トケイソウ(時計草)の育て方…パッションフルーツとの違いは?
目次
トケイソウ(時計草)とは?仲間品種水やり肥料植え付け・植えかえ管理場所・日当たり作業病気害虫特徴・由来・伝承関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- トケイソウ
- 科名
- トケイソウ科
- 属名
- トケイソウ属
- 学名
- Passiflora
- 別名
- パッションフラワー・時計草
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 外の日なた
- 難易度
- 中級者向け
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トケイソウ(時計草)とは?
トケイソウは
トケイソウ科トケイソウ属(パッシフロラ属)はツル性の常緑
多年草(一部は違う)。花は
一日花で次々に開花します。
元々熱帯の中央アメリカ・南アメリカの植物なので、暑さに強く、
西日や照り返しのなんのその。その代わり、品種によっては寒さには弱い傾向があります。冬は室内に取り込みますが、最近では寒さに弱いとされる品種でも、関東の軒下であれば戸外で越冬するケースも増えています。
鉢植えの場合は、
アサガオなどでよく見かける行灯仕立ての支柱に絡ませてやることが多いです。
ツルの長さ3m〜5m
地植えにするのはちょっと待って
トケイソウのカエルレア系の品種(クリアスカイなど)であれば、庭植えし壁面緑化も可能です。かなり寒さに強く、冬に落葉しないこともあります。
つる性の植物で、どんどんと伸びていきます。フェンス・レトリスなどに絡ませるか、支柱に絡ませてやらなくてはいけません。
グリーンカーテンにもできます。こんな個性的なグリーンカーテンは魅力的です。
ただ、実際に植えた人によると繁茂しすぎて、日陰になり、風通しが悪くて息苦しいとすら思ったとか。しかも冬も半分しか落葉せず、ずっと日陰を作り続けたそうです。
うーん、困ったなぁ。
ツルが地面に設地すると発根して広がりますし、種でも増える。そもそも繁殖力旺盛で、家を覆い尽くしたり、樹木に絡んで日光を奪って枯らすこともあります。庭植えにするのは避けるべき!とよく言われますね。
まずは鉢植えで栽培してみて、考えましょう。
10号や12号といった大きな鉢に植えて、そこからネットやフェンスに絡ませるのでもいいです。そのくらいに抑えた方が賢明ですよ。
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仲間品種
パッションフルーツとの違いは?
トケイソウと同じような花を咲かせ、結実して果物をつけるのがパッションフルーツ(クダモノトケイソウ=Passiflora edulis)。仲間ではあっても、イコールではなく、トケイソウの実は食べられません。
他の違いは、トケイソウは葉が小さく、パッションフルーツの葉っぱは分厚く大きめ。なので株を見れば印象は違いますね。
チャボトケイソウ(パッシフロラ・インカルナータ/Passiflora incarnata)は寒さに強くマイナス10度以下でも問題なく、栽培できる。パッションフルーツティーの材料となる
ハーブとして有名。
パッシフロラ・カエルレアなど寒さに強い種を交配させた品種を漠然と「耐寒性トケイソウ」として販売しています。寒さに強く、
中間地でも問題なく越冬します。
クサトケイソウ(Passiflora foetida)は、南米原産の
雑草で、沖縄の一部で帰化してはびこっている。クサは「臭」で葉っぱをちぎったり揉むと臭いことから来ています。ネットショップでは「フルーティーな香りがする」と販売していることがあるが、そんなことないです。
画像のふさふさは実の周囲の毛です。
パッシフロラ・アラタと
オオミトケイソウの交雑種で、花が10cm〜12cmで葉も15cm〜20cmとにかく大きい。鉢植えでも地植えでも一般家庭では手に余るが、魅力的ではあるんです。耐寒温度3度と、霜に当たると枯れる程度。
葉には毒性が
トケイソウの葉にはシアン化合物やアルカロイドが含まれていて、食べると胃腸障害などを起こします。大人は問題ないですが、子供やペットが口にすると危険です。
ただし、葉と茎以外は問題ないですし、通常食べないですし、実際に被害があった事例というは調べても見当たらなかったですので、そこまで気にしないでもいいかなと思う。
水やり
庭植えの水やり
庭植えの場合は、自然に降る雨だけでほぼ大丈夫。あまりに日照りが続く時期は、様子を見て水をやってください。
鉢植えの水やり
土が乾いていたら水をしっかりとやります。春から夏は、水切れがおきやすいので、しっかりと水をやってください。ですが、土が常時濡れていると根が腐って枯れてしまいますので、水のやりすぎには注意して下さい。どちらかというとやや乾かし気味が好ましいです。
夏の高温と水切れで調子を崩すようなら、
半日陰に移動させてください。
秋以降は気温が低下して、トケイソウが成長しなくなり、水を吸い上げる力が弱くなりますので、
水やりを減らします。
水やりの頻度は、環境によって全く違いますから、なんとも言えませんが、真冬だと土がカラカラに乾いてから数日経ってからやる程度……二週間に一回とかです。
肥料
トケイソウはどちらかというと有機質の
肥料(骨粉・
油粕)がよいですが、骨粉・油粕は
コバエが発生したり、ニオイがするので化成肥料や液体肥料でいいです。
生育期(4月〜10月)には液肥を月に二回か三回程度、もしくは化成肥料を1ヶ月に1回やります。肥料をやると花がよく咲きますが、肥料が多すぎると葉っぱは増えても花が咲かなくなります。肥料はやっても控えめがコツ。
植え付け・植えかえ
時期・頻度
庭植えへの植え付け・鉢の植え替えは春(4月〜5月)ごろにします。この頃であれば、根を切ったり、土をいじっても大丈夫です。土をいじらず植えるのであれば、6月から9月まで可能です。
鉢植えは毎年か最低でも2年に一回は植え替えをします。
用土
一般的な
培養土で植えるか、
赤玉土小粒7
腐葉土3を混ぜた土で植え付けをします。
水はけが良い土を好みます。やすい土ではなく、それなりのブランドのものを使いましょう。
鉢植え
根が鉢いっぱいになると、
根詰まりを起こします。根詰まりを起こすと、生育が鈍くなるのも問題ですが、夏に水やりしてもすぐに水切れを起こすようになって大変です。鉢は大きめを用意した方がいいです。ポット苗なら最初は
6号鉢から。
鉢の素材はなんでもいい。普通の鉢で(丈が高いものや浅いものじゃなくていい普通ので)。
鉢植えの場合は、鉢底の穴を鉢底ネット(鉢底網)で塞いで土が出ないようにしてから鉢底石(
軽石)を2cmから3cmほど入れて、軽石の上に土を入れ、株を入れて、隙間に土を入れていき、最後に水をやります。
行灯支柱を立てて、そこに誘引させていきます。庭植えと同じようにフェンスやレトリスに誘引してもいいです。
春(4月〜6月)の植え替えならば、土を3分の1を落として、痛んだ根を整理して、同じ大きさの鉢に植え替えることもできます。それ以降の根が活発に活動している時期は土を落とさないで、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
庭植え
根鉢の二倍か三倍の深さと大きさの穴を掘って、
苦土石灰(1平方mあたり100g〜150g)をまいて中和させておく。中和には1週間〜10日ほどかかるので、1週間たってから、掘り出した土に腐葉土を3割か4割混ぜて、化成肥料を少量入れて、よく混ぜて
用土とします。
穴に半分ほど用土を戻して、株を入れて、隙間に土を入れて、最後に水をやって完成です。
庭植えしたものを掘り上げて鉢植えに移植することも可能。
繁殖力が強く、霜に当たって枯れる品種ならいいのですが、寒さに強い品種を植えると庭がトケイソウで覆われることもあります。といっても、頑張れば制御できるレベルですから、絶対植えないほうがいいというほどでもないです。ただ、軽い気持ちで庭に植えるのはやめたほうがいいです。
管理場所・日当たり
日光を好みますので、一年中日が当たる場所で管理します。しかし耐陰性もありますので少々日当たりが悪くても問題はなく成長します。ただし、日光が少ないと花つきは悪くなりますので、基本的には日当たりで管理します。
夏
鉢植えにした場合、真夏に戸外の日当たりで管理していると、さすがの熱帯出身のトケイソウでも高温と乾燥から調子を悪くしますので、寒冷紗で遮光したり、風通しの良い半日陰の場所に移動させたり、養生しましょう。
鉢植えの場合、地上部に対して鉢が小さく、水切れしやすいです。できれば大きめの鉢に植え替えておくといいです。
冬
トケイソウは寒さに強い品種もありますが、品種によって耐寒性が違います。強いものの耐寒温度はマイナス15度、耐寒性が弱い種類でも3度くらいまでは堪えますから、普通の植物に比べると寒さに強いです。
暖地であればどの品種でも戸外で越冬します。
寒さに強い品種も、強い霜に当たると傷みますので、庭植えの場合は、できるならば寒冷紗などで霜除けするといいです。また、寒さに強い品種でも土が凍結すると枯れるので、凍結する地域であれば株元にワラや腐葉土で
マルチングして凍結を予防します。
鉢植えであれば、冬は室内で管理するか、霜の当たらない軒下で管理し、土が凍結するようなマイナス5度以下になる時期は室内に取り込みましょう。
寒さに強いトケイソウの品種
コンスタンスエリオット、レッド・インカ、クリア・スカイ、インカルナタ(チャボトケイソウ) などがあります。これらはマイナス5度あたりまで耐えられます。
霜に当たると枯れますが防寒で越冬可能
ライラック・レディ、インセンス、ベロッティー、アメジストなどです。
これ以外の品種は室内の日当たりでの管理になります。よく分からない場合は3度以上を保つようにしてください。
作業
誘引
トケイソウはツルで巻き付いて、あちこりに登っていきます。ヒモでも自分で登っていきます。
寒さに強い品種になると、庭植えして放置でもOKなのですが、つるがそこら中に絡み付いて収集が付かなくなることもあります。そこで、伸びた枝をフェンス・レトリスなどに誘引(好ましいところへ括り付けてつるを導くこと)してやります。
鉢植えの場合は、行灯支柱に絡ませていきます。
5月〜9月は2週間に一回は誘引して、麻紐なのでくくりつけ、伸びすぎた枝は切ってしまいます。怠ると、伸び放題になるので、特に庭植えは気をつけましょう。
切り戻し
活動が活発になる前の3月から4月にツルを切り戻す。切り戻すことで根の負担を減らし、これ以降の活動が勢いよくなりますし、大きくなりすぎず管理しやすくなります。気にしないならやらないでもいいです。春にできなかった場合は、9月〜10月に行います。
春は長さ半分くらいに切ってしまいます。目安としては地上1メートルほどの長さに切る。切るときは節の上で切ると、節から新芽が出やすい。
5月以降にも適宜、
剪定を行っても構わない。日光と温度があれば、かなり花はよく咲くので気にせず剪定してもいいです。ただ花はツルの先に付くので、切り戻せば、しばらく開花しなくなりますよ。
トケイソウは新枝咲きです。春以降にのびた新しい枝先に花が咲きます。
花ガラ摘みと摘芯
5月〜9月は、葉っぱが枯れていたり、花がしぼんでいたら、早めに葉っぱを切り取って絶えず清潔な状態を保ちましょう。
花ガラ(=花がしぼんだもの)を摘んでいくと、
摘芯となって、花と葉が増えるので、ちょいちょい切っておくといいです。
病気害虫
アブラムシ・
カイガラムシなどの
害虫が発生することがありますが、株が健康であれば大事にはいたりません。前もって土に
オルトランなどの浸透性の薬剤を入れておくか、発生後に薬剤を散布して駆除します。薬に耐性がつくので、効かない場合は別の薬剤を使ってみましょう。
剪定して風通しをよくすることでも予防できます。
無農薬を勧める人もいますが、農薬はなんだかんだ言っても便利です。
特徴・由来・伝承
英名パッションフラワー。このパッションは情熱、ではなく「受難」と言う意味。南米に派遣されたイエズス会の宣教師はパッションフラワーを見て、アッシジの聖人フランチェスコ(フランシスコ)が夢で見た「十字架の上の花」と考え、キリスト教の布教に利用しました。当時は全ての動植物は神が作ったもので、徐々に環境に合わせて進化するという考え(進化論)はありませんでした。奇妙な容姿であればあるほどに宗教的意味を持たせやすかったのかもしれません。
パッションフラワーの実が「パッションフルーツ(厳密に言うとトケイソウの一部の種の果実のこと)」。当然このパッションも受難と言う意味。キリストの受難という意味です。
トケイソウは南米原産の植物で、非常に特殊な花を咲かせます。日本では三つに分かれたおしべを時計の針(長針・短針・秒針)と見立てての命名です。
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