娑羅の樹の育て方
目次
娑羅の樹(シャラノキ・夏椿)水やり肥料植え付け・植えかえ種まき管理場所・日当たり剪定病害虫関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- ナツツバキ
- 科名
- ツバキ科
- 属名
- ナツツバキ属
- 学名
- Stewartia pseudocamellia
- 別名
- 夏椿
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 外の半日蔭
- 難易度
- 中級者向け
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娑羅の樹(シャラノキ・夏椿)
娑羅の樹(シャラノキ・夏椿)は
ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。本州(宮城県以西)、四国、九州に自生する植物ですので、上記に当てはまる地域であれば庭木で育てられます。開花時期は夏(6月)頃。真っ白く上品な
ツバキに似た花と、やや光沢の有る葉は夏には涼しげです。花は1日花で、咲いた花はその日のうちにポトリと落ちてしまいます。樹形は横から見て楕円形になります。
夏に木陰を作り、清楚な白い花、幹はツルツル。
日本に生えている夏椿(ナツツバキ)とインドに生えている「沙羅の木」は本来は別種なのですが、長い間この沙羅の木だと誤解されていて、今でも日本で沙羅の樹(シャラノキ)というとナツツバキのことを指します。そんな理由もあって
シンボルツリーにも人気です。
通常ツバキというと冬も常緑ですが娑羅の樹(シャラノキ)は冬は落葉します。そして
紅葉もします。ただし
紅葉は環境により、赤だったり黄色だったり、紅葉が鈍いこともあり、紅葉目的で植えるのはオススメできません。樹高は8mから10mと大きめなので、大きくなりすぎないよう
剪定しましょう。
樹高8m〜10m
沙羅の樹の名前の由来は?
娑羅の樹(シャラノキ)は樹高10メートルまで育つツバキ科の植物。釈迦が入滅した際に東西南北に生えていた娑羅の樹(シャラノキ)が合わさり林を覆って枯れたとされ、娑羅の樹(シャラノキ)は仏教では聖樹です。このお話に出てくる沙羅双樹(フタバガキ科)は本来は別種。
また幹がツルツルであることから
サルスベリと呼ぶ地方もありますが、本来のサルスベリは
ミソハギ科でこれも別種。
生け花の花材として流通していて、小型版の
ヒメシャラもよく生け花で利用されます。
夏椿とも呼ばれます。夏に咲くからナツツバキ――ということはツバキは冬に咲くのが当然、ってことです。ツバキは真っ赤な花を真冬の2月前後に咲かせます。花が少ない時期に派手な花を咲かせることから、庭木に植えたり、生垣にしたりと昔からよく見かける木です。娑羅の樹(シャラノキ)はツバキの仲間、ということは、アレ(
チャドクガ)が発生します。
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水やり
娑羅の樹(シャラノキ)は根が浅いので乾燥しやすく水切れしやすいい植物です。地植え(庭植え)でも土が乾いたら水をやります(年間を通して)。庭植えしたのに面倒だなとは思いますが、やりましょう。
特に夏は危険。水切れ、乾燥すると葉の先から枯れこんできます。乾燥による枯れ方と葉やけによる弱り方とは違います。乾燥(水切れ)の場合は枝も枯れ、枯れる枝と枯れない枝があり、その差がハッキリしています。
葉焼けの場合は葉っぱの中心部あたりがボンヤリと茶色く変色する感じです。
娑羅の樹(シャラノキ)は水と日光とそれなりの
肥料があれば、年々成長します。すると今までの水の量では不足して水切れが置きやすくなります。また温暖化の影響もあって夏になると乾燥で枯れこむことが多くなっています。
あまりに乾燥するのであれば、株元に乾燥対策として、ワラなどで
マルチングをする。格好を気にするならバークチップでもいいですが、ちょっとお高いです。
肥料
娑羅の樹(シャラノキ)は土の肥えた土地を好み、肥料が少ないと生育不良を起こします。しかし、まぁ、肥料不足になるのは「余程のこと」です。庭に他の植物が育っているのであれば、肥料不足にはならないです。しかし、場合によって肥料が足りないこともあります。そういうときは2月にナツツバキの株元の根に当たらない場所に穴を掘って肥料(化成肥料か
油粕+骨粉)を埋めます。
根に当たらないところ、ってのはどういうことかと言いますと。樹木は枝を伸ばしているのと同じ範囲に「根」を伸ばしています。つまり、地上部の枝の一番外側が「根の一番外側」です。この外側から15センチくらい離して8箇所ほど穴を掘って肥料を埋めます。
鉢植えの場合は、土が少なく、流れ出やすいため、肥料不足になるので2月と秋に肥料をやります。鉢のフチに化成肥料を置きます。
有機物を埋める
成長してくると、欲しがる水の量も多くなります。
水やりの頻度も増やしますが、土に含まれる
腐葉土の量が分解されて減り、水もちが悪くなっているのも原因です。そこで、3年に一回は肥料を埋める穴に一緒に腐葉土か
堆肥を入れて混ぜて埋めておきます。
植え付け・植えかえ
時期・頻度
植え付け・植え替えは落葉時期の12月〜3月に行います。鉢植えの植え替えは2年に一回ほどです。
用土
肥沃な土を好み、通気性があり、水もちの良い土を好みます。鉢植えであれば一般的な
培養土で植えます。
庭植え
庭植えの場合、根鉢の二倍か三倍の深さと大きさの穴を掘ります。大体直径50cm深さ50cmくらいですね。掘り出した土には、有機物(腐葉土か堆肥)を約3割ほど入れ、化成肥料を説明書に書かれている規定量だけ加えてよく混ぜます。植物が乾燥に弱いので、有機物はしっかりと加えてください。できれば土を一週間寝かせて、土を馴染ませると良いです。
穴に半分ほど
用土を戻し、株を植え、隙間に土を詰めて最後に水やりを行います。これで植え付けは完了です。
鉢植え
鉢植えの底の穴を鉢底ネット(鉢底網)で塞いで、その上に鉢底石(
軽石)を2cm〜3cm入れて、その上に用土を入れて、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に水をしっかりとやります。
娑羅の樹(シャラノキ)は根をいじると枯れるので、植え替えのときは土を落とさないで、ひと回り大きな鉢に植え替えます。すぐに限界が来るので、できれば庭植えにしてしまいましょう。
種まき
秋(10月)に種を取り、そのまま直播するか、濡らした
ピートモスや
バーミキュライトを入れた容器にまけば、発芽し育苗できます。
管理場所・日当たり
日光を好む植物ではあるんですが、強い乾燥に弱く、
西日や強い直射日光には葉やけもしますので、日向よりは建物の東側などの戸外の
半日陰の場所が適しています。日光が強い場所に植える場合は、株元に乾燥予防のマルチングをしましょう。
移植が苦手です。苗木を植えつけたあとは移動できないと考えて下さい。植える場所をしっかりと検討しましょう。
剪定
剪定は落葉時期に行います。
自然な樹形を楽しむもので、剪定はしない方が樹形は綺麗。剪定すると乱れて変になりますし、強い剪定をすると枯れることもあります。なので邪魔な枝以外は剪定をせず、ちゃんと残すべき枝は残しましょう。
具体的には枯れた枝を落とし、変な方向に出た枝を落とし、密生している枝を落とし、自然な樹形を維持するようにします。落とすべき枝についての詳細は
枝の種類のページを参考にしてくださ。
枝を切るときは、枝の途中で切らない、必ず枝分かれしているところまで戻って切る。太い枝を切ったときは
癒合剤を塗ること。そのままにしておくと雑菌が入って枯れこんでしまいます。
癒合剤は
ホームセンターで売ってます。もしくは木工用ボンドで塞ぎます。ようは外気に触れないようにすればいいのですね。
病害虫
チャドクガ
ツバキ、
サザンカ、ヒメシャラといったツバキ科の植物にはあの
チャドクガの幼虫――毛虫が発生します。娑羅の樹(シャラノキ)を植えるということはチャドクガとの戦いを覚悟しないといけません。ただし
娑羅の樹(シャラノキ)・ヒメシャラにチャドクガがつくのは希。珍しいです。でも発生することはありますので、ある程度の覚悟を。
サビ病
サビ病はオレンジ・茶色のカビが発生する
病気です。枯れるほどではない。密生すると発生しやすいので、枝をさばいて風を通すことで予防できます。
灰色カビ病
灰色カビ病は低温・高湿度だと発生する。風通しをよくすれば、発生しないので、枝をさばいて風を通しましょう。
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