クラブアップルの育て方
目次
クラブアップルの特徴は?水やり肥料植え付け・植えかえ管理場所・日当たり病害虫剪定について誘引特徴・由来・伝承関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- クラブアップル
- 科名
- バラ科
- 属名
- リンゴ属
- 学名
- Malus pumila
- 別名
- イヌリンゴ・ミカイドウ・和林檎
- 耐寒
- マイナス30度
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 外の日なた
- 難易度
- 中級者向け
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クラブアップルの特徴は?
クラブアップル(姫リンゴ)は中国に自生する
バラ科リンゴ属の落葉
低木。スーパーで見かける食用リンゴの元となった品種で、ターシャ・チューダーの庭にも植わっていました。果実は甘味が薄いため、りんご飴や果実酒やジャムには利用されますが、生食にはあまり適していません。
5月から6月前後に花が咲き、それが実になり、秋には紅くなります。冬には落葉します。
クラブアップルの○○というタグがついて販売しています。この○○というのが
園芸品種名なのですが、これがたくさんあります。育て方は同じです。盆栽としても、庭樹としてもよく利用されます。
樹高3mから5m
自家受粉って?
自家受粉というのは、自分と同じ遺伝子の花粉で結実する性質のことで、クラブアップルは品種によっては自家受粉するものとしないものがあります。自家受粉しないものは近くに「別品種」をもう一本、植えましょう(同品種の別個体では受粉しない)。
自家受粉するものは一本で実が付きますが、それでも二株以上で植えるか、種の近いカイドウを近くにうえて自家受粉するほうが実がよりよくつきます。
品種
ヴァンエセルティン(Malus sylvestris)
八重咲のピンクの花を咲かせる観賞用クラブアップル。枝が上へと伸びやすく、庭木としても使い勝手がいいです。自家受粉しないので結実させるためには別種のクラブアップルが必要です。果実は食用には向いていません。
スイートメイデン
くらぷアップルの中では甘い品種で、生でも食べられます。自家受粉しないので結実させるためには別種のクラブアップルが必要です。
レモイネイ
ピンクで一重の花が咲く観賞用の品種。果実は渋いため、食用には利用されない。
シンボルツリーなど庭木に適しています。
プロフュージョン
ピンクの一重の花が咲き、花粉が多いので、他のクラブアップルを受粉させるために、一本植えるといいです。花が多く、よく結実しますが、果実は渋い。
ネビルコープマン
濃いピンク〜紫がかったピンクの一重の花が咲く観賞用のクラブアップル。他のリンゴを受粉させるために植えてもいいです。果実は渋くて食用には適さないです。
ゴージャス
自家結実するので一本で収穫が可能ですが、酸味が強くて果肉が硬いので生食には向いていません。加熱して砂糖を加えて、ジャムなどにしましょう。
ドルゴ
自家結実するので一本で収穫が可能。真っ白な花がよく開花します。ジャムや果実酒にしましょう。
黄金丸
クラブアップルの青リンゴ。自家結実するので一本で収穫が可能。果実は加熱して砂糖を加えてジャムにするか、果実酒にします。主に観賞用のクラブアップルです。
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水やり
庭植えの水やり
庭植え・地植えにした場合は自然に降る雨だけで、ほぼ大丈夫。真夏にあまりに乾燥するようであれば水をやってください。クラブアップルは乾燥気味に育てたほうが果実が甘くなりますが、食べる目的じゃないならどちらでも。
鉢植えの水やり
クラブアップルは盆栽仕立てにすることもあるので、鉢植えもオススメ。鉢植えの場合は土が乾いていたら、鉢底から出てくるくらいにしっかりと水をやります。夏以外は過湿にならないようにしてください。水をやる前に土を触ってみて、確認してから水をやります。
夏の水やり
クラブアップルは寒い地域の植物で、夏の暑さにちょっと弱いです。
中間地・
暖地では夏の暑さで水を吸い上げにくくなり、
水やりの頻度が多いと
根腐れを起こすこともあります。様子を見つつ、調節をしてください。
また、昼に水やりは避け、朝か夕方、もしくは朝と夕方の1日2回水をやります。水やりの頻度は環境(温度・日当たり・風通し・株の調子・土の配合)で違いますので、様子を見て判断しましょう。
冬の水やり
土が乾いてから数日たってから水をやる程度に抑えます。
肥料
春(4月)と秋(10月)に
肥料をやってください。春は新芽の栄養に、秋は果実を付けた株の栄養補給になります。
化成肥料であれば、周囲にまきます。
油粕の場合は、株の周囲に根が当たらないように離れたところに深さ20cmの穴を数カ所に掘って埋める。鉢植えであれば、化成肥料を鉢の端っこに置きましょう。
-クラブアップルはバラ科の植物というのもあってか、肥料を欲しがり、肥料が切れると株が弱くなり病
害虫にやられてしまいます。そこでリン酸・カリ・窒素のバランスのよい緩効性肥料を土に混ぜ込んであげます。
クラブアップルは化成肥料よりは油粕+骨粉の方がより生育がよいです。油粕は臭うのでまくのでなくて、埋めましょう。もしくは化成肥料にします。別に化成肥料だと枯れる!ってわけじゃないです。
寒冷地で栽培する場合、秋の肥料は控えめにしておき、しっかりと休眠させます。
植え付け・植えかえ
苗
クラブアップルは開花・結実までは
接ぎ木したものであれば早い。2年目とか。接ぎ木しているものは成熟した枝を接ぎ木しているので結実する。
実生(種から育てたもの)の場合は開花・結実までは4年か5年ほどかかるので、苗木を買いましょう。実が大量についていると隔年結果で来年、ほとんど実をつけないことが多いので、実はほどほどのものが好ましいです。
時期
植え替え・植え付けは秋から梅雨前のうち真冬を避けた時期に行います。適しているのは初冬か早春。落葉時期は活動が止まっていて、根をいじってもダメージが少なく済みます。真冬を避けるのは寒さのダメージを避けるためです。まぁ、多少ずれても枯れることはないです。
鉢植えは
根詰まりを避けるために2年か3年に一回植え替えをしましょう。
用土
クラブアップルは肥えた土を好みます。
一般的な花と野菜の
培養土か、自作する場合は
赤玉土6
腐葉土4を混ぜたものに化成肥料を加えたものを使います。
庭植えの場合は庭土に腐葉土か
堆肥を追加して、
用土とします。
鉢植えの手順は?
鉢植えにする場合は、出来るだけ大きめの鉢(7号以上)に植えてください。鉢植えにすると水切れが起きやすいので庭植えがおすすめです。
一般的な鉢植えと同じように植えます。
鉢底の穴に鉢底ネットを敷いて土が流れ出ないようにして、鉢底石(
軽石)を2センチか3センチ入れて、その上に株が飛び出さないで、深く沈まないように…苗の地表面と同じようになるように土を入れて、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に水をやってください。
支柱をするといいです。また、苗木を植える場合は50センチに
切り戻して、根の負担を減らしておくと回復が早いです。
植え替えの場合は土を3分の1だけ落として、新しい土を足して植え替えます。
庭植えの手順は?
庭植えの場合…庭に深さ50センチ、直径80センチの穴を掘って、その掘り出した土に腐葉土か堆肥を4割混ぜて、化成肥料を説明書の規定量を入れてよく混ぜて用土とします。
穴に半分ほど戻して、株を入れて隙間に土を詰めて、最後に水をやって完成です。支柱をして倒れないようにします。苗木は50センチに切り戻すといいです。
自家結実するが実がなりにくいので、近くに別のヒメリンゴを植えるか、カイドウを植え、花粉を人工授粉させる。ただし品種によっては自家受粉で結実するので、品種をチェックするといいです。
管理場所・日当たり
日当たりのいい場所で管理してください。北海道から九州まで育てられる(自生地は北海道から北陸)。
過湿が苦手
クラブアップルは寒い地域の植物で高温多湿が苦手で、6月の梅雨と9月10月の秋の長雨のときに蒸れて内部から枯れ込むようならば、
剪定をして風通しを良くします。
夏の管理
ただ涼しい場所を好むので、暖地・中間地では夏に涼しい場所に移動させ、真夏の直射日光と
西日は避けましょう。ですが庭植えで避けられないときはそのままにします。
越冬・冬の管理
クラブアップル(姫リンゴ)は本来は寒さに強く、寒い場所を好むのですが、幼木のうちは霜に弱いので、植え付ける場所は霜が当たらないところにします。もしくは冬は霜よけをしてやります。
育ったクラブアップル(姫リンゴ)は寒さに強く、マイナス30度まで耐えますので日本であればどこでも冬越しに問題はありません。
病害虫
アブラムシ
アブラムシは一匹で爆発的に増え、新芽の汁を吸います。新芽はクタっとなって生育せず枯れてしまいます。生育が悪くなるので、アブラムシが発生したら水で吹き飛ばすか、薬剤を散布します。
オルトラン粒剤が効きますが、食べる場合は薬剤を使わないようにします。
黒星病
葉っぱにシミができます。落葉して枯れてしまいます。見つけ次第、薬剤散布してください。
剪定について
時期
クラブアップル(姫リンゴ)の剪定は葉っぱが落ちて休眠していて、もうすぐ目を覚ます頃の2月か3月に行います。
剪定は植え付けしてから4年目からでいいです。それまでは葉っぱや幹・枝をしっかりと育てるようにします。
剪定の手順
クラブアップル(姫リンゴ)は過湿が苦手なので混み合った枝を整理して風通しを良くする。短い枝に実がなるので、長い枝を切り詰めて脇枝を出すと良いが、いちばん大事なのは「風通し」。二番目が脇枝です。放置していてもそれなりに開花します。
毎年剪定しましょう。
短い枝に花が咲く
画像はユーザー投稿の写真でクラブアップルの花とツボミ。花が短い枝に着くのが分かる。
誘引
3月前後に休眠が明けて、樹液が動き始め、枝が柔らかくなってきます。この時期に枝を誘引しましょう。紐で引っ張って、地面に水平に近づけます。
果実類は枝が横に向いているときこそ結実しやすい性質があるので、こうして誘引するとよいです。横向きに誘引した枝から短い枝が伸びて、そこに結実します。誘因は一年ほど続けます。
特徴・由来・伝承
クラブアップルはバラ科の果実。古くからある観賞用の林檎。渋みがあって食べられない(あんまり美味しくないって意味で毒があるわけじゃない。果実酒などに加工して食べることはある)。園芸品種なのだが、親がなんなのかはハッキリしない。また、いつからあるのかも良く分からない。ただ、鉢植えや庭植えでよく見られる。
リンゴは歴史が古く紀元前6000年の地層から炭化したリンゴは発見されています。バラ科の植物なので
バラアレルギーの人はリンゴを食べるとアレルギー反応を示すことも。
エチレンガス
リンゴの実が熟すとエチレンガスを発生させます。このエチレンガスは他の植物の開花を早めたり、果実を熟すのを早める効果があります。お花屋さんのショウケース(キーパー)には植物が発するエチレンガス(微量ながらも他の植物からも出る)を吸収する機械が設置されています。
アダムが食べたのはリンゴではない
聖書に登場する善悪を知る「禁断の果実」であるリンゴですが、聖書の舞台のメソポタミアには当時リンゴは生えていない。後になって布教のために変えられたといわれています。元は
ザクロだったとも。
クラブアップルの語源は
ターシャ・チューダーの庭にもクラブアップルの大木があり、毎年そこに大量の実がなります。ターシャが言うには「クラブアップルを食べると酸っぱくて苦虫をかみつぶしたような顔になる」――「クラビーな顔」になるからクラブアップルなんだそうです。ちなみにクラブというのは「カニ・シラミ」のこと。
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