沈丁花(ジンチョウゲ)の育て方…鉢の植え替えはなぜ失敗しやすいか?
目次
ジンチョウゲ(沈丁花)とは植え付けと植え替え管理場所水やり肥料剪定病気・害虫特徴・由来・伝承関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- ジンチョウゲ
- 科名
- ジンチョウゲ科
- 属名
- ジンチョウゲ属
- 学名
- Daphne odora
- 別名
- 沈丁花・瑞香・輪丁花
- 水やり
- 水控え目
- 場所
- 外の日なた
- 難易度
- 上級者向け
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ジンチョウゲ(沈丁花)とは
ジンチョウゲは中国。ヒマラヤが原産地の
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑
低木。春先に咲く常緑低木。成長しても1メートルくらいなので生垣にも向いています。最大の特徴は香り。そのために植えるといっても過言ではないです。寒さにはそこそこ強いですが、寒冷地の寒さには耐えられないので、寒冷地では鉢植えにして管理してください。
寿命が短い樹木で、10年〜25年ほどで枯れることがあります。もっと短い時期に突然死することがあり、ジンチョウゲではよくあること。鉢植えだと余計に寿命は短くなる。その場合は、新しい株を植えるか、
挿木で更新しましょう。
樹高1m
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植え付けと植え替え
移植・植え替えはできない
ジンチョウゲは移植が難しい植物です。根が傷つくと成長不良を起こしたり、株が弱りなかなか回復しなかったり、多くは枯れてしまいます。鉢植えにせず、庭植えにして、移植せず植えっぱなしが基本です。
プロでも植え替えは難しい。
鉢植えにして、大きく育ってしまって、鉢に対して大きくなりすぎると、植え替えをしないといけません。ジンチョウゲの幅が80センチ以上になっていたら植え替えは不可。どうしても移動させたい場合は移植ではなく、
挿し木で別のところに移動させ、現在のジンチョウゲは廃棄する。
枯れる可能性が高くても、どうしても植え替えをしないといけない場合は、一回り大きな鉢を用意して、古い鉢から抜いたら、土からできるだけ土を落としますが、根が切れると弱りますので注意してください。あとの手順は普通。
時期・頻度
植え付けは花が終わった3月〜4月です。開花しているときは植え付けはしないでください。もしくは夏を越して涼しくなった9月〜10月です。植え替え・移植はできないものと考えてください。
用土
弱酸性の
水はけのよい、水もちの良い土を好みます。無理に弱酸性に調整しないでいいですし、庭土は大抵は弱酸性です。できれば土壌成分計で測ると安心です。
用土は
赤玉土6
腐葉土4を混ぜたものか、一般的な
培養土を利用します。庭植えする場合は、植え付ける2週間前に土に腐葉土を混ぜて肥沃にしてから植えます。水はけが悪い場合は赤玉土や川砂を混ぜて水はけをよくしてから植えてください。
土が適していると放置で楽です。
地植え
庭土を30cm〜40cm掘り返し、土に腐葉土か
堆肥を2割〜3割足し、化成
肥料を規定量入れて混ぜて用土とします。穴に半分の土を戻し、苗を配置します。苗の土は落とさず、根はいじらないで植え付けてください。隙間に土を入れていき、余った土で株の周囲に土手を作り、その中に水をためます。水が引くまで放置して、水がなくなったら、土手を崩してならして完成です。
●少し排気ガスなどに弱いので、注意した方がいいです。当たらないように植える場所を考えましょう。
●移植はできないですし、庭植え後に鉢植えにするのもかなり難しいです。よほど小さな株のときであれば、できるかもしれませんが、それも大きく土を掘り上げてじゃないと厳しいので、移動させるのであれば、挿木で株を増やして更新しましょう。
鉢植え
根が粗く、植え替えが失敗しやすいので、一般的には鉢植えにはしません。鉢植えにした場合は植え替えはしないのが前提です。早めに地植えにしたい。といっても、鉢植え栽培もメジャーで、小さな鉢でも…例えば3号とか5号の鉢でも開花して香りを楽しめる。
根鉢より少し大きな…1号か2号大きな鉢を用意します。
鉢底の水が抜ける穴を鉢底ネットで塞いで、その上に鉢底石(
軽石)を3cm入れ、その上に用土をすこし敷き、その上に株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に水をやって完了です。 もちろん、根はいじらず、土を落とさないで植え付けてください。
挿木
ジンチョウゲは水切れをしやすいのと、植え替えの失敗、寿命(30年)で、いきなり枯れることがあります。保険のためにも挿木で増やすといいです。また、移動させたいときは挿木で移動させてください。
そこで4月から9月くらいに(理想は開花後の4月と梅雨明けの7月)、切った枝に発根剤を塗って用土に挿しておきます。
管理場所
日当たりのいい場所に植えてください。ただし
西日が当たらない場所に植えてください。根元に日が当たると乾燥して根が傷みます。根元に日が当たる場合は他の植物(
グランドカバーでも)を植えて直射日光を避けたり、
マルチングして乾燥を防ぎます。鉢植えの場合の西日対策として
二重鉢という方法もあります。
越冬
耐寒温度マイナス5度と寒さには一定の耐性があるのですが、霜が降りる地域では寒風が当たる場所には植えないようにしてください。霜に当たると枯れる、というわけではありません。しかし強い霜に何度も当たったり、寒風がよく通る場所だと徐々に弱ってしまいます。
根が浅く、寒さで根が傷んで枯れてしまうことがあります。予防策として根元に腐葉土やワラをかぶせてマルチングをします。ただ、腐葉土を大量に敷くと
コガネムシの幼虫が発生するかもしれないのでほどほどに。
寒冷地では冬は室内で管理し、春になったら戸外で育ててください。
北関東では鉢植えが無難。たまにくる強い寒波で枯れることが十分あります。
水やり
庭植えの水やり
庭植えして、根づいたあとは日照りでもない限りは降雨だけで十分育ちますので、
水やりしないでで大丈夫です。なので庭植えが基本。鉢植えだと水切れしやすいので、庭植えが推奨です。
ジンチョウゲは根が浅い上に、水を吸い上げる細い根が少ない樹木で(樹木としては)乾燥に弱いです。降雨だけでも水は十分と書きましたが、他の樹木に比べると非常に水切れしやすいです。庭植えでも夏は注意。よって夏は乾燥で枯れやすい。
春から秋は生育するので、吸い上げる力が強く、より水切れをしやすい。
乾燥しすぎもダメ。西日など根元に日が当っていると乾燥して根が傷みます。水をやるか、根元に日が当らないように他の植物を植えるか日よけをするかしましょう。
鉢植えの水やり
鉢植えの場合は土が乾いたら鉢底から水がしみ出すまでしっかりとやります。ただし、ずっと湿っている状態になるくらいに頻繁に水をやると
病気になりますので、土が乾いているのを確認してから水をやってください。
あくまで目安としてですが…冬は1週間に1回程度、春以降は2、3日に1回、夏は毎日朝と夕方に水をやります。
肥料
寒肥として2月、開花で消耗した補給の花後4月と、春〜夏の繁茂で消耗した9月に
油粕+骨粉か化成肥料あげてください。肥料はジンチョウゲから離したところに置くか、埋めます。
剪定
ジンチョウゲは成長が遅く、樹高が低く、放置していても自然にコンモリとした形になりますし、強い
剪定をすると株が弱って枯れることもあるので、ほぼ剪定はしなくてもいいです。樹形が乱れたら、不要な枝を落とす程度にします。
ジンチョウゲの
花芽は前年の秋までには出来て、12月には既に立派なツボミになっていますが、実際に咲くのは3月前後で、数カ月を花芽のままで過ごします。だから秋以降に剪定すると花を落とすことになります。
剪定は花が終わった直後の4月から5月に行います。
病気・害虫
アブラムシ・白紋羽病が発生します。
病害虫と対応の農薬
うどんこ病→ トップジンM水和剤
黒点病→ トップジンM水和剤
ごま色斑点病→ トップジンM水和剤
炭そ病→ トップジンM水和剤
特徴・由来・伝承
原産地は中国。日本には室町時代に渡来し栽培されていた。日本にあるものはほとんどが雄株で、雌株は見られない。そのために日本のジンチョウゲには実が出来ない。実は赤く丸く、そして有毒。
2月から3月にかけて非常に香りのよい花を付ける。春の季語。香りが香木の沈香に似ていることと、丁子(スパイスのクローブ)のような葉であることから「沈丁花」と名付けられた。
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