ウツボカズラの育て方
目次
ウツボカズラ(ネペンテス)とは?水やり肥料植えかえ管理場所・日当たり摘芯病害虫トラブル関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- ウツボカズラ
- 科名
- ウツボカズラ科
- 属名
- ウツボカズラ属
- 学名
- Nepenthaceae
- 別名
- 靫葛・ネペンテス
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 季節による
- 難易度
- 上級者向け
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ウツボカズラ(ネペンテス)とは?
ウツボカズラ(ネペンテス)は
ウツボカズラ科のツタ植物。
雌雄異株。世界中で70種ほど確認されています。東南アジアの熱帯に多くが自生しているが、熱帯性・低温乾燥性・高山性(ハイランド)の三つの地域に自生していて、耐寒性・耐暑性が違う。高山に変異したものが多く見つかっていて、まだまだ未知のウツボカズラが発見される可能性はあります。
葉っぱの一部が筒状に変化し、その中にたんぱく質を溶かす水が大体三分の一ほど溜まっています。そこに虫などが落ちて溶けて栄養としてウツボカズラに吸収されます。フタが付いていますが、これは中に雨が入らないようにするためのもので、これが閉じて虫を閉じ込めるということはありません。
●熱帯性・低温乾燥性・高山性と種類があり、育て方が微妙に違う。
●熱帯性は暑さに強いが寒さに弱い。
●低温乾燥性は多少寒さにやや弱い。日本でよく流通しているのはこのグループ。
●高山性は暑さに弱く寒さにも弱く、栽培難易度が高い。
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水やり
ネペンテスは水を好みます。
水苔の表面が乾いていたら水をやります。5月から夏にかけての生育する時期は水が切れないようにします。ずっと濡れていると
根腐れを起こします。
植物は乾燥→加湿を繰り返すことで根を伸ばし、根を伸ばすと地上部が茂るので、乾燥→過湿を繰り返す。水をやって、次に水をやるまでは十分に乾燥するまでやらないように、メリハリをつけるのがコツ。
健康な根は白い。腐った根は黒くなる。根が腐っていたら古い土(水苔)を取り除き、腐った根を取り除き、植え直すといいです。
ミラビリスのように葉っぱの薄いものは水を欲しがり、葉っぱの太いものは乾燥に強いので
水やりの頻度が多いと根腐れを起こす。葉っぱの薄いものは乾燥すると葉っぱが枯れる。
葉水
空気中の湿度が高い状態を好みます。土(水苔)への水やりとは別に、一年中しっかりと葉っぱに霧吹きで水をかけてやって水分を補給して下さい。霧吹きでの
葉水が足りないと捕虫器(筒状の水が溜まったアレ)がしぼんでしまいます。
冬の水やり
秋以降は水やりの頻度を減らし、冬は土への水やりは土が乾いてから数日たってやる程度にします。その代わり、葉っぱへの霧吹きは継続してください。
肥料
肥料は生育期間に二ヶ月に一回程度、液肥をやります。やりすぎないようにしてください。ネペンテスは土から肥料を吸い上げにくく、虫を捉えてその栄養分を吸収するため、肥料は一切やらないでもいいです。むしろ、肥料をやることで肥料焼けをおこすこともあります。
水苔には元々、微量要素が含まれているので新たに肥料をやらなくてもいいです。様子を見て判断しましょう。
植えかえ
時期
植え替えは
用土(
ミズゴケ)が傷んできたり、根腐れの兆候が見られたら、春(4月5月)に行う。春であればその後の生育時期でダメージを取り戻せるため。ミズゴケが傷む…腐ると黒く変色しますので、その前に植え替えをする。ミズゴケでも1年から3年に一回は植え替えをする。環境(湿度温度・水やりの頻度)によって頻度は変わってくる。
購入するなら3月から5月に。春に購入して夏にしっかりと育て、翌年の春に植え替えを。
苗について
ホームセンターで販売しているのはわりと育てやすいもの。それが育てられるようになったら、難易度の高い高山性に手を出すようになるが、形状の好みもあり、必ずしも「難易度高い=価値が高い」とは限らない。そもそも難易度の高いものが高値で流通しているが、高価で希少な大きな株を買っても栽培するテクニックやそれなりの機材(クーラーや過湿や水やりや植え替えのテク)がなければ育てられないので意味がない。
店舗やネットで購入後、茶色く変色して枯れる。環境が変わったことで環境に合わせて対応しているだけで
病気ではない。購入直後は変色してしまうのはよくあることなので、気にせず管理をする。
●個体差なのか、栽培の経緯なのか、個々の大きさはかなり違う。
●ネペンテスを育てる人は栽培環境が同じのランやビカクシダ(
コウモリラン)も育てていることが多い。
●ホームセンターの屋内で展示しているうちに光量不足で傷んでいることが多い。購入後に日光に当てると回復する。
鉢
ネペンテスは土(水苔)の通気性を求めるので鉢の表面から水が気化する素焼き鉢や
駄温鉢を使うといいです。ハンギングバスケットで吊り下げるとセンチュウ予防になるし、通風もよくて生育がよくなる。プラスチック鉢は安価で軽量ですが蒸れやすく、根腐れを起こしやすいので、素焼きや駄温鉢の方が適している。流通しているのはプラスチックやポリポットなので出来れば、素焼きや駄温鉢・ハンギングに変更する。
袋には上位袋と下位袋がある。上位とはツルの上の方に付けるもので、下位の方が袋が大きくなる。徒長して、丈が高くなると小ぶりな袋しかできなくなるため、日光に当たるようにし、風通しをよくし、他の植物と日光を取り合わないように鉢の間隔も工夫する必要がある(要は鉢の間隔を空けましょうってこと)。
用土
ネペンテスは水切れを嫌います。店頭で売っているネペンテスは土で植わっていますが、植え替えをするときは「ミズゴケ」で植え替えをします。他にも
日向土単用、
鹿沼土単用でもいいです。水やりの頻度が多く、根腐れさせることが多い人は日向土単用、鹿沼土単用などを使ってみましょう。
通気性がよく、一定の保水性があり、
弱酸性の用土が好ましい。一般的にはミズゴケ単用を使う。ミズゴケには適度な微量要素があり、水管理もしやすいです。
水苔を清潔に保つことが、根腐れやセンチュウ予防になる。
植え替え
ネペンテスは根が細く、切れやすいので、根を傷めないように植え替えをします。古い水苔が取れない場合は、根を水につけて解(ほぐ)して、古い水苔を取り除きます。ピンセットを使うといいです。それでも取れないなら、諦めて、そのまま植え替えをします。
新しい水苔を水につけてほぐして、根を包んで植えなおします。植え替えは丁寧にやってもダメージがあり、そのダメージから生育が回復するまで時間がかかるので、植え替え後の2週間は葉水だけにして養生しつつ様子を見て、根の活動が再開しているようなら水やりをやりはじめます。
挿木で増やす
ネペンテスは徒長して伸びると上の方に出来た袋は小さくなるため、徒長した場合は
切り戻して小さく仕立てるようにします。切り戻したものを「
挿木」にして株を増やすこともできます。
葉の少し上の窪み(潜芽)から新芽が出てくるので、それを残すように挿し穂をつくります。潜芽がないと発根しません。葉の下を斜めに綺麗なカッターで切って(ハサミじゃなくてカッター)、水苔に挿していると1ヶ月か2ヶ月で発根する。
適した時期は夏と冬以外。冬は活動が鈍く発根しないし、夏は高温すぎて弱っているので発根しない。
水苔・器具は必ず綺麗なものを使いましょう。
ハサミは茎を「潰して」いる。カッターで切るようにします。
管理場所・日当たり
ウツボカズラ(ネペンテス)は基本的に日当たりを好みます。春と秋は戸外か室内の日当たりで管理し、カーテンなどで遮光します。真夏は強い直射日光で葉っぱが焼けてしまいますので、日陰か
半日陰か室内で遮光します。冬は室内の日当たりで管理します。
秋に戸外で管理している場合、15度以下になると捕虫器が枯れてしまいますので、早めに室内に取り込みます。管理場所や越冬のコツ、日当たりや温度についての詳細は以下のページを参考にしてください。
摘芯
ネペンテスは枝の上の方には小さな袋ができ、下の方には大きな袋ができます。なので、徒長したら小さな袋ばかりになるので、切り戻して小さく仕立てます。切り戻すと葉っぱの少し上から新芽が出てきます。
トランカータ、スペクタビリス、ステノフィラなどは脇芽が出にくいため、
摘芯をするのは「脇芽が出ている」ことを確認してから行うようにする。
上位袋はアッパーピッチャー、下位袋はロウアーピッチャーと呼び、上位の方が小さくなるため小さく仕立てるが、上位と下位で見た目が違う種もあり、徒長したツルを切るかどうかは個人の判断で行う。ちなみに、地面からすぐ生えてくる地位袋(グランドピッチャー)ってのもある。
地位袋(グランドピッチャー)は、アンプラリア系でよく見られる地面から直接生えているように見える袋のこと。
病害虫
ハダニ
植物の葉っぱの汁を吸うダニの仲間。春と秋に薬剤を散布して駆除するといいです。30度以上で薬剤を散布すると薬害が出るので夏前の曇りの日の早朝か夕方にやるといいです。ハダニは肉眼では見えないので、斑点など症状として見えたときはかなり被害を受けている。
カイガラムシ
動かない虫で、葉や茎について汁を吸う。
センチュウ
根に寄生する小さな虫で、寄生されると駆除は難しい。寄生されると新芽が縮んで、根腐れのような状態になります。泥などに潜んでいるため、泥が当たらないように直置きにせず、吊って管理することで予防できる。植え替えを定期的にして土(水苔)を綺麗に保つことで予防します。
その他
炭そ病・褐色斑点病・
灰色カビ病など
病
害虫にかかるが、一番の問題は水やりと温度と光量で、病害虫は二の次。健康に管理することが一番の病害虫の予防になります。
トラブル
●環境が悪いと袋がつかない。土の通気性が悪いと根が窒息してしまう。光が弱かったり強すぎたり、風通しが悪いと袋がつかない。
●風通しが大事。
●袋がつながっているツタまで黒くなった切る。葉も枯れたら、葉を切る。袋は下が枯れていないならまだ活動している。
●葉っぱを刈り取るのは葉っぱが完全に枯れてからにする。剛健な種は切ってもいいが、他の種は回復まで時間がかかるので残す方が株の健康には良い。
●環境が良いとリー
フジャンプが見られる。リーフジャンプとは新しい葉がその前の葉より倍くらいに大きくなること。生育が良い状態で、指数関数的に成長速度が上がっていく。
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