの香り。好みが分かれる香り。ハンバーグを思い出す。

レモンバームゼラニウムはレモンユーカリに香りが似ています。

ローズゼラニウム

ローズゼラニウムはハーブゼラニウムのうち、バラの香りがするもの。非常に人気なセンテッドゼラニウムのグループ。香りが強いからかハーブコーナーにありがち。育て方はペラルゴニウムを参考に。

地植えだと1mを超える。大きいのがいやなら挿木して更新しし、小さくまとめるようにする。

ローズゼラニウムの挿木は斜めに切って、半日から1日ほど日陰で放置して切り口を乾かしてから、土に挿木する。挿木してからも乾燥気味に管理するが、普通の挿木のように水をやっても発根する。

東京・千葉市川の軒下でローズゼラニウムは越冬する。葉っぱの何割かは枯れるが全部は落ちないで越冬。ただし強い寒波が来たら無理だけど。

カトリソウ

ハーブゼラニウムを品種改良して蚊除け成分が多くしたもの。蚊取り草・蚊取り花・蚊香龍(カコロン)・蚊連草・蚊嫌草・蚊逃草という名前で流通していることがあるが、実際に蚊除けの効果はない。もしくはあっても気のせいレベル。

水やり

ゼラニウムはどちらかといいうと、乾燥気味を好み、過湿を嫌うので、水のやり過ぎに気をつけてください。土を指で触ってみて濡れているかどうか確かめてから水をやりましょう。水をやるときは鉢底から水が染み出すくらいに、しっかりと水をやり、受け皿に水が溜まっていたら、溜まった水は捨ててください。

鉢植えの季節の水やり

<春>鉢植えの場合は、土が乾いていたら水をしっかりとやります。その代わり、土が濡れているときは水をやらないでください。水をやりすぎると根が腐って枯れてしまいます。

<夏>土が乾いていたら水をしっかりとやるということは変わりませんが、真夏は水の蒸発が激しく、日当たりや風通しにもよりますが、毎日朝と夕方の二回、しっかりと水をやります。

<秋>気温が下がるのにあわせて水やりの頻度を少なくしていきます。春と同様水をやるタイミングは「土が乾いたら」です。水をやりすぎると根が腐ってしまいます。

<冬>土が乾いていてから、三日ほど経ってから水をやるようにします。冬は水を吸い上げる力が落ちています。土の表面が乾燥していても、内部には水が残っています。水やりを減らすことで耐寒性も若干あがるので乾燥気味に管理して下さい。できれば土壌水分計で計測してから判断すると根腐れが防げます。
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庭植えの水やり

庭植えにした場合、ゼラニウムは乾燥に強いので、自然に降る雨でほぼ大丈夫。日照りが続くようならば水をやってください。

肥料

春~秋に花を楽しむためには生育期間に液体肥料を一週間に一回か、二週間に一回与えて下さい。もしくは1ヶ月に一回化成肥料をやります。ゼラニウムは花がよく咲く植物で、肥料が切れると開花が止まります。

一般的な液体肥料か緩効性化成肥料を使います。葉っぱを茂らせたいなら油かすを。花も咲かせたいなら骨粉を足す。
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植え付け・植え替え・挿し木

時期

活動を始める直前の3月ならば土を落として植え替えも可能。3月以外の植え替えでは土は落とさないようにし、根をいじらないで植え替えをする。
3月でも開花しているときは植え替えは避けます。

用土

市販されている花と野菜の土か、花と野菜の土に川砂を混ぜたり、川砂・軽石小粒・パーライトなどを足して水はけをよくしてから植え付けします。水はけが良い方がいいですが、市販の「花と野菜の土」で十分です。自作する場合は赤玉土腐葉土3を混ぜたものを使います。

ゼラニウムは酸性の土は苦手です。中性〜弱酸性なら問題無いです。庭植えは植え付け前に苦土石灰を入れて、中和させるといいです。
夏の暑さで枯れがちならば、用土を山野草の土にしてみる。土の通気性がよく高温障害が起きにくい。これで夏越しの確率は上がる。もしくは一般的な培養土に軽石(鉢底石)を1割か2割ほど混ぜる。用土は日向土7腐葉土3でも。

3月以外の鉢植えの植え替え手順

3月以外の植え替えなら、古い鉢から株を取り出し、土を落とさないで植え替えます。

一回り大きな鉢を用意し、鉢底の穴を網で塞ぎ、網の上に軽石を2センチほど敷いて、株を入れて、隙間に用土を詰めていきます。最後に水をやって完成です。水は鉢底の穴から水が出るまでやってください。

3月の植え替え

3月の植え替えならば、土を三分の一ほど落として同じ大きさの鉢に植え替えるのも可能。他の時期の植え替えは土を落とさず、一回り大きな鉢に植え替える。鉢はスリット鉢がおすすめです。

さらに詳細な植え替えは以下のリンクを参考に

挿し木

長く育てていると木質化する。木質化した方が強いと考える人もいるが、大きくなりすぎないように挿木で更新して木質化しないようにする人もいる。

挿し木で増えます。簡単です。茎を切って、土に挿していると発根します。挿木を始めると嬉しくって大量に増やしがちだが、結局増やしすぎて捨てることになる。挿木の詳細は以下のページを参考にしてください。

管理場所

ゼラニウムは日の当たる場所で管理します。家の南や東で日光に当てましょう。一日中、日光が当たる場所か、半日陰の場所が理想です。ただし、真夏の暑さに弱く、夏は涼しい場所を好みます。そこで最初から半日陰で管理してもOKです。もしくは鉢植えにしてその都度移動させます。

日光が少ないと花つきも悪くなり、斑入りの葉っぱの場合は模様が薄くなるなどしてしまいます。室内で育てると日光に当てているつもりでも徒長しがちです。

季節ごとの管理場所

<春>霜が降りないのであれば戸外の日当たりか、半日陰で管理します。春から秋に掛けては日光と水と肥料があれば、スクスク成長します。<夏>ゼラニウムは高温が苦手で、一日中25度を下回らない日が続くと葉っぱが落ち、葉色が悪くなり、花が咲いても色が薄いなど、残念な状態になっていきます。出来るだけ涼しい半日陰か日陰に移動させます。もしくは寒冷紗などで遮光します。

<秋>涼しくなってきたらまた日当たりに移動させてもOK。

<冬>地域によりますが、広島では軒下ならば越冬可能です(といっても強い寒波が来ると枯れる)。霜が降りる場合や寒冷地では室内で管理します。ほどよく暖かい室内かつ窓ガラス越しに十分日光を浴びることのできる位置に置くと、真冬でもツボミや葉が伸びてきて開花します。開花するなら、室内でも液体肥料をやります。

マイナス5度以下になるなら水を切る(=水やりを完全にストップする)と越冬の確率があがる。ただし寒さのダメージからの回復が遅くなるかも。

摘芯

植物は成長点(ツルの先)を切ると、その下の節や葉っぱの根本から、新芽が出てきます。これを摘芯といいます。摘芯して、枝を増やして、花を増やせます。それにゼラニウムは下葉が落ちて、「頭でっかち」になりがちなので、伸びてきたら、ちょいちょい摘芯して大きさを抑えつつ、枝を増やしましょう。

病害虫

ウドンコ病灰色カビ病ウィルス病アブラムシハダニカイガラムシヨトウムシなど。ゼラニウムは病害虫は発生しにくい。害虫対策にオルトランがあると楽ですが、ヨトウムシだけならピンセットでなんとかなるレベル

株が弱って枯れそうならば、挿木で保険をかける。その上で植え替えなどの措置を取りましょう。

病害虫に関しては以下のリンクを参考にどうぞ。

トラブル

日光不足などでも落葉しますが、単に葉っぱの入れ替わりで自然と落葉します。自然現象なので諦める。日光が当たってちゃんと管理していれば回復します。その他のトラブルは以下のページを参考にしてください。

ゼラニウムを買う際の株選びのポイント

品種がいっぱいあり、価格帯に幅があります。

まずは花の色形(あるいは葉の色形)で好みのものを探します。赤(深紅ではないごく普通の赤)や桃色の一重咲きの、いわゆる従来のゼラニウムはお安いです(200円ぐらいから)。新色や珍しい品種は少々お高く(千円超)、扱っているお店も限られています。同じお店の中で安いゼラニウムと高い新色ゼラニウムを両方置いている場合もあります。予算や好みと相談です。多少高くても好みのゼラニウムが欲しいと思ったら、お店巡りやネット検索で探してみてください。種類が多いので本気で探すと結構大変です。ただ、安いゼラニウムだと枯れやすいとかいう心配はないです。育てやすさは同じですが高いゼラニウムに比べてお花の見ごたえに多少差があるだけです。
●間延びした株は避けます。
●葉っぱや脇芽が多いものを選びます。
●黄色い葉っぱが多いのは避けます。一番下の一、二枚がやや黄色い程度なら生理現象の可能性があり、上の方が元気そうなら問題ないです。元気な葉は、新しいと黄緑色、ある程度時間が経つと深緑色になります。葉っぱの丸みに沿って黒っぽい三日月のような模様があるのは単に模様なので問題ないです。
●適度に暖かいと(=25度を越さない暖かさ)どんどん生育しますので、最初見たとき株が小さくても問題ないです。冬でも室内ならニョキニョキ伸びます。

月別育て方

ゼラニウム・ペラルゴニウムの月別の栽培のコツをまとめたページがあるので、よろしければ参考にしてください。
1月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
2月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
3月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
4月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
5月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
6月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
7月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
8月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
9月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
10月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
11月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
12月のゼラニューム・ペラルゴニュームの栽培管理
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