ウェット法…葉っぱを残してシクラメンを夏越しさせる方法
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ウェット法…葉っぱを残してシクラメンを夏越しさせる方法
このページには
シクラメンを
夏越しさせる際に、葉っぱを残して休眠させない方法を中心に書いてあります。最近は「ウェット法」とネットで呼ばれています。ちなみに休眠させる方は「ドライ法」。
ここにこんなことを書くのはなんですが、シクラメンは毎年買い換えるのが気楽、かつ安上がりです。
水やりの手間と経費と、
肥料・土・鉢などお金がかかりますからね。ガーデナーとしては廃棄するなんて心が傷みますから、夏越しは挑戦せざるを得ないのですが、
あまり気負わず、楽しむようにしてください。スポンサーリンク
ポイントは夏越し
性質を理解しましょう
シクラメンは中東の雨季と乾季のある地域の植物で、雨季に開花し、乾季に休眠します。冬に開花しているのは日本の冬を「雨季」だとシクラメンが考えるからなんですね。
休眠するかしないか?
シクラメンを夏越しさせる方法には二つあって、一つは春以降完全に水を断って休眠状態にさせる方法と、もう一つは休眠させないで夏も多少ですが葉っぱを出しておく方法があります。このページでは休眠させない方法について書いてあります。
休眠させる方が簡単で成功率は高くなると言われていますので、
初心者の方や初めてシクラメンの夏越しに取り組む場合は「休眠させる」方法を取ります。ただし休眠させると開花期間が多少(一ヶ月ほど)短くなり、開花する時期も一ヶ月遅れるとも言われます。
休眠させない方法は、夏の間もチョロッとですが葉っぱが残るので、球根に栄養を送り込むことができて太らせることができます。これが後々の開花時期に有利ではあります。ただ、日本の夏の気候がシクラメンにとって適していない(過湿)ものですから、管理が繊細なんですね。
●シクラメンは寒い時期に非常によく花が咲きます。花がよく咲くということは栄養をたくさん消費するということです。球根に栄養を溜め込むかどうかが「花がたくさん咲く」大事な条件です。
●4月以降、気温が20度以上になると、グッタリし、30度以上では休眠してしまいます。本来のシクラメンは夏は葉っぱを無くして球根だけですごしますが、このとき管理をミスすると多湿で腐ってしまいます。これを超えるかどうかが「翌年咲くかどうか」の境目です。
春の管理(3月〜4月)
春の置き場所
春になり、気温があがってきて10度以下にならないなら戸外の
半日陰で管理してOKです。半日陰というのは午前中にだけ日が当たるような場所か、カーテンやヨシズで遮光した場所です。
●室内のカーテン越しの日が当たるところで管理しても大丈夫。
●日光に当てて球根を太らせることで花が増える。よってしっかり日光に当てること。あと、肥料もやること。
春の水やり
ウェット法の場合、水は通常通りやります。底面給水がある場合は、そこからやります。水が切れるとグッタリしますので、水が切れないようにしますが、葉っぱが少なくなってきて今までのようには水を吸い上げませんから、水やりの頻度はかなり減ります。水やりが多いと球根が腐るので気をつけましょう。
●休眠させる方法の場合は6月には水やりを完全にストップさせて無理やりに休眠させます。
●球根が腐ったら、腐った部分をエグって消毒しておくと回復することもあります。でも、5月〜9月に腐ったら高確率でそのまま枯れます。
春の肥料
5月までは一週間に一回か、二週間に一回程度で薄い液肥をやります。液肥をやっておくと球根が太り、夏越しを成功させたあとに花が多く咲きます。6月以降は月に一回程度にします。
肥料が少ないと開花が少なくなります。何年か育てていて、シクラメンの開花時期(10月〜3月)に花や葉っぱが少なくなったら肥料不足を疑いましょう。
春の注意点
葉っぱが黄色くなったらむしります。黄色くなっていないならむしりません。むしる時は
花茎をつまんで根元をひねって「プチ」って音がするようにして捩(ネジ)り切ります。茎が残るとそこが腐ったりカビが生えて傷んで、
病気の元になるからです。緑の葉っぱは光合成をして球根に栄養をためているので無理にむしると球根が痩せやすくなり、翌期の開花が鈍くなります。
葉が茂っていると風通しが悪くなり、球根が腐りやすいので、葉っぱがしげりすぎているなら、青い健康な葉っぱも間引いて風通しをよくします。
球根が腐らないように予防する
休眠させない方法ではずっと水やりをするので、過湿になりやすく、細菌性の球根腐敗病で腐りやすいです。そこで前もってベンレート水和剤(ベノミル剤)を撒いておきます。普通はそこまでしないですが、夏越しの確率はグっと上がります。
春に植え替えるという方法も
秋に植え替えるのが一般的ですが、春に植え替えることで、秋の「これから発育するぞ」という時期に植え替える
ストレスを回避する方法もあります。植え替えをする場合は、鉢から土ごと株を取り出して、土を落とさずに、一回り大きな鉢にスポっと入れて隙間に新しい土を入れます。
●鉢は極端に大きいものは避ける。球根の周囲に2センチくらいの土のところがある程度の大きさが、適していた多少それより大きくてもいいが、ドカンと大きいのは、土に水が残って
根腐れの原因になる。
夏の管理(5月〜9月)
夏の管理場所
戸外の
雨の当たらない明るい日陰か半日陰で管理します。風通しがよく涼しいところが適しています。夏の直射日光に当たると
葉焼けを起こして葉っぱが枯れてしまいます。日当たりの悪いところで管理するの暑さ対策(30度以上で弱る)でもありますが、主には葉焼けを防ぐためです。
夏の水やり
10日に一回か二週間に一回程度、ざっと土に水をかけてあげます。球根に水をかけると球根の上部の凹んだところに水が溜まって、水が腐って球根まで腐ってしまいますので、
首の長いジョウロで土に水を注いでください。
受け皿や底面吸水に水が溜まっているなら水は捨ててください。水が腐ると病気になります。水をあげすぎると腐りますので控えてください。
底面給水の底の水受けを外してしまいましょう。外れないタイプなら水がたまらないように、水をこまめにしっかりと捨ててください。
●水やりを忘れて葉っぱがしおれ、すべて落ちてしまったら、休眠したとして水やりはストップし、ドライ法に切り替えます。気温が下がれば、また葉と根が出てきて復活するので秋になったら植え替えをしましょう。
夏の肥料
6月以降は薄い液体肥料…説明書の規定量の倍の水で薄めたものを一ヶ月に一回程度あげます。濃いものをやると球根が腐りやすくなります。葉っぱがなくなって休眠しているのであれば、肥料はやらないでください。
夏の注意点
とにかく涼しい場所で管理すること。雨に当たらないこと。過湿になると腐りますので、風通しの良いところで管理しましょう。夏越しは「風通し(=過湿にならない)」の一点にかかっています。葉っぱがあるならば、風通しの良い半日陰や明るい日陰で。葉っぱがないなら涼しいところで管理する。
ウェット法なので、葉っぱは残すのですが葉っぱが多いなら、さばいて数を減らし、風通しをよくして蒸れを防いだ方が良いです。葉を取るときは根本を回してねじ切ります。花を取るより難しいです。茎が長い葉っぱは、短いものより黄色く変色しやすいので、早めに取ってしまっていいです。
室内で管理するなら室内のレースのカーテン越しの日光に当ててください。また、冷暖房(クーラー)の風は非常に乾燥しています。直接当たらないようにしてください。
秋に植え替え(8月下旬〜9月)
無事に夏を越したら、秋に植え替えをします。8月下旬から9月中旬です。一回り大きな鉢を用意して、そこに「シクラメンの
培養土」「シクラメン
専用土」というものがありますので、コレを利用するのがいいです。シクラメンが育ちやすいように配合されていて、肥料もシッカリと入っています。培養土を買ったほうがいいです。結局安上がりです。
用土は
を参考にしてください。
根土はほぼ落とさないで植え替える
植え替えの時に、鉢から株を取り出して植え替えるのですが、その時、根を張っている土を多少は落とすだけにします。土を落とすと強いストレスになり、新しい土で植え替えても回復するまでに非常に時間がかかります。根土は少し落とす程度にするのがよりよいです。ただ、大きな鉢に植え替えられない…同じ大きさの鉢に植え替える場合は土を三分の一ほど落として新しい土を足して植え替えます。
植え替え後は養生のため、3日〜1週間は日陰で管理します。その後、徐々に日当たりへ移動させます。
シクラメンはもともと日光を好むものです。ただ暑さと直射日光に弱いだけです。そこで涼しくなってきたら――最高温度が20度を切ったら、戸外の日陰から半日陰、徐々に日当たりへと移動させてください。その頃には新芽が出てきます。
●ただしシクラメンは5度以下になると枯れますから、10月ごろまでには室内の日当たりへと移動させてください。
●霜に当たれば一撃で枯れます。
夏越しの成功率は?
9月になり涼しくなると、新芽が出てきます。
夏越しが出来るかどうかは環境によるので、出来る人は毎年できますが、出来ない人は何度挑戦しても――いくつかやってみて、うまくいったらラッキーくらいの軽い気持ちでやりましょう。成功率は環境によるのですが50%くらいです。休眠させる方法の方が成功率が高いというんですが、家によっては立地によっては風通しの良い場所というものが敷地内にあまり存在しない家ってのもあるんですよね。だから、あんまり必死にならないことです。必死になると、「これだけ手をかけたのに!どうして失敗するんだ!?」と腹も立ちますよ。
夏越しに成功しても、購入時のようには咲かないことが多いですが、毎年育てていると株が大きくなり、花数は増えていきます。ただ、5年くらいで突然枯れることがあります。
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