テッポウユリ(鉄砲百合・琉球百合)

科名 | ユリ科 |
属名 | ユリ属 |
学名 | Lilium longiflorum |
別名 | 鉄砲百合・琉球百合 |
水やり | 水控え目 |
場所 | 外の半日蔭 |
難易度 | 中級者向け |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
開花 | ||||||||||||
植え | ||||||||||||
肥料 |
目次
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テッポウユリ(鉄砲百合)とは?

球根植物のわりに乾燥に弱いですが、球根を植えれば、育ちますし、枯れることは少ないのですが、毎年キレイに咲かせたい!となると連作障害がおきるために若干大変です。
草丈1m
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水やり

鉢植えの水やり

10月に植え付けて2月〜3月に芽が出るまでは地上部がありません。土が乾いてから数日経って水をやる程度には水をやってください。
夏に入り高温になるとテッポウユリは地上部がなくなりますが、夏も「完全に乾燥」してしまうと球根が枯れてしまいます。やはり完全に乾燥しない程度に水をやってください。
庭植えの水やり

庭植えにしていても西日が株元に当たると乾燥で枯れてしまいます。西日が当たる場合は、株元に腐葉土やワラを敷いてマルチングをして、乾燥を防いでください。
植え付け・植えかえ
時期・頻度
10月から11月あたりに球根を植える。12月〜1月に植えても育つのですが、球根に負担がかかるので(なるたけ)やらない方がいいです。芽が出るのは暖地で2月、ほとんど地域が3月。それまで地上部が全然ないのですが、鉢植えの人は水をやらないといけないですので、庭植えだと楽です。テッポウユリは連作障害がおき、連作障害を防ぐために鉢植えなら毎年植え替えましょう。庭植えでも二年か三年に一回は植え替える。必ず違う場所に違う土で植えること。過去二年ほど別の植物が植わっていたらテッポウユリを植えても大丈夫です。
連作障害の原因ははっきりしない。おそらく鉄砲百合の根や球根から特定の物質が出て、それが自分の生育を阻害するのだと思われます。その物質は普通は細菌が分解するので、何年か経つとテッポウユリも育つようになります。
用土

テッポウユリは連作障害を起こしますので、昨年と同じ土に植えたり、何年も同じ場所に植えつけたりしないでください。
鉢植え
鉢はできるだけ「深い」ものがいいです。また、草丈が140センチから200センチと非常に高いので、「重い」「ひっくり返りにくい」ものを選びましょう。
深さは球根の三倍ほどの深さ、という言い方も。

庭植え



最後に支柱(100cm〜150cm)を立てて、水をやって完成。
何を植えたのか分からなくなるので、タグを設置しておきましょう。
植え付けの時に化成肥料を混ぜると根が伸びにくいという話もあるが、化成肥料を混ぜた方がいいという人もいます。おそらく一長一短。前者だと肥料切れしやすいが、後者だと根が多少伸びにくい。どっちでもいいと思います。
芽が出たらすぐに化成肥料をやってください。肥料切れを防ぎましょう。
芽が出たらすぐに化成肥料をやってください。肥料切れを防ぎましょう。
作業
追肥
芽が出たら緩効性肥料(化成肥料)を説明書きの規定量を一回やります。その後、生育期間中(葉っぱが青い間)は液体肥料を二週に一回ほどやります。鉄砲百合は肥料を必要とし、肥料が少ないと球根が太らず、「毎年開花」せず、隔年開花になっちゃいます。肥料切れしないように気をつけましょう。テッポウユリは楽に毎年開花するもののハズなのに、花が咲かないって人は肥料切れを疑いましょう。
ただし、肥料が多すぎると葉っぱが黄色くなってきます。それだと肥料が多すぎです。それだと病気の元になるので、「肥料は切らしちゃいけないが、控えめがコツ」です。
花ガラを摘む
花が傷んできたら、花ガラを摘んで下さい。花が終わると種子をつくろうと栄養をまわし、次のつぼみが咲きづらくなります。花ガラを摘むと次の花が咲きやすくなりますので、必ず摘んで下さい。もしくは花が綺麗なうちに、長めに切って切花として室内で飾るといいです。
花を摘むときは「手」で折ってください。テッポウユリはウィルス病に感染していることが多く、ハサミで切ることで別の植物に感染する可能性が高いです(もちろん、逆にテッポウユリが感染することもある)。なので感染を防ぐために綺麗な手でポキっと折るようにします。
もしくは、消毒したハサミで切りましょう。消毒はバーナーで熱消毒するか、消毒薬につけて殺菌します。
採種と種まき・育苗
種まきから増やすこともできます。詳細は以下のページを参考にしてください。テッポウユリの種まき・タネから育てるコツ
雑記
夏は掘り上げない
テッポウユリは春(5月前後)に開花して、夏には地上部が消えてなくなります。葉っぱが黄色くなってもそのままにし、球根を太らせて、植えっぱなしで夏を越します。植え替えるなら10月前後に行いましょう。よく球根の植物は休眠期に掘り上げて別途保管しておくことが多いのですが、テッポウユリの球根は乾燥に弱く、掘り上げて保管していると乾燥で枯れてしまいます。だから植えっぱなしで、鉢植えも水をやって管理します。どうしても掘り上げて保管する必要があるときは、湿らせたバーミキュライトに埋めて管理するなどして、乾燥しないようにします。
管理場所・日当たり

テッポウユリは高温・直射日光自体は苦手じゃないです。ただ、乾燥が苦手です。乾燥しやすい西日も苦手。
マルチング
腐葉土やワラを敷いてマルチングをすることで地下の温度上昇を抑えられます。それ以外に雨によるドロ跳ねを防ぐことが出来ます。雨による跳ね返りは病気を悪化させやすいです。また、水の蒸発も防ぎます。テッポウユリの球根は乾燥に弱く蒸発を防いで適湿に保ちます。また冬はマルチングをすることで、冬の土の凍結霜柱を防ぎます。土が凍結すると球根が枯れてしまいます。霜柱が立つと、根が切れてしまって生育不良を起こします。テッポウユリは深く植えるので、よほどのことがない限り、凍結はないのですが、寒冷地はやった方がいいですね。
病気・害虫
薬剤(オルトラン・ベストガード)を前もって根本に撒いておいてアブラムシを予防します。それが間に合わない場合は、見つけ次第薬殺します。ウィルス病
市販されているテッポウユリはほぼ全てウィルス病に掛かっています。このウィルス病は指し当たって問題を起こさないのですが、他のウィルスに感染したユリ科植物の汁を吸ったアブラムシが、テッポウユリにやってくると、ウィルスが突然に症状(バイラス病・モザイク病)を表し始めます。ウィルス病
病害虫植物への感染経路と種類と予防法のまとめ
特徴・由来・伝承
日本の森林に自生しています。ところがテッポウユリの仲間は連作障害を起こし、同じ場所に長く群生することが出来ず、種を風に飛ばして、別の場所へと移動する。明治以降球根が大量に輸出されたこと、開発によってテッポウユリの適した環境が減ったことと、テッポウユリ自身のそういった性質もあって、自生している地域でも数が減り、レッドデータブックに載る種類も多い。
切花として日本でもヨーロッパでもその他地域でも冠婚葬祭に飾られます。
明治維新後、テッポウユリなどのユリ類の球根がガーデニングブームに沸くヨーロッパに輸出されました。輸出のうち、球根が15%前後を占めていたわけですが、よく考えると、一度輸出してしまえば、栽培して増えるハズですから、輸出量は減りそうですが、なかなか減りませんでした。その理由に、このユリの「連作障害」があったのではないかと思います。実際、ユリを輸出してしばらくすると、ヨーロッパの園芸雑誌に「ユリの球根が二年目以降咲かない」という投書があったのです。一般にユリ科は連作障害を起こさないとされていますので、この連作障害が日本の明治以降の発展のいくらかを助けていたのではないでしょうか?
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