スカシユリ(透百合)の育て方
目次
スカシユリ(透百合)とは?水やり肥料植え付け・植えかえ管理場所・日当たりしぼんだ花を摘む病害虫特徴・由来・伝承関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- スカシユリ
- 科名
- ユリ科
- 属名
- ユリ属
- 学名
- Lilium maculatum
- 別名
- 透百合
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 外の半日蔭
- 難易度
- 中級者向け
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スカシユリ(透百合)とは?
スカシユリ(透百合)は日本の浜辺・岩場に自生する
ユリ科ユリ属の
球根植物。秋に球根を植え、球根で越冬、春に葉を生やし、初夏に花を付け、また休眠するというサイクルを繰り返す。ユリとしては育てやすい部類です。花は上を向いて開花し、香はありません。
スカシユリのスカシとは花びらの根本付近が少し細く、透かしになっていることから。ただし花屋さんで売っているスカシユリは花びらの根元に隙間が無いから、この話をしてもピンと来ない(花屋さんであっても)。
草丈20cm〜60cm
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水やり
庭植えの水やり
庭植えにした場合は、球根を植えた直後にたっぷりと水をやったら、日照りが続かない限りは水をやる必要はありません。
ただし植え付けした後の一ヶ月くらいは完全に乾燥しないように水をやります。
鉢植えの水やり
鉢植えの場合、土が乾いていたら水をしっかりとやります。乾燥しすぎるのもよくありません。スカシユリは球根ですが乾燥に弱く、夏に乾燥でカリカリになることがありますので、切らさないようにしてください。
肥料
生育時期にあたる2月から8月まで二週間に一回液体
肥料をやるか、二ヶ月に一回緩効性肥料(化成肥料)をやります。肥料が多いと花付がよくなりますが、ユリは肥料を過多にやると、突然枯死することがあります。ほどほどに。
植え付け・植えかえ
時期
スカシユリは10月あたりに植え付けをします。植え付けに適した温度は10度から15度。秋の終わりに植え付けして、発根させる。真冬になると根は伸びなくなり活動しなくなるのですが、寒さに当たらないと
花芽ができないので、戸外でしっかりと寒さに当ててください。
植え付けが遅くて、発根する前に寒さに当たると生育不良を起こすので、遅いよりは早めに植えるほうがいいです。
連作障害と植え替え頻度
スカシユリは
連作障害を起こします。同じ場所に植えっぱなしにしていると生育不良を起こします。スカシユリは植えっぱなしにせず、庭植えでも三年に一回は掘り返して、別の場所に植えてください。鉢植えでも2年に一回、植え替えをします。
上根と下根
スカシユリは球根の下から生える根の他に、球根から伸びた茎からのびた「上根」があります。上根の方が水・肥料を吸収する力が強いので、上根が生えるように球根を深めに植えるのがスカシユリ栽培の大事なコツになります。
用土
赤玉土6
腐葉土3川砂1を混ぜた土か、市販されている花と野菜の土かユリ
専用土で植え付けをします。
酸性土壌が少し苦手で、中性〜弱アルカリ性の土を好みます。庭植えする場合は植える二週間か一週間前に、土に
石灰を混ぜて中和して下さい。中和してから、今の庭土に2割か3割ほどの腐葉土を混ぜて、球根を植え付けていきます。
庭植え
庭植えにする場合は、植え付けの2週間前に深さ30cmほど穴を掘って、
苦土石灰を前もって蒔いて混ぜて中和させておきます。
1週間経って中和が終わったら、庭土に2割か3割ほどの腐葉土を追加して、化成肥料を規定量入れてよく混ぜておく。できれば1週間寝かせて土を馴染ませてから植えましょう。
用土を穴に半分戻し、球根2個分、もしくは10cm〜15cmの深さに植える(球根の大きさは品種によってかなり違う)。株間は球根三つほど、もしくは10cm〜15cmほど空ける。最後にたっぷりと水をやって完成です。
発根させるために、庭植えの場合でも、植え付けして一ヶ月ほどは乾燥しきらないように水をやる。
鉢植え
6号鉢に3球くらいが基準です。鉢はできるだけ深いものを用意しましょう。
鉢植えの場合は、鉢底の穴を鉢底ネットを敷いて、土が流れ出ないようにして、鉢底石(
軽石)を2cm〜3cmほど敷く。その上に用土を入れて、球根を植える。球根は球根一個分(もしくは5cm〜10cm)の深さに植える。球根同士も球根一つ分(もしくは5cm〜10cm)だけ空ける。最後に水をやって完成です。
掘り出して植え直す
スカシユリの球根は強い乾燥に耐えられないので、掘り起こして日陰に保管しておくより、埋めっぱなしがよい。植え直す場合は、10月の球根の植え付け時期に掘り出して、すぐに植え直します。
管理場所・日当たり
日光が好きな植物なので、日光がよく当たる、風通しの良い場所で管理します。
スカシユリは日当たりを好みますが、地面が高温に成ると傷んでしまいますので、風通しの良い場所が適しています。
冬
冬は土が凍結すると球根が傷んで枯れるかもしれません(多少は問題ないし、品種にもよる)。積雪のある地域では雪が積もると地面は雪が保温して凍結しないもんなんですが、寒冷地でも雪の降らない地域があります。そういう地域だと結構な確率で土がガチガチに凍って球根が傷んで枯れます。なので、寒冷地でも雪が降らない地域は球根の上に腐葉土やワラで厚さ10cmに
マルチングをして凍結を防ぎます。
春の霜
春になると芽がでるんですが、霜に当たると新芽が傷んでしまいます。鉢植えであれば霜の当たらない場所に移動させます。庭植えの場合は霜よけをします。寒冷紗をはるか、霜除けネットをします。
夏の暑さ
鉢植えにした場合、5月~9月の間、鉢に日光が当たると球根の温度が上がり、傷んでしまいます。特に
西日に当たる場所に放置しておくと大変ですので、鉢が陰になるようにするか、いっそのこと
半日陰で管理します。もしくは
二重鉢で高温を避けます。
二重鉢は鉢を大きな鉢の中に入れて、高温を防ぐことです。詳細は以下のページを参考に。
しぼんだ花を摘む
花が終わったらすぐに、花を摘みます。花を放置しておくと、株が種を作ろうとして栄養をまわし、株が弱って来年の花が咲きにくくなります。
花の下の膨らんだところ(子房)から花を採ります。
残った
花茎はそのままにしておくのが普通。夏に休眠し枯れるまで放置。見た目が気になるなら切ってしまってもいいが、葉っぱのところまで切らない。葉っぱは光合成して球根に栄養をためているため、葉っぱを減らすと…多少ならいいがバッサリと切ってしまうと来年開花しなくなる(しづらくなる)。
病害虫
アブラムシ
アブラムシは他の植物の汁を吸い、その汁の中に潜んでいるウィルスをスカシユリに感染させます。アブラムシは発見次第、捕殺します。特に蕾(つぼみ)や開花中に発見したらすぐに、花を切除します。前もって
オルトランを撒いておきます。大量に発生したらモスビラン液剤などを散布します。
ウィルス病
ウィルス病は葉っぱに模様が浮き出る症状などがでるウィルスが原因の
病気。薬剤では治療できず、感染が分かり次第、球根を焼却処分します。一株感染すれば近くの株まで感染するのは時間の問題です。
ユリクビナガハムシ
幼虫は泥を背負ったような見た目で、成虫は赤い甲虫。幼虫が背負っているのは自分の糞で、擬態です。ユリ植物だけを狙って食べ、丸坊主にすることがある。発見したら捕殺しましょう。スミチオンで駆除し、オルトランで予防するといいです。
病害虫と対応の農薬
アブラムシ→ ベストガード水溶剤・モスビラン液剤
コナジラミ→ ベストガード水溶剤
葉枯病→ ダコニール1000・トップジンM水和剤
特徴・由来・伝承
花が上向きにつくことが特徴、と書くと、花は皆、太陽を向いている気がするので当たり前のことに思えますが、ユリは普通、下向きに咲きます。
ユリが下向きに咲くのは、決して自分の重さで折れてしまうのではなく、最初からです。
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