ローズマリーの育て方
学名などの基礎データ
最終更新- 植物名
- ローズマリー
- 科名
- シソ科
- 属名
- アキギリ属
- 学名
- Salvia rosmarinus
- 水やり
- 水控え目
- 場所
- 外の日なた
- 難易度
- 中級者向け
スポンサーリンク
ローズマリーとは?
ローズマリーは
シソ科アキギリ属(
サルビア属)の
ハーブ。以前の
学名は「Rosmarinus officinalis」で、アキギリ属に移動して現在の学名は「Salvia rosmarinus」に。環境が合えば
夏越し・越冬も可能で比較的育てやすい
低木のハーブ。手間が掛らないのですが、夏の過湿で枯れたり、冬の霜に何度か当たって枯れたりすることもありますので気をつけましょう。
株が小さいときは生育が遅い。根がしっかりと張って充実してくると、グっと生育が早くなり、困るくらいに成長するので地植えにするかどうかはよく考えましょう。生育が早くなってからは
剪定してもなんともないですが、それ以前の剪定は控えた方がいいです。
消臭効果・抗菌効果・抗酸化作用があり、肉の鮮度を保つ効果があることから、古くから肉料理で使われるスパイス・ハーブとして有名。
スカボローフェアなどローズマリーにちなんだ音楽作品があったり「ローズマリー」は女性名として英語では一般的なことから分かるように欧米圏では日常的な植物。
●ローズマリーという名前のマンガ・アニメキャラクターも多い。
●ドイツ語が「ロズマリン」
●愛や貞節の象徴とされます。
スポンサーリンク
品種
以下にローズマリーの品種を挙げておきます。以下のものはほんの一部です。意外と品種が多く、また、入れ替わりも多いです。オーソドックスなマリンブルーは昔に比べるとあまり見かけなくなりました。
細かく言えば、生育速度が違うのですが、基本的にみな生育はよいです。大きな違いは、立ち上がる立性か、匍匐する這性か?です(中間の半匍匐もある)。
ミスジェサップ、セヴァンシー、ダンシングウォーター、モーツァルトブルー、コルシカン、マジョルカピンクなどもあります。
ローズマリーの中でも香りが強く、立ち上がって生育する品種。香水のブランドと名前が同じなのでややこしい。見た目は他のローズマリーと同じだけど、香りが少し強く、爽やかに思う。
栽培についてはローズマリーと同じなので、このページを参考にしてください。
サンタバー
バラは這うタイプで草丈20cmの
矮性ローズマリー。淡い色合いの花を咲かせます。薄紫というよりピンクにも見える。もちろん葉を調理に使うこともできます。この大きさでまとまるのは魅力的です。
イギリスで昔から栽培されてきた品種で、アップライトとも呼ばれる。葉っぱが少し細く、枝は立ち上がり、淡い色の花を咲かせます。
イギリスで長く愛されてきたということは、肉料理などによく使われてきたわけですから、調理用として栽培するときに候補によく挙げられる品種です。
基本的に日当たりのよい、風通しの良い場所で育てる。多少の
半日陰くらいでは枯れません(徒長してしまうけど)。
地中海沿岸原産で乾燥を好む。乾燥に強い反面、過湿に弱く、蒸れると腐ってきます。雨ざらしになっているから即アウトというわけじゃないんですが、雨ざらしになっていて、なおかつ風通しが悪いと、腐ってきます。できれば軒下など雨が当たらない場所で管理する方がいいです。
●湿気た場所を嫌うので、ジメジメした場所には植えないで下さい。
●夏の高温多湿と冬の霜のことを考慮して、最初から軒下の半日陰で育ててもOK。
●日当たりが悪い、
水はけが悪いと立性のローズマリーなのに匍匐してしまうことがある。
●真夏は高温障害で葉っぱが丸まる。涼しいところに移動するか、黙って見ておく。水切れかな?と思って
水やりをしてしまうと高温多湿で腐って枯れることもある。
●室外機の近くでも根付いてしまえば枯れない。もちろん密接してはいけないが40cmほど離せば大丈夫。
西日も根付いて仕舞えば大丈夫。
●鉢を床に直置きするのではなく、割り箸を二本敷いて、隙間をあけたり、スタンドにおいて鉢の下に風を通すだけで、調子が良くなります。
霜に当たると枯れこんできます。霜に当たると一発で枯れる訳ではないのですが、何度か当たると完全に枯れることがあるので霜は避けます。また強い霜…マイナス5度以下の…に当たるとほぼ枯れます。
霜が降りる地域で育てる場合は、鉢植えにして移動できるようにするか、軒下など霜が当たらない場所に植えるか、冬には霜避けをします。地域によっては霜にあたって落葉しても春には芽吹きます。
北関東・東北以北の寒冷地では冬は室内で管理します。
●株が小さいうちは寒さに弱い。大きく育ってくると寒さにかなり強くなる。株が小さいうちは冬は室内で管理するといいです。
●管理人は広島在住ですが、広島の平野部であれば戸外で問題なく越冬します。山間部に行くほど厳しくなります。
●寒さに当たると紫〜赤黒くなる。
紅葉なので枯れているわけじゃない。びっくりしないように。
乾燥を好みますので、水をやり過ぎると、湿気て蒸れて傷んでしまうことがあります。土が乾いたら水をたっぷりとやりますが、土が濡れている間は水をやらないでください。水をやりすぎると
根腐れをします。
冬は土の表面が乾いていても、鉢の中の土に水がたっぷり残っていることがありますので、よくわからない場合は鉢を持ち上げて重さで確認したり、割り箸を突っ込んで濡れているか確かめます。何度も水やりをしているうちに感覚は掴めるようになります。
乾燥して水が不足してくると、葉っぱにシワが入って細くなる。
葉っぱが細くなったら水をやる、でもいいです。そのくらい控えめでいいです。乾燥を好みますが
サボテンのように水分を溜め込んで砂漠で生きているわけじゃないので、断水すれば普通に乾燥で枯れます。
●
葉水はやらない。蒸れて腐りやすい。
●夏に水をやるときに葉っぱに水をかけ無いようにする。水の雫がレンズになって虫眼鏡で葉っぱを焼いてしまい、黒い斑点が出る。それで枯れるわけじゃないので、気にしないでもいいけど、「葉っぱに水がかからないようにする」…は、ちょっとしたコツです。
●雨もできれば当たらないほうがいいが、風通しがいいなら問題ない。
●葉っぱが全体的に茶色くなったら根腐れ。
●葉の虫や
病気、汚れを洗い流すために、乾燥している時期にたまーに葉っぱに水をかけて、洗い流すと良いです。
ローズマリーはやせ地を好みますので基本的に
肥料はなくてもいいくらい。生育する春と秋に薄い液体肥料を10日に1回ほど与えます。もしくは春(4月〜5月)と秋(9月〜10月)に、一ヶ月に一回緩効性化成肥料を少量やる。与えなかったからといって枯れることはありませんが、生育時期にあげるとスクスクと生育します。冬は寒さで、夏は暑さで生育が止まりますので肥料はやらないでください。
●肥料が多いと葉っぱは茂って大きくなるが花が咲かない。それ以上肥料が多いと根が傷んで生育不良に。自信がないなら薄い液体肥料をやって様子を見る。もしくは肥料をやらない。
●ローズマリーはそもそも他の植物に比べると「生育が遅い植物」で、小さい株のうちは生育がさらに遅く、植え付け・植え替え直後は生育がほとんどないです。生育が遅くて不安だからって肥料をやっていると枯れてしまいます。
●化成肥料にちょっと弱い。
地植えの植え付け、鉢植えの植え替えは春(3月〜5月)か秋(9月〜10月)に行います。ローズマリーは
酸性土壌を嫌い、水はけのよい痩せた土を好むので、ハーブ用の土で植え付けるといいです。鉢植えは基本的に土を落とさずに一回り大きな鉢に植え替えますが、適した時期であれば多少土を落としてもそれで枯れるということはありません。
詳細は以下のリンクを参考にしてください。
ローズマリーは
挿木、水挿しか、取り木で増やします。詳細は以下のリンクを参考に。
剪定の適切な時期は6月と9月〜10月です。剪定(
摘芯)すると、切り口のすぐ下から枝分かれする性質があります。よって、適当に先を剪定していると、茂り放題になります。「大きく育ったから小さくしたい」場合の剪定は、枝分かれしているところまで、戻って剪定します。
さらに詳細は以下のページを参考にしてください。
剪定時期以外も適宜、必要な分だけ切って収穫します。ローズマリーは大量に消費することはないと思う。枝を数本切って、洗って30分煮て、その枝をお風呂に入れるとローズマリーバスになる。香りも良く、成分で血行がよくなり、頭がスッキリします。ただ、お風呂にローズマリーの色がうっすら移る。
どれにしても大量消費は難しい。剪定して発生したローズマリーの枝は必要なだけ取って素直に廃棄するといいです。
●
ジャガイモに
オリーブオイルをかけてローズマリーをちょっとかけて焼くとおいしい。
●ポテトフランス、フォカッチャなどに使う。
●フライドポテトで一緒にあげて香りをつける。
●肉料理の匂い消しによく使われるが、日本人の好みではないと個人的には思う。
ローズマリー以外のハーブについては以下のリンクを参考に。
ハンガリー王妃のエリザベト1世は痛風かリウマチかの病気に悩んでいました。そこにイタリア修道会からローズマリーのアルコール漬けが献上され、これを飲んだり、肌に塗っていたところ完治し、若返ったとされています。そして若返ったエリザベト1世は20歳のポーランド王子に求婚されたというのです。それからこのローズマリーの化粧水をハンガリーウォーターと呼ぶようになりました。
どこまで史実かはわかりませんが…確かにローズマリーには美肌成分があるので、化粧水も作れます。ローズマリーの枝を数本取って、30分煮て、その枝とお湯を覚ましてから、水1Lにグリセリン5%を加えて、瓶に入れて暗室で保管するだけ。もちろん合う人と合わない人もいるので、合わないようならすぐに使用をやめましょう。
トラブル
ローズマリーの開花のタイミングはよく分かりません。ただ、一旦開花すると長期間開花しますので、近所で咲いていて自宅で咲いていないとヤキモキしますよね。でも、開花の原因はハッキリしません。開花の時期は品種による!とも言われるんですが実際は同じ品種でも同じ時に開花するわけじゃありません。いろんな要素が絡んでいるようです。ただ、そもそもが痩せ地を好む植物であり、植物というものがそもそも「危機感を感じて開花する」ことが多いので、
●
根詰まりすると開花しやすい。植え替えすると開花しづらくなる。
●環境が厳しい、老化している株ほどよく咲く。
●肥料が多く、良い環境だと葉っぱがよく生えて、瑞々しくても花が咲か無い。
●料理にたくさん伐採して使ったら花が咲いたという話も。
●株が幼いと開花しづらい。
と言われます。
対応策としては、
「植え替えは控え、肥料は控え、大きくなるまで待つ」です。つまり何もしないことです。ローズマリー栽培は「放置」がコツと言う人は多いです。時々、剪定して危機感を与えると開花の確率があがる?ってとこでしょうか。
●株が幼いと開花しづらいと書きましたが、一年目から開花することもあるし、そこそこ大株になるまで開花しないこともある。本当によくわからないです。あくまで「傾向」であって絶対ではないです。
ローズマリーは
ストレスがかかると香りが強くなり、それで虫がつかないようで、基本的に
害虫は少ない。おそらく他の近くに生えてる「もっと美味しい草」に行ってるんじゃないかと思います。食用として栽培している場合は、発生してもできるだけ対処して、手作業で薬剤を使わないようにしましょう。
メイガ
メイガという蛾の幼虫が発生して葉っぱを食べる。見つけ次第
テデトールして、踏み潰す。たくさん発生したら、人間に影響のないBT剤で駆除する。BT剤は蝶・蛾には効きますが他の昆虫には効きませんし、人にも影響がありません。
ウドンコ病
葉っぱに白い粉が吹く。原因はカビで、ひどいと真っ白くなって光合成を阻害して弱らせる。発症部分を取り除き、廃棄する。そこらへんに捨てないようにします。ウドンコ病は株が健康だと発症してもいつのまにか治りますので、一番大事なのは株を健康に保つことです(日光・水・風通しなどを見直しましょう)。風通しをよくするために剪定して幹内部まで風を通すといいです。どうにもひどい場合は殺菌剤のカリグリーンを散布する。
メジロ・ヒヨドリ
メジロ・ヒヨドリが花を食べる。ヒヨドリはなんでも食べるけど。どうやら他の鳥も食べているんじゃないかと思う。どうしようもないです。
コガネムシ
コガネムシの幼虫が根を食べます。発生すると弱ってきます。他の植物に比べると発生しない。水をやっても水切れ症状が出て弱ってきます。発生したら薬剤を散布して駆除する。植え替えの際の取り除くなどします。
ハダニ
葉っぱの汁を吸う小さな虫で、乾燥に弱いので、葉っぱに水をかけると予防できる。枯れるほどの被害になることはあまりない。
スリップス(アザミウマ)
葉っぱの汁を吸う甲虫。見つけ次第、捕殺するか薬剤を散布して駆除します。
カイガラムシ
動かない虫で、その場で汁を吸っている。歯ブラシなどでこそぎ落とすと、動けないのでそのまま死にます。大量に発生したら薬剤で駆除します。
スポンサーリンク
関連記事
シソ科