インゲンマメの育て方

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インゲンマメの基礎データ
インゲンマメ
科名マメ科
属名インゲンマメ属
学名Phaseolus vulgaris
別名隠元豆・三度豆・菜豆
水やり水を好む
場所外の日なた
難易度上級者向け
画像投稿
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開花
植え
肥料
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インゲンマメとは?

インゲンはマメ科の野菜。ツルあり(ツル性種)とツルなし(矮性種)があり、ツルありは暑さに強く長期間収穫ができるが場所を取る。ツルなしは暑さに弱く収穫できる期間が短いが、早く収穫できて場所を取らないので、初心者ベランダガーデニングはツルなし(矮性種)から手をつける。

基本的には霜が降りなくなって4月5月に植え付け、初夏(6月7月)に収穫する。割と簡単に育てられ、収穫も多く、丁度いい。ただしツルあり種はネットを立てなくちゃならず、これが初心者にはハードルが高い。ツルなし種はベランダガーデニングに合ってる。ただし、収穫量は少なめだけど。

完熟してから収穫したものが「インゲンマメ」。で、未成熟のインゲンを「サヤインゲン」として、一般家庭ではサヤインゲンを収穫します。キヌサヤはエンドウマメ(インゲンとは別種)の未成熟収穫したもの。
草丈40cmから3m

栽培のまとめ

●インゲンマメはマメ科の一年草種子・未熟なサヤを食べる。
●5月に植えて夏までに収穫する。
●一般的にはサヤインゲン(=インゲンマメの未熟なもの)を収穫する。
家庭菜園で栽培できるコスパの良い野菜です。
●ツルなし種とツルあり種があり、ツルなし種が育てやすいので初心者はツルなし種から。


品種
モロッコインゲン

管理場所・植える場所・日当たり

生育温度は20度。10度以下で成長が停止、霜が当たれば枯れる。日当たりで育てる。

開花時期に雨にあたると花粉がつきづらい。そこで雨の当たらない場所で栽培するのが好ましい(そこまで気にしないでもいいけど)。高温多湿・乾燥に弱いので、夏になると開花・実つきが悪くなるため、早めに植えるのがコツ。

肥料

元肥

元肥は植え付け時に入れる肥料のこと。マメ科は空気中の窒素を土中に取り込むのですが、それは窒素だけで健康に育つためにはある程度の肥料は必要です。マメ科の植物としては肥料を必要とするタイプです。

追肥

生育期間の長いツルあり種は生育期間中に追肥が必要ですが、ツルなし種は生育期間が短いので追肥は不要です(もしくは開花初期に一回やる)。

ツルあり種は植え付けして20日後から収穫時期のどこかで肥料を追加します。1回目は開花し始めのとき。2回目は収穫の始まりごろ。
●追肥の時期は「決まった」ものではなく、栽培する人によって内容が違う。
●肥料が多いと実がつかなくなることがあるので、控えめにする。

肥料のやり方
株元に化成肥料をまき、その肥料を隠すように「土寄せ」を行う。土寄せすることで雑草を予防し、倒伏を予防します。
●窒素肥料が多いとツルボケを起こすのでバランスよく入ったものを使いましょう。

植え付け・種まき

種まき時期

発芽温度は23度から25度と高温なのに生育温度は20度と低め。一般家庭では霜が降りなくなる4月から5月に種まきして、7月8月に収穫する。発芽までは1週間前後。ただし、気温が低いと発芽までの期間が長くなり、バラつきが大きくなる。

種まきの補足

●ビニールトンネルを作れば、中間地では2月3月から種まきできる。寒冷地でも3月4月から種まきして栽培可能。
●3月4月に室内でポット苗を作ることも可能。
●7月以降にまた種まきして収穫…を繰り返す。うまくするとワンシーズンで3回収穫できる。別名が「三度豆」。
●高温多湿・乾燥に弱く、夏になると開花・実つきが悪くなるため、霜が降りなくなったら早めに植えるのがコツ。
●インゲンマメの苗はほとんどみかけない。あったら楽だけど、種から育てるのが一般的。

用土

弱酸性から中性の土壌(Ph5.5からPh6.8)で水捌けの良い土を好む。プランターで植えるなら一般的な培養で植え付ける。庭(畑)に植える場合は深さ30cmほど掘り返し、植え付けの2週間前に苦土石灰100gから120gを撒いて中和させる。植え付けの1週間前に堆肥腐葉土を3割ほどと、化成肥料を1平方mあたり150gを足してよく混ぜて畑を作る。

1平方mあたり100g苦土石灰を撒く。土を酸度測定器で測って調節した方がいい。というのも過去の石灰の量の多少や、マルチをしていると雨水(雨は酸性)があたらず、酸性になっていない場合もあります。
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連作障害

他のマメ科と連作障害を起こすが、多少であれば問題ない。よくエンドウマメ・ソラマメなどの秋〜春に栽培するマメ科野菜を植えた後にインゲンマメを植える。そのくらいじゃ問題ないが、その後に同じ場所にまたエンドウマメ、ソラマメを植えるとさすがにまずい。一年はマメ科を避けて、また植えるといいです。

ポットで苗作り(3月から5月)

ポットで種まきして育ててから庭(畑)に植えるか、プランターに植えるとよい。最初から庭(畑)に種まきしてもいいが、種子を鳥に食べられるので、ポット苗を作ってからの方がいいかも。

発芽温度は25度。ポット播きの場合は、種の上に2cmから3cmの深さに種を播く。種(豆)は一つのポットにツルなし種なら4粒、ツルあり種なら3粒を重ならないように入れる。土をかぶせたら、水をやりをするが、軽く水やりをする。たっぷりと水やりをすると豆が腐ってしまうので「軽く」にする。
●種まき前に種子は一晩水につけていると発芽しやすくなる。
●種子を重ならないように入れるのは、間引きの時に巻き込まないようにするため。

間引き
発芽して本葉が出たら成長の悪いものを間引いて一か所に二本だけにします。二本立てで栽培します。

定植する
本葉が3枚か4枚になったら、畑・鉢・プランターに定植します。霜が降りなくなったら早めに植えてしまいましょう。植えてから1週間は根が土に活着していないので水切れして萎れやすいので、庭植えでも鉢植えでも水やりをしてください。

直播(4月から5月)

インゲンマメ:直播(4月から5月)
土を作る
植え付ける2週間前に深さ30cmを掘り返し、苦土石灰を1平方mあたり100gから120gほど混ぜて、植え付け1週間前に堆肥を2割か3割追加して、化成肥料を1平方mあたり150gほどを足してよく混ぜて用土とする。

畝を作る
高さ10cmから15cmで、一条なら幅80cm、二条なら120cmの畝を作る。条間は30cm。株間30cmから40cmで植える。ツルなし種は株間25cmから30cmで植える。

庭(畑)植え…直播
庭(畑)植えする場合の種まきは、深さ1.5cmから3cm、直径7cmから8cmの穴を掘ります。ツルなし種なら25cmから30cm間隔で穴を掘り、ツルあり種なら30cmから40cm間隔で穴を掘ります。
そこにツルなし種なら4粒を。ツルあり種なら3粒を重ならないように離して植える。乾燥しきらないように水をやっていると発芽する。発芽までは1週間ほど。
●種子は鳥が食べる。発芽したものも食べる。そこで、本葉(初生葉)が出るまでは寒冷紗やネットを張ったり、ビニールトンネルを張る。不織布を被せると、鳥避けにもなるし、乾燥予防ににもなる。
●種まき前に一晩、水につけていると発芽率があがる。
●種まきのときに、「重ならないように」種をまくのは、間引きの時に一緒に健康なものまで抜けるため。

間引き
本葉が出たら成長の悪いものを間引いて一か所に二本だけにします。二本立てで栽培します。

苗を鉢や庭(畑)に植え付け(4月5月)

インゲンマメ:苗を鉢や庭(畑)に植え付け(4月5月)
庭の植え付け
畝の高さ10cmから15cmで、一条なら幅80cm、二条なら120cm。条間は30cm。株間30cmから40cmで植える。ツルなし種は株間25cmから30cmで植える。
水はけが悪いなら畝の高さを20cmから25cmに高くする。
●植え付けの時に土を崩さず、根をいじらない。根をいじると生育不良を起こす。
●植え付け後1週間は昼間の温度が25度前後、夜の最低気温が13度以上になるようにする。そういう時期に植え付けることを目指すなら「苗の植え付け」はやっぱり5月以降じゃないと。
●インゲンマメはナスピーマンの近くに植えるとお互いの生育をよくします。コンパニオンプランツを参考に。
●マメ科植物はネギ類の近くに植えると根粒菌の活動が鈍くなり生育が悪くなりますので近くに植えないようにします。

プランター植え
65cmのプランターに2株か3株を植える。8号鉢なら1株を植える。苗を植えるときは土を崩さず、根をいじらないようにする。根を傷つけると生育不良を起こす。

乾燥対策…マルチ栽培

乾燥すると花が落ちたり、サヤ生育が悪くなるので、水切れしないようにする。そこで乾燥対策で株元にワラを敷いて蒸発を防いだり、ビニールマルチをする。一般家庭ではワラで十分。雑草予防にもなります。

マルチ栽培(ビニールマルチ)は畝にポリフィルムを敷いて栽培する方法。地温を上昇させ、雑草防止、土が固まるのを防止するなど効果があります。

インゲンマメの植え付け後の栽培手順

水やり(4月から8月)

花に水がかからないようにする。花に水がかかると花粉がつかずに結実しないことがある。インゲンマメはどちらかというと湿潤な環境を好む。水やりが不足すると花が落ちてしまうので、様子をみて水やりを増やしてください。
庭(畑)植えの水やり
様子を見て水やりをする。できればビニールマルチや、ワラでマルチングをして乾燥を防ぐ。マルチをすると雑草除けにもなる。
●水やりが少ないとサヤが伸びない。サヤが伸びない程度の水不足では枯れないので、パッと見には問題が見えない。水やりが少ないと肥料も土に染み出さず、肥料の効果がなくなるので水やりは大事。

プランター・鉢の水やり
土が乾いていたら水をやる。プランターでも乾燥対策でワラでマルチングをするといい。底から水が出てくるくらいにしっかりと水をやる。

支柱を立てる(本葉が4枚になったら)

インゲンマメ:支柱を立てる(本葉が4枚になったら)
ツルあり種作業(支柱を立てる)
本葉が4枚になるとツルが出てきます。ツルが出る前に支柱やネットを設置します。ツルあり種は草丈が2mから3mになるので、支柱やネットは最低でも高さ2m必要。これがなかなかの重労働。面倒ならツルなし種を。
●ツルあり種は苦労して支柱・ネットをして台風で吹き飛ばされることがある。これは運。

ツルなし種作業(倒伏防止)
ツルなし種は大掛かりな支柱やネットは不要ですが、株が小さいうちは倒れないように支柱(50cm)を立ててくくりつけるといいです。やらなくてもいいですが、風で折れることがある。

追肥(5月から8月)

インゲンマメ:追肥(5月から8月)
ツルあり種の追肥
開花しはじめる頃に1回目の追肥します。また、収穫し始める頃にも追肥します。ツルあり種は収穫が一ヶ月ほど続くのでここで追肥しないと徐々にサヤの生育が鈍くなります(味も落ちる)。
畝に化成肥料を1平方mあたり30gから40gを撒いて、周囲の土を耕しつつ株の根元に寄せます。土寄せには雑草除けの効果もあります。
●肥料をやっても水をやらないと、土中に溶け出さない。水やりも必須。

ツルなし種の追肥
ツルなし種は追肥不要です。

収穫(6月から8月)

ツルあり種の収穫
種まきから65日から70日で収穫可能になります。収穫は一ヶ月続きます。花が咲いてから10日から2週間ほどで収穫します。若く柔らかいうちに収穫して食べます。早めに収穫を繰り返すと株の負担が減り、長く多く収穫できます。
●ツルあり種はサヤの中の種子が多少膨らんでも味は落ちないっぽい。

ツルなし種の収穫
種まきから40日から50日で収穫可能になり、収穫できる期間は2週間。花が咲いてから10日から2週間で収穫できます。サヤがちょっと膨らんだら収穫時期。早めに柔らかいうちに収穫します。

病害虫

カイガラムシハダニアブラムシウドンコ病など
ウィルス病サビ病炭そ病、菌核病
防虫剤アドマイヤー粒剤、ウララDF

雑学

渡来経緯・名前の由来

アステカ帝国ではインゲンを税として徴収していた。これをコロンブスによってヨーロッパに持ち込まれ16世紀には作物として栽培されるようになった。それが16世紀に中国に渡り、1654年に明からの帰化僧の隠元隆琦(インゲンリュウキ)が持ち込んだとされる。それでインゲン豆と呼ばれるようになったとされるが、隠元が持ち込んだのは「フジマメ(Lablab purpureus=マメ科フジマメ属)」とも言われ、関西ではフジマメをインゲンマメと呼んでいる。

毒がある

インゲンマメの種子にはレクチンという成分が入っていて毒。摂取すると嘔吐・下痢・腹痛を起こす。数時間後には回復する。4粒か5粒で症状になる。といっても生で食べず、火をちゃんと通せば無毒になる。

ただしこれは「完熟した種子」であって、サヤインゲンで食べる分には無毒。とはいっても、サヤインゲンも生で食べると青臭いので茹でてから食べる。
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