ピーマン栽培の詳細解説版…うまくいかない人のための記事

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ピーマン詳細版の基礎データ

ピーマン詳細版
科名
ナス科
学名
Capsicum annuum
耐寒
5度
水やり
水を好む
場所
外の日なた
難易度
中級者向け
ピーマン詳細版の開花時期…種まき時期…植え付け・植え替え時期…肥料時期…月別スケジュールです。

ピーマンとは?

ピーマンナス科一年草扱いの野菜。ピーマンは手間がかからず、大量に収穫できる優秀な家庭菜園向き野菜ですが、簡単に収穫できすぎて買った方が安い。ちなみにシシトウはさらに手間がかからない。

生育温度は20度〜30度。発芽温度は25度以上。植え付けは霜が降りなくなる5月6月あたり。植えつけて一週間で背が高くなり始めますので、支柱を立ててそれにヒモで軽く結び付けます。緑のピーマンだと開花してから一月、パプリカは肉厚なので収穫まで二ヶ月掛かります。初心者はピーマンから。ピーマンが出来たらパプリカを。

日本では冬までには枯れる一年草扱いだが、本来は多年草で越冬させて来年も収穫できるが苗が安いので一般的にはしない。
管理場所・日当たり日当たりのいい場所で管理します。日当たりが悪いと花が落ちます。しかし、夏は強い日光に水切れしたり調子を崩すので、日当たりがよいも一長一短。花が落ちない程度なら、半日陰でも栽培は可能。

ベランダでも建物の南側なら問題なく栽培できます。西日しか当たらないなら、ちょっと厳しいですね。西日は植物の光合成が鈍くなる夕方にあたるため、あまり意味がないからです。
連作障害ナス科の植物と連作障害を起こすので、過去二年ほどナス科植物を植えた土(場所)には植えないようにする。鉢植えなら、新しい土で植える。

植えても全然育たない…というほどではなく、よくわからないけど調子が悪いという感じ。だから土に有機物を入れて、米糠や菌を入れて作っていれば問題ないし、間にキュウリなど別の野菜を育てれば、さほど問題は起きないレベル。
水やりピーマンは水を非常に好みます。水が切れるとせっかく咲いた花が落ちやすい。土の表面が乾いていたら水をしっかりとやりましょう。春は天気ならば水やり、夏は天気なら朝と夕方の2回、しっかりと水をやります。葉っぱの裏を観察して、病気が見て取れたら、虫駆除のスプレーなどで駆除しましょう。

真夏の昼間に水をやると、水が沸騰して根を傷めるとされるんですが、それ以上に水を欲しがるので、どうにも水切れを起こして、実が変形するようなら昼間でもいいから水をやりましょう。

とにかく水。水が切れると収穫が止まる。
肥料ピーマンは肥料を欲しがるが、過多もだめです。肥料を入れすぎると、後から調整は無理なので、最初の元肥を控えめにして、追肥で調節した方が無難。植え付けの時に元肥を規定量をやり、実が出来たら継続して追肥をします。追肥は2週間か3週間に一回、やります。様子を見つつ、調節しましょう。「野菜の肥料」がホームセンターに売ってます。

リン酸肥料が少ない、もしくは窒素過多で花・実が少なくなり、収穫が少ないです。株に二つ程度しか成らないなら過リン酸石灰か熔成リン肥を追加する。花が咲くのに結実しないで花が落ちるのも肥料不足・窒素過多を疑いましょう。

なんだか調子が悪いからと、肥料を追加していると、肥料過多になって悪化する。あまりに肥料過多になると葉っぱがカールして縁が黄色く変色しがち。また肥料過多だとカメムシの被害が増える。

土に根が張って土がガチガチになっていたら、棒を突っ込んで穴をつくって、底に肥料を入れる。プランターや鉢への肥料は液体肥料で十分です。
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ツルボケ・木ボケ肥料が多いとツルボケ・木ボケになります。ツルボケは葉っぱや枝に栄養が行き過ぎて、結実が少なくなることです。元肥(植え付け時に土に混ぜる肥料)を控えることで予防が出来ます。

2月〜5月の作業

種まき・育苗3月あたりに種子をまいて苗を作り、5月に植え付けますが、発芽温度が25度〜30度と高いため、なかなか一般家庭ではできない(しない)。それに苗2個か3個で一家庭に十分な収穫があるので種子から育てるのはプロ農家か、かなりのマニアック。

スーパーで売ってるパプリカから種子を採って撒くと発芽させることが出来ます。ピーマンは未熟なので不可。

4月〜5月の作業

苗を買う!ホームセンターなどに4月から苗が出回るのでこれを購入する。収穫量は1家族で1株で十分だけど、うまく収穫できなかった場合(病気・害虫・天候不良・原因不明のため)に収穫0になるので2株植える方がいい。実際に植え付けるのは霜が降りなくなってから。植えるのは地域にもよるが4月の下旬から5月以降。それまでは半日陰か日陰で管理する。寒さに当たるようなら防寒する。

ピーマンの苗は基本的に収量が多く、品種による違いもあるが、どちらかというと栽培の環境の影響の方が強いので、品種の選抜はそこまで重要視しないでいいです。

お客さんがホームセンターの苗を戻す時に、間違ったところに戻してることがあって、育ててみると思ったのと違う実がなることがある。ある程度は、しょうがないと考えましょう。

接木苗が病気に強いので、ホームセンターで売ってるのは大抵は接木。この台木の方が強いので、こちらがニョキニョキ伸びて、本来の品種を追い越すことがあるので、出てきたら切ってしまいましょう。

5月〜6月の作業

畑への植え付け植え付け時期
熱帯地域の植物なので昼間の最高気温が大体18度以上になったら植え付けします。5月6月に植え付けます。6月7月には収穫は可能ですが、生育が加速して収穫が爆発するのは梅雨以降。

土づくり
地植え(畑)する場合は、土を深さ20cm掘り返し、その土に石灰を混ぜて中和させておきます。中和には1週間〜10日かかります。中和が終わったら、土に腐葉土堆肥を3割ほど混ぜて、化成肥料を1平方米あたり150gほどやり、過リン酸石灰か熔成リン肥を30gほど混ぜ、よく耕して用土とします。

畝作り
畝は10cmの高さ、畝の幅は60cm〜80cm、株同士は60cmほど空けて植えます。ピーマンは根が浅いので、植え付けるときは深植えしないようにする。できればビニールマルチか藁をしきます。ピーマンは地温が低いと生育しないので5月はビニールマルチがあるとよい。

より詳細は以下のリンクを参考に。
鉢植えの植え付け直径30cmの鉢に1苗を植えます。2つも3つも植えないでください。鉢底の穴を網で塞いで、その上に軽石を3cmほど入れ、その上に用土を入れる。そして苗を入れて、隙間に用土を入れて、最後に水をやってください。

より詳細は以下のページを参考にしてください。
支柱を立てる
ピーマン詳細版:支柱を立てる
支柱が無いと強風で倒れてしまいます。必ず支柱をしましょう。支柱に麻紐でゆったりと結びつけます。支柱は一本でもいいし、三本を交差させてもでもいいです。ピーマンは折れやすいので、支柱は必須。ピーマンは収穫の時に手で引っ張るだけで枝が折れるくらいです。
一番花と摘花・摘果成長して本葉が13枚〜14枚になると、葉っぱの根本から茎が伸びて、画像のような一番花が咲きます。この一番花は基本的に摘花(=花を取り除くこと)します。この一番花が結実した場合は、一番果と呼びますが、なってからでもいいので摘果(=果を取り除くこと)します。
ピーマンの芽かき一番花より下から出ている、脇芽は取ってしまいます。一番花のあたりから出る脇芽は2本か3本伸ばし、三本仕立て、四本仕立てにしていきます。これが一般的な…というかよく本に書かれているピーマン栽培。

でも、一番花より下の脇芽を摘んで以降は、脇芽は摘まなくてもいいです。あとは伸ばしっぱなし。そこまで手をかけなくても一般家庭でも大量に収穫はできます。もしも脇芽をまったく取らない場合は、草丈は低くなりコンモリとなります。採取しやすいのはやっぱり3本仕立てです。
仕立て・剪定についての詳細は
を参考に。
最初の追肥植え付けして2週間か3週間ほどたち、一番花が咲いて、脇芽が伸びてきたら、最初の肥料を追加します。肥料が少ないと生育が悪くなり、開花・結実が鈍くなりますので、かならず追加します。

最初の追肥の時点では、まだ根が広がっていないので、株から15cmから20cmほど離したところに化成肥料をパラパラと適当にやります。マルチをしている場合は、マルチをめくって化成肥料をやり、土と混ぜて、マルチを元に戻します。

6月〜10月の作業

追肥最初の追肥から3週間おきで化成肥料か、週に一回液体肥料をやります。この肥料は不足した肥料を追加するもので、「この量」というものはないです。肥料が不足すると雌シベが立ってないので、様子を見て調節しましょう。葉っぱが黄色い場合はマグネシウム不足の可能性があるので苦土石灰もまきましょう。
夏の水やり
ピーマン詳細版:夏の水やり
ピーマンは水切れすると花が落ち、生育不良を起こしたり、実のお尻が尖ってしまいます。7月から9月は乾燥して水切れするので、朝と夕方の2回、水やりをします。それだけでは足りない場合は、昼にも水をやります。

鉢植えの場合はさらに水切れしやすいので注意。鉢の横に日光が当たっていると、土の温度があがり、マズイので日光が当たらないように鉢に日除けをするか、鉢に日が当たらない場所に移動させます。
剪定で調整するピーマンは樹勢がよくて、茂ると葉茎が根の量にそぐわず、水が不足してくる。水が不足すると実のおしりが尖ってくるし、調子を崩し、収穫が減ってしまう。水やりを増やすことで対応できるならいいのですが、枝を剪定して減らして調節するといいです。
収穫本格的な収穫は梅雨明け以降になります。ピーマンは人工授粉などしなくても受粉して結実する。ヘタの上で切って、収穫する。必ずハサミを使って切ること。引っ張ってちぎると枝が折れる。

実の表面に穴が空いているならタバコガがいる。中を空けて虫がいるならフミツブースして薬剤を散布して駆除しましょう。

実が大きくならないならば、たくさん実をつけすぎて株が弱っています。とりあえず、未熟な実も全部取って、株が回復するのを待てば、収穫が戻ります。また、色が変わるくらいに成熟させると株がダメージを負ってしまうので、赤くなる前に収穫します。

種子を取って冷凍にすると、長期間保存効きます。

霜が降りるまでは収穫が可能なんですが、その直前で生育が鈍くなります。その次に植える野菜が決まっているなら、早めに切り替えてもいい。おそらく、その頃にはピーマンに飽きているので。
収穫に関する注意事項
●生育温度は25度くらいで、真夏は意外と生育せず収穫がないこともある。涼しくなった9月以降に盛り返したり、秋になって初収穫!なんてこともあります。
●緑のピーマンも放置していると赤くなっていく。赤くなると実が固くなるが、少し甘い。美味しいかどうかは人による。緑から赤くなる途中になんだか黒っぽい色になるので、その前に収穫しましょう。
●緑ピーマンは葉っぱと同じ色なため、葉っぱに隠れていると見逃し、赤くなってから発見されることがある。しっかりと観察して実を見逃さないようにしておきましょう。
●結実から熟すまで1ヶ月ほどかかる。パプリカなど黄色いピーマンを植えると、黄色くなるまでさらに時間(開花から2ヶ月)がかかるが、黄色くなる頃には鳥や虫(オオタバコガなど)に食べられがち。パプリカは色づいたら収穫。色づくと腐るのが早い。
●思ったような実がならないことがある。長くなる品種なのに短かったり。肥料を変えたり、剪定しても、何をしても変化がない。どうも、ホームセンターでお客さんが手に取った後に、別品種のところに苗を戻したのではないかと思われる。それをあなたが買ってしまったと。ポットの色が全部黒いホームセンターはちょっと気をつけないといけない…気をつけようがないか。そういうこともあります。
●予想以上に収穫できて、食べきれないことをピーマン地獄と呼ぶ。
●実に日光が強く当たると日焼けで、色が白く抜ける。病気ではない。場所が移動できるのであれば変える。
●何かの拍子に実が歪んだら、成長してまっすぐになることはないです。

9月〜10月の作業

冬越しという方法も基本的には霜が降りるまで収穫して、引っこ抜いて廃棄するのが普通。でも、冬越しさせて収穫することも可能。でも、苗が安いのと、手間がかかるので普通はしない(でも、ガーデナーはやってしまいがち)。10月の末の霜が降りる前に掘り上げて5号〜6号の鉢に移植する。最初の分岐を残して剪定する。気温10度以上を保つ。挿木での越冬はむつかしい。

冬越しすると5月から収穫も可能で有利なんですが、ナス科はウィルス病もあって、これを持ち越しする可能性もあるので、毎年苗を買い替える方がよいです。
病害虫尻腐れ
カルシウム不足だと尻腐れを起こす。苦土石灰をやって予防する。すでに症状が出ている場合は、土にやっても効果が出るまで時間がかかるので、水で溶かして葉っぱにジョウロで散布する。

ホオズキカメムシ
カメムシが発生します。ピーマンの茎葉から汁を吸い、弱らせるだけでなく、ウィルス感染させる。幼生はアブラムシと見間違って、アブラムシの薬剤をかけていたら全然効かないから、よく見たらカメムシってことがあります。肥料が多すぎると発生しやすい。葉の裏に卵を産むので、蚊取り線香の熱で炙り焼くといいです。もしくは葉っぱをむしって踏み潰す。

タバコガ
孵化後、幼虫は葉を食べ、大きくなると実を食べる。葉っぱを食べるうちは、なんとも思わないが、実を食害されると腹が立つし、収穫して台所で割って内部に芋虫がいるのでショックを受ける。早めに薬剤(ゼンターリなど)で駆除したい。芋虫系に効果があり、人間には影響のないBT剤があるので、これを使います。もしくは防虫ネットで覆います。
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ホコリダニ
発生したらアーリーセーフ・コロマイト・アファームを散布する。植え付けの時にモベントをやると予防できる。パッと見にはなにも虫が見られないが、新芽の汁を吸い、黒く縮れてしまう。これだと新芽が伸びない。
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コナジラミ
コナジラミが発生する。葉や茎の汁を吸って弱らせる。成長点(新芽)にたかってチリチリにしてしまう。

モザイク病(ウィルス)
葉っぱにモザイク状の模様が出てきたらモザイク病です。アブラムシなどの汁を吸う害虫が他の草のウィルスを運んで来るので、近くの雑草を刈っておくことで予防は可能。感染したら治療はできず、他の株まで感染するので、株は廃棄する。

ナメクジ
湿度が高い梅雨〜夏とナメクジが発生しやすい。葉っぱを食べ、葉の上に歩いたヌラヌラと光る跡が残る。ナメクジの誘引・駆除剤でほぼ見かけなくなる。

青枯病
病原菌によって葉っぱが青いまましおれてしまい、枯れていく病気で、土壌に潜んで何年かは感染が続くことになる。発生したらイネ科マメ科を栽培することで、回避します。

コガネムシ
コガネムシの幼虫が根を食べると、調子を崩して、最後は枯れます。健康的な葉っぱがポロポロと落ちていくのはコガネムシの可能性が高い。鉢植えなら鉢ごと水に沈めると窒息死させられる。もしくは薬剤で駆除します。

病害虫の雑記●窒素不足・マグネシウム過剰・密生や多雨などによる湿害で葉っぱが黄色くなってしまう。ピーマンは湿害に弱い。
●肥料過多になると、葉っぱがカールしたり、葉っぱの縁(フチ)が枯れ込んでくる。
●花は雨に当たると落ちやすい。ある程度は大目に見る。
特徴・由来・伝承日本ではピーマンといえば緑のものが有名ですが、これは未成熟のピーマンで熟せば黄色や赤、橙色へと変わっていく。

ピーマンの語源はフランス語の「トウガラシ」である「ピマン」だとかスペイン語の「トウガラシ」である「ピミエント」だとか言われていますが、どちらにしてもトウガラシなので、日本人にとってはどっちでもいい気がします。

その名前の由来のとおり、ピーマンはトウガラシの栽培品種の一つ。トウガラシの辛味成分「カプサイシン」が作られる遺伝子が無いためにピーマンはトウガラシのような辛さが無い。
ピーマンとパプリカは品種が違う。ちなみにパプリカはハンガリー語。

最後に

ピーマンは育てやすいので、初心者でもたくさん収穫できるんですが、そのせいでスーパーでもお安く買えるため、作るほどでもない…ってこともあります。家庭菜園は趣味でやるものなので、コスパで語る意味はないんですけどね。

栽培してお得になる野菜については以下のページを参考にしてください。
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