サツマイモ栽培の詳細解説版の記事です

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サツマイモ詳細版の基礎データ

サツマイモ詳細版
科名
ヒルガオ科
属名
サツマイモ属
学名
Ipomea batatas
水やり
水控え目
場所
外の日なた
難易度
中級者向け
サツマイモ詳細版の開花時期…植え付け・植え替え時期…肥料時期…月別スケジュールです。

サツマイモとは?

サツマイモヒルガオ科サツマイモ属の一年草扱い植物。本来は多年草で、冬も10度以上に加温すれば年中生育させ、収穫ができなくもない。でも普通はしない。

チッソを固定する細菌を持っていて、土の中にチッソを取り入れて生育できる(レンゲ並みの窒素固定力)。といっても毎年植えていれば肥料は不足する。実際にはチッソだけでは十分収穫に足るほど育たないので追肥は必要です。現在一般的に流通している品種は病害虫に強い品種が出回っているため気にする必要はないが、ネコブセンチュウだけは注意。
管理場所日当たりが悪いと味が落ち、収穫量がガタっと減ります。必ず日当たりで栽培します。

場所がないのであれば、日当たりを考慮したうえで斜めに支柱さして、ネットを張って、つるをグリーンカーテンのように仕立てて日光に当てましょう。ただし、さつまいものつるはネットに絡まないので、随時自分でつるをネットに絡ませていく手間が必要です。
肥料肥料が多いとツルだけが伸びる。肥料は控えめにするか、基本的には無肥料。

元肥として植え付け時に肥料をやる、とする人もいます。これは最初の成長にはある程度の肥料があった方がいいためです。一方で、不要だとする人もいます。前の作物の肥料があるから、さし当たってやらない方がいいとも。ケースバイケースで判断します。市販の培養土には肥料が入っているのでこれで十分です。

サツマイモはチッソを取り込む力があるので、チッソが多い肥料をやるとツルボケといって、葉っぱばかりが育って芋が出来ないことがあります。前の作物の肥料が残っているとツルボケしてしまう。できれば、土壌成分計でどのくらい肥料が残っているかチェックしておくといいです。

肥料はサツマイモ専用肥料や「いも、まめ専用肥料」といった芋用に配合されたものを使うといいです。
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栽培スケジュール霜が降りなくなってから苗を植え(5月上旬~6月下旬)、植え付けは最高気温が20度以上になってからが好ましい。

生育する適温は25度から30度。霜が降りる前に収穫します(8月~11月上旬)。サツマイモは南国の植物で、芋を貯蔵するときも冷蔵庫では冷温障害が出ます(13度が限界。糖度が上がれば8度まで可能。どっちにせよ、冷蔵庫では腐る)。

作業

挿し苗を買う(4月〜6月)春にサツマイモの苗がHCなどで販売される。苗というよりはただの「茎」。これを土に挿していると根付きます。もしくはちゃんと発根したものを買って植え付けをします。苗の販売は4月でもしているが、寒さに弱いので植え付けは5月から6月。

苗は自作することも可能です。詳細は以下のページを参考に。
土づくり(4月〜6月)弱酸性の土を好む。畑植えの場合は、硬い土だと芋ができにくいので深さ25cmを掘り返し、1㎡あたり3Lの堆肥腐葉土を入れて、元肥として窒素1:リン10:カリ10くらいの窒素の少ない肥料を1株につき50gを撒いて混ぜて土を作る。

プランター栽培なら、市販の培養土か、さつまいもの培養土というのもある。自作する場合は赤玉土か黒土7堆肥か腐葉土3を混ぜたものに化成肥料を少々混ぜる。
●さつまいもは痩せ地でも育つ、といっても堆肥(か腐葉土)を毎年足してあげないと地力が落ちて年々収穫量が落ちます。
●土が硬いとゴボウのようは細いイモになる。
●意外とカリウム要求量が多い。
●土の通気が悪い・窒素が多い・過湿になると芋が全くできないこともある。
●前の年にラッカセイを作っているとネコブセンチュウ・苗立ち枯れ病が発生しにくい。
畝を作る(4月〜6月)
サツマイモ詳細版:畝を作る(4月〜6月)
畝間60cm、高さ25cm〜30cmの畝を作ります。畝を高くつくることで「水はけ」をよくします。サツマイモは乾燥気味を好むので畝は高いほうが良いです。株間30~40cm。畝に沿って(=通路に沿って)挿すと、ツタが伸びた時に隣のサツマイモのツタと絡まってツタを巻く時、面倒になるので畝に直角に(=通路に向けて)挿すって人もいる。

マルチングをすると雑草避けにもなるし、土中の気温が高くなり南国育ちのサツマイモの生育を促します。熱帯系の植物で地温が低いと生育しないので黒マルチをするといい。マルチをすると収穫が2週間〜3週間早まるくらいに効果があります。
挿し苗を植える(5月〜6月)挿し苗を畝に植える。肥大根(イモになる根)になりやすいのは展開葉(一番先の葉)から3〜5節で、これ以下の節は吸収根(イモにならない水を吸い上げる根)になりやすく、葉も枯れやすい。この3〜5節を土中に植えるようにするとよい。植える方法は
などがあるので、そちらのページを参考にしてください。

シナシナだった葉っぱがそのまま枯れがち。枯れた葉のツルから出た根は3〜5節であっても吸収苗になりがちで、芋にならないので、前もって水につけて根を出させておくと収穫が安定します。
●葉を枯らさずに活着させるには、ツルを植え付けるときに土が泥状になるまでしっかりと水をあげるといい。普通の土に挿したらシオシオになるがそれで枯れるってわけではないが、収量は減る。
●ツルが根づけば新芽が出てくるが、元の葉っぱは乾燥すれば枯れがち。枯れても根付いてさえいれば葉が出てくるから気にしない。もちろん枯れない方がよく収穫できる。
●節の詰まったツルを植えるといい。
●ツルは20cm前後が適している。
●5月6月に植えたツルの地上部が枯れ込んでも復活する可能性はあるが、復活しても収量は十分ではないので、新しいツルを植えた方がいい。
●6月下旬に植えると収穫は11月、7月以降でも植え付けられないわけじゃないが、植えても乾燥してツルから発根&発芽する前に、ひからびて枯れやすい。もちろんワラや新聞紙でマルチングをすれば活着して収穫もできる。でも、あくまで5月が適した時期。
●ポット苗は根を半分切って植える。色の違う赤い根は取り除く。赤い根は取り除かないと芋ができない。
●種芋をぶっこむ「トンボ植え」ってのもある。トンボ植えは害獣に食べられる。
水やり(植え付け後)植え付けしてしばらくの時期(2週間から3週間)、乾燥気味だと芋が丸くなり、小さくなる。これは根を伸ばす時期(植え付け後2週間から3週間)に水が少なく、根が伸びないためで、最初期はしっかりと水をやって根を伸ばさせる。

十分に根が伸びた後は乾燥気味の方がよい。畑の場合は様子を見つつ、水やりをする。鉢植えの場合は、土が乾いたら水をやる。
●25度以上にならないとほぼ生育しないので、それまでは生育が鈍い。
●植え付けして30日しても芽が動かないのは苗立ち枯れ病かも。抜いてみて様子を見て、新しいツルを植え直す。
追肥(植え付け3週間後)植え付けをしてから三週間立って、つるが延びてきたら、1回、追肥をします。窒素はサツマイモ自身が空気中から取り入れるので、カリとリンが多いサツマイモ専用肥料を説明書きの規定量をやります。肥料過多でツルボケ気味だと芋が筋張って美味しくないので控えめに。

追肥をしたあと、溝の土を畝に乗っけます(土よせ)。これで畝は更に高くなり、水はけがよくなり、深くなった分だけ土に空気が入りやすくなり、サツマイモが大きくなりやすくなります。また畝に生えかけた雑草を土で覆い隠して雑草避けにもなります。土よせは収穫まで何度か行います。
ツル増し(6月)5月に植えたものの苗がツルが伸びる。すると6月頃には、挿し苗にできるほどになるので、挿し苗が枯れて畑に穴ができたら、ここからツルを切って挿して株にする。もしくは新たに挿し苗(ツル)を買ってきて同様に植えます。
つる返し(6月〜10月)
サツマイモ詳細版:つる返し(6月〜10月)
サツマイモはつるを伸ばし、つるが土に触れるとそこから根が出て、サツマイモが出来ます。これを放置しておくと畝に意味がなくなりますし、一株に出来るサツマイモの数は増えますが、1個あたりが小さくなります。

そこで伸びたツルを元の畝の上に返します。これを「つる返し」と言います。これをするとスカートを捲り上げたようなミットモナイ感じになりますが、正解です。

つる返しが難しいほど生育したのなら切ります。切ったサツマイモの茎は食べられます。そんなに美味しくはないですが。
つる返しはツルボケ(=肥料過多)にも効果があります。つるボケしていたら、二回ぐらいやっておくと何とか収穫できるかも?
肥料を切る(植え付け後2ヶ月か2ヶ月半後)植え付けてから4ヶ月から5ヶ月で収穫する。この収穫までの後半以降…植え付けして2ヶ月から2ヶ月半位以後…は肥料(=窒素)を切らせることで芋が肥大する。窒素は葉っぱが茂る要素で、肥料を切って新しい葉っぱが1週間に1枚程度しか出ないくらいに、抑える。肥料耐性のある品種は多少窒素があっても大丈夫だが、基本的に肥料を減らすことで収量が増えます。
肥料を切らないと芋が大きくならない。昨年の作物のときに肥料が残っていると、サツマイモを栽培すると肥料が切れずに芋がならない。
収穫(8月〜11月)品種によっては8月下旬から収穫できますが、普通は10月前後。霜が降りると枯れますから、それまでに行います。ツルを切って取り除き、マルチを外し、掘り出して収穫します。品種によりますが1株から500g〜1kgほど収穫できる。

収穫して3週間〜1ヶ月は熟成させないと、デンプンが糖にならず甘くない。二ヶ月熟成させると尚良い。熟成していないとほんのり甘い程度。洗わないで天日干しするがよいとされるが、軽く洗って土を落として、ちゃんと乾かしてしまってから冷暗所で保存でもいい。
●収穫を遅らせ、完熟させるとデンプンが増える。ベニアズマなどのもともとデンプンの多い品種では必ずしも美味しくならず、高系14号は長く畑に埋めていると木質化して硬くなる。
●余ったツル・葉の処理は草刈り・草取り・落葉清掃で出たゴミの処理を参考に。サツマイモのツルはなかなか腐らず、分解されにくい。燃やすのが早い。
●イモだけじゃなく、地上部も食べられる。食べるのはツルじゃなくて葉柄。皮を剥いて似てもそれだけでは繊維質が残って食べにくいので、重曹を入れた湯で1分30秒ほど下茹でするといい。荷過ぎると溶けるので注意。茹でたら冷水にさらして冷やし、水を切る。それから料理。
病害虫アブラムシ・ハスモンヨトウ・コガネムシの幼虫・ネキリムシハダニ・黒斑病・つる割病・コナジラミカタツムリウィルス病など。

ウィルス病
モザイク状の模様が葉っぱに出て、徐々に弱っていく。サツマイモの場合は枯死に到る前に収穫が来るので収穫自体はできるので致命的ではないが、収穫量は明らかに少なくなるし、収穫した芋も感染しているため、その芋を種芋にすれば、出たツルも感染している。治療方法はなく、また、他の株にもガンガン感染するので発見次第、廃棄した方がよい。ウィルスフリー苗を使うことで予防できるが、アブラムシなどによっても感染するので、完全な予防はできない。

害獣
タヌキも食べる。イノシシが掘り返して食べる。田舎ではしょうがない。電気の流れる柵を設置しても、イノシシには効果がないことが多い。イノシシ避けのライトや、忌避成分の入ったシートなどがあるので、これを利用しましょう。
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ツル割れ病・立ち枯れ病
苗立ち枯れ病になると根が黒くなって腐る。植え付けて1ヶ月経っても成長しないなら苗を抜いてみる。これらの病気は菌が繁殖して発生するので、苗を消毒(ベンレートやトップジンMなど)してから植えるといいです。
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コガネムシ
コガネムシの幼虫が根を食べ、生育不良を起こします。ビニールマルチをするとほぼ発生はしない。コガネムシにはダイアジノン粒剤かゾルを。ゾルの方が長く効く。被害がみられないなら使わなくてもいいが。

センチュウ
芋を食害する小さな虫で、サツマイモが変形してしまいます。サツマイモを植える前の時期にソルガムマリーゴールド・ラッカセイなどのセンチュウが嫌がる植物を植えると予防になります。また、センチュウに抵抗性がある品種を植えるのがいいです。

アブラムシ
アブラムシが発生すると、新芽の汁を吸って葉っぱが縮む。発生したら、薬剤で駆除するか、水で吹き飛ばします。

アリモドキゾウムシ
外来種でサツマイモなどに寄生して被害が広がっていく。食害がひどく、食べられなくなる。2022年に静岡で発見されている。今のところ、拡大は見られていないが、知識として知っておいた方がいいです。

基腐病(モトグサレビョウ)
ヒルガオ科の中で発生する病気で、かなり簡単に感染し、爆発的に広がっていく。とにかく感染した芋を放置せず、栽培もしない。感染地域から芋や苗を取り入れることはしないようにする。日本でも発生していて、地域は広がりつつある。
特徴・由来・伝承アサガオやヒルガオの仲間っちゃ仲間。似たような花が咲きます(暖地じゃないと見れない)。サツマイモの食べる部分は「塊根」でつまり「根」。ジャガイモの食べる部分は「塊茎」でつまり「茎」。米より単位面先あたりの収穫量が多く、栄養価も高い。保存は米の方が長く持つが、それでもサツマイモも管理さえうまくすれば1年持つ。

ちなみにジャガイモはジャガイモに日が当たるとソラニンという毒が出来るが、サツマイモにはない。

たまに地方品種が出回っているのを見かけることがあるけど、品種によっては病害虫に弱いものがあるので、地元で育てている人から良く話を聞いておかないと全く取れなかった、なんてこともあるかも。
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