イチジク(無花果)の育て方
目次
イチジクとは?品種・仲間水やりイチジクの植え付け・植えかえ・種蒔きイチジクの管理場所・日当たりイチジク栽培の作業イチジクの病害虫由来・伝承関連記事学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- イチジク
- 科名
- クワ科
- 属名
- フィカス属
- 学名
- Ficus carica
- 別名
- 無花果
- 水やり
- 水を好む
- 場所
- 外の半日蔭
- 難易度
- 中級者向け
スポンサーリンク
イチジクとは?
イチジクは
クワ科の
低木の果樹。耐寒性があってマイナス10度まで耐えることから、よほどの寒冷地でない限りは収穫が出来ます(基本的に関東南部以西で栽培)。また、病
害虫はほぼ
カミキリムシのみで果物系では育てやすい。
雌雄異株といって、雄株と雌株があり二株を植えるのが本来ですが、受粉しなくても実がなりますので、メスの木だけを植えます。また現在日本で流通している無花果は受粉しなくても甘くなるように品種改良されています。
イチジクは大きく分けると①春から初夏に実をつけるタイプと②秋に実をつけるタイプと③どちらでも収穫タイプの品種があります。この品種によって
剪定の方法が違いますし、適した地域も違います。植える前に必ず下記のリンクをチェックしましょう。
イチジクを食べると便秘解消。快便に。そういう目的で植えている人もいるらしいです。イチジクは整腸作用があって、漢方に利用されます。浣腸がイチジクの形をしているのはこのためとも。
スポンサーリンク
品種・仲間
梅雨頃に収穫する夏果と、秋に収穫する秋果があります。夏果は梅雨に腐りやすく、水水しく大きく育つものの、秋果の方が甘味が強いので一般的には秋果を収穫します。
水やり
庭植えの水やり
水を好み、乾燥すると葉が落ちて株が弱ります。基本的には自然に降る雨だけでもいいですが、庭植えした場合でも、夏場は水をやってください。夏場に
水やりが切れると、果実が落ちます。乾燥対策として
マルチングをする。
根本に
腐葉土やワラを敷いてマルチングして乾燥を防ぎます。
鉢植えの水やり
土が乾いたら水やりをします。鉢底から水が染み出すくらいにしっかりとやります。夏に水切れしやすく、夏に水が切れると果実が落ちます。朝に水をやり、夕方にも水をやるが、それでも水切れは起きるので、腰水をすると水切れ予防になります。
イチジクの植え付け・植えかえ・種蒔き
時期・頻度
落葉時期の11月から2月の間に庭植えへの植え付け・鉢の植え替えを行う。根鉢を崩さなければ他の季節でも植え付け・植え替えは可能だが、ダメージがあるのでオススメしない。
鉢の植え替えは毎年する人もいるが、基本的には2年か3年に一回。
●鉢植えは植え替えの際に根切りを行い、根を整理する。
●落葉時期に棒苗が出回っているのでこれを植えるといい。
用土
水切れになると、枯れることも…と水やりの項で書いたのですが、過湿しすぎても、傷んでしまいます。植える土は
水はけのよいものが適しています。一般的な園芸
培養土でもいいです。自作する場合は
赤玉土7腐葉土3を混ぜたものを使います。庭土が粘土質の場合は、川砂などを混ぜ込みます。
酸性の土より弱アルカリ性か中性の土を好みます。庭土には
苦土石灰を混ぜておきましょう。イチジクの実にはカルシウムが含まれて居ますので、カルシウムをよく吸収します。
庭植え
植え付けの2週間前に深さ40cm〜60cmを掘り返し、掘り出した土に苦土石灰を混ぜて中和させます。1週間で中和が終わるので、終わったら、土に腐葉土か
堆肥を2割〜3割足して、化成
肥料を規定量入れて、混ぜて
用土とします。
穴に用土を半分だけ戻し、株を入れて、隙間に用土を入れていきます。最後に水をしっかりとやります。
苗を浅く植え、支柱をして倒れないようにします。
●地植えにすると根が広がるばかりで結実しにくい。そこで根域制限すると結実しやすい。土中に周囲を囲むように埋め込む(瓦など)と、結果がよい。根が制限されるため、鉢植えの方が実つきが良い。
●イチジクは樹勢が強い。地下の水道管などの施設を侵食することがあるので、植える際は考える。
●
連作障害が多少あるので、クワ科を植えた場所を避ける。
鉢植え
イチジクは根が強く、庭植えした場合、コンクリートの隙間に入ってカチ割ることがある。そこで都市部では鉢植えが必須。出来るだけ大きな鉢に植えて育てれば収穫も可能。夏の乾燥が厳しいので、マルチングと鉢が高温に成らないように鉢をアルミホイルで巻くとか鉢への日除けをするなど対策が必要。
鉢は最低10号以上にする。できればそれ以上の大きさ…13号14号でも。大きい方が収穫は多い。根の勢いが強く、プラ鉢を突き破ることもある。
鉢底の水が抜ける穴を鉢底ネットを敷いて、その上に鉢底石を2cm〜3cm入れ、その上に用土を入れ、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後にしっかりと鉢底から水が出るくらいに水をやります。これで完成です。支柱は不要です。
植え替えの場合は、土を3分の1ほど落とし、根を切って根を更新してから同じ大きさの鉢か、ひとまわり大きな鉢に植え替えます。
●鉢植えも地面に直置きすると鉢底から根を脱走して地面に根を張る。受け皿を敷いていても、受け皿のヒビから地面に到達することもある。
●鉢植えに向いている品種はビオレッタ、プレスコ、ノルドランド
イチジクの管理場所・日当たり
日当たりの良い、風の当たらない場所に植え付けをします。一旦植えてしまえば、水やりに気をつければ、毎年収穫できます。
裂果してから収穫すると虫が入ったり、腐ったりするので早めに。早めに収穫すると未熟なものも混じる。そこでジャムにしたり砂糖漬けにする。
果実に日が当たらないと色が変わらない。陰を作っている葉っぱを取り除くとよく熟す。果実の生育・成熟には日当たりが大きい。
耐寒性
温州
ミカンが育つような暖かい地域なら防寒不要。戸外での管理でいいです。
耐寒性が高い品種は東北・北海道でも枯れませんが、寒さに当たると落葉し落果する。日当たりによっては、熟した果実を収穫できないので、未熟なイチジクを砂糖漬けにするかジャムにすることになります。
寒冷地では夏の生育が遅く、収穫までに寒さがやってくる。そこで成熟を促す「オイリング」をすることで熟した実を収穫できる。オイリングはナタネ油・
オリーブ油・ゴマ油のどれかを綿棒にしみこませて、果実の先の「目(果実が最後に裂けるところ)」につけること。
イチジク栽培の作業
元肥(11月~1月)
庭植えも鉢植えも、11月から1月あたりに元肥をやります。元肥は一年の生育の元となる肥料で肥料が少ないと実がつかないこともあります。元肥としては有機物(腐葉土・堆肥)をしっかりとすき込みます。緩効性化成肥料も少量やるといいが、控えめにする。
地植えなら肥料がなくても収穫も可能。それでも有機物はあった方がいい。
肥料を与えず、
根詰まりさせると幼苗でも結実する。植物は少しいじめた方が生育するため。
剪定(12月〜2月)
イチジクは樹高が高くなります。イチジクの木は柔らかくて、しなやかに曲がるので、少々樹高が高くても収穫は可能ですが、出来れば、剪定をすることで小さくまとめたいです。また、剪定・芽かきをして樹勢を抑えることで結実しやすくします。適切な剪定をすることで収穫を増やすこともできます。
参考:
イチジクの夏果品種の剪定について、
イチジクの秋果品種の剪定について、
イチジクの夏秋果兼用品種の剪定について
この時期にガットサイドを幹に塗っておくと
テッポウムシ予防になるので、剪定と共にやっておくといいです。
挿木で増やせます
剪定した枝は
挿木にして増やすことも可能です。挿木の切り口を水に18時間つけて
水揚げし、それを挿木用土にさせば簡単に株が増やせます。別に水揚げしなくても発根するくらいに頑健な植物です。あとは日陰で乾燥しないように水やりをしていれば発根しますので、発根したら鉢や庭に植え付けてください。ちなみに挿木の成功率は
初心者で50%。
ヒートマットで25度にしておくと成功率はグンっと上がります。挿木用土は無菌かつ無肥料がよいのですが、それよりも温度の方が成功率を上げる要因ですね。というかいろんな工夫をするより、挿木用土に何本も刺して数でこなせば、そもそも発根しやすいんだから、それで大丈夫です。
冬〜春に剪定した枝がネットオークションで挿木の枝として出品されています。挿木自体はできるのですが、輸送している間に劣化することもありますし、そうでなくても失敗することもあり、トラブルも起きやすいです。特に細いものは通称「アスパラ」と呼ばれ、嫌われています。
でも、ネットショップでは扱っていないレア品種が出品されているので、どうにも魅力的ではあるんですよね。ネット上で挿木で成功率が問題になるのは、結局限られた挿木をどうしても発根させたいという願望から来ているので、そういうことを考えなければ苦悩しないで済みますよ。
根切り(12月〜2月)
イチジクは落葉時期の12月から2月に太い根を切り、地上部の剪定を行い、株の更新を行う。この根を切る作業を「根切り」と言う。根切りをしないと徐々に勢いがなくなり実をつけなくなり、最悪枯れてしまう。イチジクは根の張りの勢いが非常に強いので、切ったくらいではなんともない。半分以上の根…5分の4ほどをハサミ・ノコギリで切ったって大丈夫。
●庭植えの場合は株の周辺を掘って根を切る。鉢植えの場合は植え替えの時に根切りをする。
●根は強いが、芽吹く直前か直後に根をいじると芽の動き出しが遅れるので避ける。最悪、このシーズンは花が咲かないこともある。と言ってもそれで枯れることはない。
●イチジクの根は地表を広範囲に広がるので深掘りする必要はなく、根切りは簡単。
芽かき・摘芯(5月以降)
秋果を収穫する場合、5月以降に伸びて続ける枝を40cmから50cmで
摘芯(
切り戻し)をします。このまま伸ばしていると枝葉ばかりを伸ばして、果実がつきません。一文字仕立ての場合は、枝を1.5mほどで摘芯します。摘芯した枝から新芽が出てきたら、その新芽は芽かきします。
追肥(6月から9月)
開花後、結実してから収穫までは肥料を継続してやります。イチジク専用肥料をやるのが楽です。肥料は必須ですが、肥料より、日光・剪定・芽かきの方が結実には大事なポイントです。
また、イチジクは
酸性土壌より、中性・弱アルカリ性土壌の方が生育が良いので、定期的に苦土石灰(もしくは
有機石灰)をやって、アルカリ性にします。肥料より
石灰の方が大事。
イチジクは根の張りが非常に旺盛なため、カリをリンの1.5倍以上を吸収しますのでカリの多い肥料をやるといいです。でも、面倒なので普通に化成肥料でもいいです。
夏の水切れ(8月)
夏に水切れすると
花芽が落ちてしまう。特に鉢植えは水切れしないように腰水か底面給水にするといい。数日旅行に行くなら腰水に。
庭植えでも水切れすることがあり、水切れすると果実が落ちるので注意する。水やりをし、株元にワラや腐葉土でマルチングをします。
収穫(6月から10月)
スーパーのは青いうちに収穫しているため、買うより美味しい。自宅で栽培するのであれば完熟にしてから食べるべき。雨の後は味が落ちる(甘味が落ちる)。水やりを控えることで甘みは増す。
鳥に食べられる場合はネット・果実袋をかける。鳥は一度覚えると毎年くる。袋は透明なイチジク用のものがあり、害虫対策にもなるので是非やっておきましょう。
冬は落葉するので、日光に当てる必要はないが、ある程度の温度が欲しいので日当たりで管理するといい。もしくは室内で管理。ただし耐寒性のある品種は戸外に置きっぱなしでいいです。
防寒対策(11月〜)
品種によって耐寒温度が違うのですが、基本的に霜が降りる
中間地、寒冷地では防寒対策が必要となります。
庭植えの場合は、落葉したら、防霜シートをかけ主幹を守ります。株元には霜柱を避けるために敷きワラを厚さ10cmになるように、かぶせ防寒します。
鉢植えの場合は、凍結しない場所に移動させます。
イチジクの病害虫
カミキリムシ
イチジクの害虫はカミキリムシが主敵。実質、これさえ気にしていれば十分ってくらい。そこが「イチジクは育てやすい」とされる一因。カミキリムシは幹に卵を植え付け、その卵から帰った幼虫が幹を食い荒らして刈らせる。幹に穴が空いていて、オガ
クズが出ているので被害はすぐわかる。穴に針金を突っ込んで刺殺すか薬剤を注入して薬殺する。必ず、被害が見られなくなるまで繰り返す。
予防する場合は、幹にガットサイドSをハケで塗ると3年ほど、効果が持続してくれます。もしくは幹にカミキリムシが卵を産みつけられないように、不織布やみかんネットなどを巻き付けるといいですが、面倒なのでガットサイドSがいいでしょう。
●6月に成虫が卵を産み、その幼虫の被害が大きくなるのは翌年の4月以降。
●カミキリムシさえ防除できれば農薬はほぼ不要。
ネキリムシ
コガネムシの幼虫で根を食べる。
アリ
アブラムシや
カイガラムシがいるとアリがたかる。また、実が熟すとアリがたかる。アリは忌避剤を株の周囲にぐるりと撒くと予防できる。
その他
アブラムシ・カイガラムシ・センチュウ…基本的にカミキリムシ以外の対策はなくてもいい
由来・伝承
クワ科の植物。花が実の内側に咲きますので、花を人が目にすることはありません。なので漢字で無花果です。ハチの一種が実の中に入り、受粉する独特の受粉方式を取っています。
ガジュマルは無花果(イチジク)の仲間で、似たような実を付けます。
私たちが実といっているものは正確には「花のう」と呼びます。中には赤いツブツブがありますが、アレの一個一個が花なのです。
このイチジクの受粉にはイチジクコバチという蜂が一役買っています。イチジクとイチジクコバチはもう一億年という長い時間、互いに手を取り合って進化してきた「共進化」というシステムの代表選手です。
無花果(イチジク)は樹高2メートルから3メートル。鉢植えにすると1メートル程度に抑えられます。
アダムとイブがアソコを隠したのはイチジクの葉っぱ。
スポンサーリンク
関連記事
クワ科