ナデシコの育て方
学名などの基礎データ
最終更新2024-02-19
植物名 ナデシコ
科名 ナデシコ科
属名 ナデシコ属
学名 Dianthus
別名 ダイアンサス
水やり 水控え目
場所 外の日なた
難易度 中級者向け スポンサーリンク
ナデシコとは? ナデシコ(撫子)は
ナデシコ科 の
宿根草 (
多年草 )。春(3月〜5月)か秋(9月〜10月)に種をまくか、苗を植え付け、開花は4月〜8月の
夏の花 。
四季咲き 品種は11月まで開花します。非常に強い植物ですし、元々日本に自生しているものなので、
水やり と
肥料 以外は植えっぱなしで、充分元気に育ってくれます。
ただ、ナデシコにはいくつか種があり、日本古来の
カワラナデシコ 以外は夏の暑さに弱く、
切り戻し など対策をして
夏越し するか、夏に枯れる
一年草扱い にされることがあります。
カーネーション とは似ていますが性質が違います。
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ナデシコの仲間 ナデシコ(撫子)はカーネーションを除いたナデシコ属(ダイアンサス属)の総称であることが多いです。いくつかの種があるので参考にしてください。
カワラナデシコ カワラナデシコ(
河原撫子 ・Dianthus superbus L. var. longicalycinus)は日本に自生するナデシコで多年草で常緑。
秋の七草 の一つとされるのはこのカワラナデシコのこと。ヤマトナデシコ(大和撫子)もこちらの種のこと。日本で自生しているものなので、栽培は容易で夏越し・冬越しは問題なく可能。草丈は30cm〜80cmと高め。開花は7月〜10月とされるが、雪に埋もれなければ冬もポツポツと少しではあるが開花する。
花色、立ち姿などが日本人の感性に合っているので庭に植えるならカワラナデシコがいいと思います。手間もかからないし。
ビジョナデシコ ビジョナデシコ (
美女撫子 ・Dianthus barbatus)はは別名に
髭撫子 ・
アメリカナデシコ などあるナデシコ属の多年草。ただし夏に高温多湿で枯れるために
一年草 として扱われることが多い。でも、夏越しできなくもないし、冬越しして翌年も咲きます。草丈は
矮性 種は20cm、その他の種は50cm前後になる。在来種と四季咲き品種とがあり、在来種は寒さに当たって開花するが、四季咲き品種は低温に当たらなくても開花する。開花するといい香りがする。開花するとかなり派手。
セキチク セキチク (
石竹 ・Dianthus chinensis)は中国原産ではないかとされるナデシコ属で平安時代には日本に渡来していたらしい。日本ではセキチクの品種改良がされていて、イセナデシコ・常夏などが生まれたとされます。常夏はカワラナデシコとも自然に交雑しているらしい。
ただ、常夏という名前は「まるでずっと夏であるかのように開花する」という四季咲き性質を漠然と表していて、一種を現した言葉ではなく、特定の種を指しているかどうかは結構怪しいと思います。
参考:
セキチク 、
西洋石竹 イセナデシコ イセナデシコ(伊勢撫子)はカワラナデシコとセキチクの交配品種とされる。花びらが垂れ下がり、インパクトがある。江戸時代に伊勢地域ではナデシコ栽培が盛んで、19世紀に現在のような花びらの長いものが作出されたとされる。
テルスター テルスターはセキチクとビジョナデシコの交配品種で、よく流通しているナデシコの一種。寒さに強く、夏の暑さにもそこそこ強いため、切り戻しなどすれば夏越しも可能。四季咲き品種は長期間開花する。
タツタナデシコ タツタナデシコ(Dianthus plumarius)はヨーロッパのナデシコ属の宿根草。日本の夏に弱く、夏越しできないことが多いため一年草扱いにされることもあるが、夏越しはできなくもない。草丈は30cmほど。花色は主にピンク。タツタは龍田香というお香の香りから来ている。香りがよいナデシコ。
管理場所・日当たり 日当たりがよく、風通しが良い場所を好みます。春と秋は戸外の日当たりで管理。夏・梅雨の蒸れに弱いのでこの時期は特に風通しの良い場所に移動してください。冬は霜の当たらない軒下の日当たりで管理します。
霜には当てないほうが良い
ナデシコ属は寒さには強いのですが、品種によっては霜に当たると傷んでしまいます。枯れるわけではありませんが、何度か当たると本当に枯れます。そこで、霜よけをしてやります。もしくは軒下などに移動します。何かの木の下などであれば、大丈夫です。とにかく直に霜が何度も当たらなければ大丈夫です。
●関東では越冬と書いてある場合、そうは書いてなくても「軒下で霜に当たらなければ」という条件であることが多い。特に最近作られた
園芸品種 ではそういうのが多いので、当てないようにするといいです。
水やり 土が乾いていたら、水をしっかりとやります。乾燥気味を好み、水をやりすぎると蒸れて葉っぱが傷んだり、根が腐ってしまします。庭植えの場合はほぼ自然に降る雨だけで間に合いますが、乾燥時期は水やりをします。ただし、蒸れに弱いので水のやりすぎに気を付けてください。
根を張るスピードが速く、
水をやってもやってもしおれる場合は、根が張って、根詰まり していて保水力が落ちています ので、大きな鉢に植え替えてあげます。
肥料 四季咲き以外は3月〜5月、9月〜10月に月に二回、液体肥料をあげるか、月に一回緩効性化成肥料をやってください。四季咲きナデシコの場合は、開花しているようならば年間を通じて肥料をあげてください。
●肥料はリン酸の多いものをやると花が咲きやすいです。難しく書きましたが、リンが適切に配合されている通常の液体肥料や化成肥料でいいですよ。
植え付け・植えかえ 時期 撫子の植え替え時期は、春(3月〜5月)か秋(9月〜10月)が適しています。
種まき 3月〜4月か9月〜10月に種まきします。ナデシコ属の
種子 はいくらか百均にも売っています。ポットに
用土 を入れ、種を3粒か4粒まいて、5mmほど土を被せて、水をやります。日陰で乾燥しないように管理していると発芽します。発芽したら間引き、葉っぱは4枚か5枚になる頃には一本立ちに仕立てます。これを庭か鉢に植え付けます。
●
摘芯 (ピッチ)を施すと、脇芽が生えてきて、
花芽 が増えますので、ポット苗の新芽が少ないと感じた場合は早めに摘芯をしてください。
用土 市販されている花と野菜の土でも大丈夫です。自作するのであれば、少し
水はけ の良い
赤玉土 5
腐葉土 2川砂2を混ぜたもので植え付けをします。
鉢植え 鉢は
7号鉢 に1苗を植える。根詰まりしているなら植え替えをします。春(3月〜5月)の植え替えなら、多少土を落として根を整理してもいいです。これは土を落として植え替えるダメージを春から夏の成長時期に簡単に取り返せるからです。秋の植え替えは土を落とさないで植える。鉢→庭植えも可能です。
鉢底の穴を網で塞いで、その上に水はけをよくするための
軽石 を2cmほど入れ、その上に用土を入れ、株を入れて、隙間に用土を入れて、最後に水をやって完成です。
庭植え 基本的に庭植え推奨です。ナデシコは庭植えにすると株が大きくなり、生育も明らかに良いです。株間20cm以上を取ります。春〜夏によく生育して隙間を埋めるので、株間はちゃんと取りましょう。
植え付けの1週間前に深さ20cmを掘り返して、庭土に対して2割ほどの腐葉土か
堆肥 を足して、よく混ぜて用土とします。用土を半分戻して、苗を20cm間隔で植え付けていきます。最後にしっかりと水をやって完成です。
●春にポットの苗を植える場合に、ポットから苗を出してみたときに土が根で真っ白になっていたら、軽く根をほぐしてから植え付けます。こうしないと根付きが悪くなることがあります。
摘芯 成長点を切って脇芽を出させることを「摘芯」と言います。脇枝が少ないなら、頂点を切って、脇芽を出します。枝が増えると花が増えますので、摘芯するかしないかでは花の数が全然違います。
切り戻し・夏越し対策 ナデシコ属の中でも外来種は日本の梅雨・夏の高温多湿が苦手なので、梅雨前か夏前に株全体を半分ほど切り戻し、傷んだ葉っぱを取り除き、葉っぱを間引いて風通しをよくします。また、夏はできれば風通しの良い
半日陰 に移動させます。
対策をすれば、大体は夏越し可能です。
●切り戻しには摘芯の効果もあり、脇枝が出て株が大きくなります。
挿木で増やす 挿木 は5月か9月に行います。3節切って、赤玉土単用を入れたポットに挿します。開花した枝は失敗するので、咲いていない枝の脇芽が出ているものを使うといい。切り口はカミソリで斜めに切って、
水揚げ する。水揚げは切り口を水に30分ほど浸けること。水揚げは葉っぱの先まで水を行き渡らせて、発根するまでに水切れしないようにする作業です。あとは切り口にルートンをまぶすとなおいい。
節から発根するので節が土に埋まるようにしてください。斜めに節が土に埋まるように埋めて、乾燥しないよう水をやって日陰で管理していると2週間で発根する。発根して葉っぱが出てきたら植え付けます。
●赤玉土単用など、肥料も雑菌もないものを使うといいです。
花ガラ摘み 花がしぼんだら、種子ができる前に摘む。これを
花ガラ 摘みといいます。種子を作ろうとすると次の花が咲きづらくなり、株も弱くなってしまう。手で花を摘んだら、根本から抜けることがあるのでハサミで切ったらいい。もしくは節で折りましょう。
種の採取 花が終わった後、花ガラをそのまま放置しておくと、そのうちいくつかは種子ができます。花ガラのみならず
花茎 の部分まで枯れだしたら、種子が完熟して取りごろです。花びらの部分だけが枯れた時点ではまだ種はできていないので、花茎まで枯れが及ぶのを待ちます。
病害虫 サビ病
サビ病が発生する。ナデシコ類は発生するが、カーネーションはあまり発生しない。カリグリーンで予防する。カリグリーンは挿木をする時にも使うといいです。
灰色かび病
花に灰色のカビが生える。風通しが悪い、水やりが多いなどが原因。水はけ良い土で植えたり、風通しの良いところで管理することで予防できます。
ウィルス病
葉っぱに模様が出て、徐々に弱って枯れていく。原因がウィルスで感染すると治療はできず、他のナデシコにも感染してしまう。感染した株の汁を吸った
アブラムシ や
ハダニ が別の株の汁を吸うだけで感染するので、発症したらすぐに廃棄する。
ウドンコ病
葉っぱに粉を吹くカビの一種。株が健康で風通しがいいと発生しないし、発生してもいつのまにか治っている。発症した部分を取り除き、廃棄し必要ならば薬剤を散布する。
ハダニ
小さな虫で葉っぱの裏に潜んで汁を吸う。乾燥を嫌うので、葉っぱに水をかけることで予防ができます。アーリーセーフを散布するといいです。ウィルス病の原因になるので予防しておきたいです。
クロウリハムシ
黒い甲虫で、葉・花を食べる。前もって
オルトラン を撒いておくか、ベニカスプレーをかける。ダントツ水溶剤でも。ホタルのような見た目ですが蛍ではないです。
アブラムシ
葉や茎の汁を吸う。新芽にたかり、弱らせる。オルトランを前もってまいておくと予防できます。ウィルス病の原因になるので予防し、発生したら早く駆除しましょう。
ヨトウムシ
ヨトウムシ は夕方以降に土中から出てきて、葉っぱを食べる。食害され、糞が落ちているのに、虫が見当たらない場合はヨトウムシ。土の浅いところに潜んでいるので、軽く掘り返すと発見できる。もしくは夕方に見張りする。
モグラ
庭に現れる
害獣 。土中に穴を掘ってしまう。
モグラ を参考にしてください。
特徴・由来・伝承 日本では万葉集に読まれたり、異名である「常夏」は源氏物語の巻名の1つとなっているように、昔から愛された植物です。特に平安時代には貴族に愛されました。ところで異名の常夏は、四季咲きに改良されて、夏のようにずっと咲くために名づけられました。
「大和撫子」という言い方は、日本古来のカワラナデシコのことを指し、「常夏」と区別する為に呼ばれ始めました。常夏という言葉が「床」…つまり寝床を連想させ、性的なイメージから女性に結びついたと言われています。現在の言葉で「ヤマトナデシコ」と言うとそれは「清楚でおしとやかな女性」を意味します。これは咲き姿が咲き乱れるというものではなく、凛としていることから来ています。
フランスで自生していたナデシコを改良したものがカーネーションと言われています。その後江戸時代にはカーネーションは日本に来ています。
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