シクラメン栽培の詳細版…濃厚テキスト版

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シクラメン(詳細版)
目次
シクラメンの特徴は?
水やり
肥料
管理場所…長く楽しむコツは温度!
花が終わったら摘む
トラブル
病害虫
関連記事
学名や栽培スケジュール
x最終更新
植物名
シクラメン(詳細版)
科名
サクラソウ科
属名
シクラメン属
学名
Cyclamen
別名
篝火花・豚の饅頭
耐寒
5度
水やり
水を好む
場所
室内
難易度
中級者向け
シクラメン(詳細版)の開花時期…植え付け・植え替え時期…肥料時期…月別スケジュールです。
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シクラメンの特徴は?

シクラメン(詳細版):シクラメンの特徴は?
シクラメンサクラソウ科球根植物。日本では冬に流通するのですが、決して寒さに強いわけではないです。よくお歳暮でプレゼントされ、コツを知らずに枯らしてイメージが悪いですが、室内の涼しいところで管理し、水を切らさなければ冬(11月)から春(3月4月)までの長期間開花してくれます。

最近はギフトの園芸種からシクラメン栽培に興味を持ち、原種シクラメンに手を出してマニアになっていく人も多いです。

ギフトのシクラメンを長く楽しむコツは気温(10度前後)の場所で水切れを起こさないようにし、肥料切れを起こさないように追肥することです。温度については管理場所の項目を、水切れは水やり、肥料切れについては肥料の項目をチェックしてください。
シクラメンの中から寒さに強いもの選抜して交配させて、霜に当たっても枯れないようになったガーデンシクラメンもあります。ガーデンシクラメンは寒冷地でなければ戸外で越冬します。ただし、小型です。
参考:シクラメンとガーデンシクラメンとミニシクラメンの違い
このページは初心者や冬〜春にかけて栽培するだけの人にとっては冗長かなと思います。そこで、短く簡略にしたページもありますので、初心者ならシクラメン(簡略版)のページを参考にしてください。
赤は「嫉妬」、白は「清純」、ピンクは「憧れ」や「はにかみ」の意味があるとされます。
花をよく見ると、グロリオサのように、花びらがひっくり返って咲いているのが分かります。シクラメンは花は下を向いて咲き、花びらを上へと反り返らせます。これは自生地では雨季に開花するシクラメンが雨に当たって花粉が流れていかないようにするためです。
燃え盛るかがり火のようであることから、別名はカガリビバナ(篝火花))。

また、球根の形状から「豚のまんじゅう」という別名もあります。これはシクラメンの球根が(有毒にも関わらず)大航海時代以前では保存できる食料として利用されていたからです。ジャガイモの普及によってシクラメンは食料から観賞用になりました。ジャガイモも新芽は毒なんですが、食用としてはジャガイモが優れていますから当然ですね。
布施明の名曲に「シクラメンのかほり」がありますが、一般的に流通しているシクラメンには香りはない。ただし、この歌が流行ったことで「香りのあるシクラメン」が開発されて流通したことがある。
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シクラメンは雨季と乾季のある地域(地中海沿岸など)の植物で「涼しい雨季」が開花時期になり、それが日本で言うところの「冬」にあたります。雨季の最低温度は8度くらいで、日本の冬に比べると暖かいですね。

シクラメンが休眠する乾季は日本の「夏」にあたり、休眠すると葉っぱも花もなくなって、ただの球根になります。

シクラメンはこの雨季と乾季の中で高温乾燥の乾季に休眠し、涼しくなってくると目を覚まして開花するというサイクルを繰り返します。それで冬に咲くといっても寒さに強いわけではなく、また気温が上がる…20度あたりになると乾季が来たと考えて、休眠しようとしてグッタリするわけです。なのでグッタリするのは弱っているのではなくて「健康的な生理現象」なんです。

そして休眠に入るのですが、この休眠時期が乾燥する自生地とは真反対に日本は多湿で、この多湿でシクラメンの球根は枯れることが非常に多いです。

なのでシクラメンの栽培は冬は10度前後の涼しいところで管理するのがコツになり、夏は風通しよくして多湿を避けるのがコツになります。
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水やり

シクラメンは雨季と乾季がある地域の植物で、葉っぱが出ている10月〜3月は水をよく吸い上げるので、水切れしないように水やりをします。底面給水がある場合は底面給水の部分に水を溜めているといいです。生育時期はずっと水が溜まっているようにしましょう。

ちなみに水が不足してくると葉っぱが少しシナっとなり、足しているとパリッとしているので慣れると一目で分かります。
底面吸水じゃない鉢の場合は、土に水をやるようにし、土から飛び出している球根部分に水が掛からないようにしてください。球根は湿気に弱いです。一回でも水をやれば枯れる――という訳ではありませんが、毎回球根に水が掛かっていると徐々に傷んできます、という感じです。

水は、通常の植物の水やりと同様に鉢底から染み出すくらいにしっかりとやりましょう。口の細いジョウロがあるとやりやすいです。葉っぱがたくさんある時期は葉っぱを持ち上げて、ジョウロの口を入れて水やりをします。

底面吸水の場合でも、たまに土への水やりをすると、土中の肥料成分が溶け出して吸収されるので、たまには土への水やりをするといいです。
4月〜9月は気温の上昇とともに活動が鈍くなりますので水やりを控えます。夏は完全に水を切ってもいいくらいです。5月以降は底面給水のカップは外します。ここに水が溜まっていると蒸れて球根が腐ってしまいます。

春以降の水やりの詳細はシクラメンの休眠させない夏越し(ウェット法)シクラメンを休眠させる夏越し(ドライ法)もしくは3月のシクラメンの管理4月のシクラメンの管理5月のシクラメンの管理を参考にしてください。
シクラメン(詳細版):肥料
シクラメンはよく開花します。葉っぱ一枚に対して花が一つ咲くとされます。開花するには肥料が必要です。販売しているシクラメンにも最初からある程度の肥料は入っているんですが、それでも次々に開花してしまうため、管理して一ヶ月か二ヶ月ほどすると肥料が切れて、花が止まってしまいます。

肥料が切れたら、液体肥料を週に一回程度やるか、シクラメンの専用の肥料(栄養剤)があるのでそれを説明書きの頻度通りにやってください。液体肥料は薄めて土にやるといいですし、液肥を薄めたものを底面吸水に溜めてもいいです。

近くの店でシクラメン専用肥料が置いていない場合は、汎用の室内植物用の肥料を使います。室内用の肥料は無臭なのが重要なポイントです。

春以降…気温が20度以上になったらは生育が鈍くなり、徐々に休眠に入るので肥料はやりません。
一般的な化成肥料(固形肥料)でもかまいません。化成肥料は鉢のフチ近くに置き、球根には当たらないようにします。その上で、肥料の上から水をかけてください。肥料は水に溶けてから、根から吸収されるので、化成肥料を置いた場合は、土への水やりを2週に一回はやってください。でないと成分が吸収されません。
管理場所は室内の5度〜15度の場所が適していて、氷点下・霜に当たると枯れ、20度以上になると花がしなびます。暖房がかかっている場所…例えばリビングでは18度以上になっているので避け、涼しい玄関や廊下などで管理します。できれば日当たりがよいですが、冬は日当たりより温度を優先します。

管理場所の詳細はシクラメンの置き場所・適切な温度についてを参考にしてください。

寒冷地での管理場所については北海道や東北などの寒冷地での育て方(シクラメン)を参考にしてください。
窓の近くは寒波が来ると氷点下まで下がり、グッタリしてしまいます。寒波が来る夜は室内の奥へ移動させてください。
シクラメンは雨季と乾季のある地域の植物で、日本の「冬」が雨季にあたり、日本の「春」が乾季になります。ということは春以降は高温から徐々に休眠状態に入るのが通常で、これまでとは全く違ってきます。

詳細は3月のシクラメンの管理4月のシクラメンの管理5月のシクラメンの管理を参考にしてください。
花が終わったら、葉っぱの中に指を突っ込んで根本からひねって抜きます(花ガラ摘み)。プチって音がします。ハサミで切ると、切り残しが腐って病気の元になります。花を放置していると腐って病気の元になったり、種子を作ろうとして株が弱ります。マメに摘んでやると次々と開花して長期間楽しめます。

ちなみに種子ができた場合は「開花後に種子が…種まきと育苗のまとめ(シクラメン)」を参考にしてください。

トラブル

室温が15度以上だったり、水切れするとグッタリしてシナシナーとしなびてしまいます。置き場所を見直し、しおれる理由と復活のための対処法(シクラメン)のページを参考に対処してください。
大抵は日光不足が原因です。日当たりより涼しさを優先した管理をしていると、どうしても日光不足で葉っぱが黄色になります。開花が止まっているなら日当たりへ移動させ、回復を待ちましょう。その際、肥料はやらないでください。肥料をやると余計に弱ります。

その他の原因のこともあるので枯れた?葉が黄色くなったら…シクラメンが傷む原因と回復法のページを参考にしてください。
花が咲かないのは肥料不足、日光不足、温度が上がりすぎ、寒さに当たったといった環境が原因であることが多いです。その場合は置き場所や肥料を見直しましょう。そうでない場合は葉組をすることで解消されることがあります。

シクラメンは球根上部に日光が当たらないと花が咲きません。そこで、花茎を中央にまとめて、中に日光を当ててやる必要があります。これを葉組といいます。葉組については葉組み(シクラメン)のページを参考にしてください。
花の色がおかしい、球根が割れるなどのその他のトラブルについては栽培でのトラブルと対処法(シクラメン)のページを参考にしてください。
ハダニアブラムシ灰色カビ病などが発生しますが、購入後〜冬の間はほぼ虫は見られない。夏越ししないのであれば、あまり関係のない項目です。
葉っぱに白い糸が絡み付いていたらハダニを疑う。乾燥すると発生しやすい。シクラメンは水が多いと腐り、球根に水がかからないように乾燥気味に管理することが多いため、よく発生する。葉っぱの裏から汁を吸い、葉っぱが掠れるように見える。葉っぱの裏に住むので、葉っぱを裏返して確認する。ハダニにはベニカXなどを。
フザリウムという菌が起こす病気で、シクラメンの維管束をつまらせる。ぱっと見、カビもなく変色もなく葉や花が軟化してグニャグニャになったり、黄色くなって枯れるのは萎ちょう病の初期症状。しばらく枯れていなくても、球根に菌が残っているため夏越しできずに枯れてしまう。ベンレート・タチガレンを使うと多少効果があるかもしれない。完治はできなくもないが、厳しい。基本は廃棄。もしくは感染拡大を避けるために、他の株と隔離してベンレートの定期投与で治療を目指す。予防にダコニールを使っておくといい。
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ウィルス病に感染すると葉っぱに模様が出て、徐々に弱って枯れていく。原因がウィルスで治療方法はなく、感染したら廃棄するしかない。アブラムシ・ハダニ・カイガラムシスリップスといった虫が他の植物から持ってくる他、ハサミを消毒せずに使い回すと感染する。

ウィルス病というとモザイクの模様が浮き上がるが、シクラメンの場合はハッキリせずよく分からない。
灰色カビ病は花に灰色のカビが生える。灰カビ病はかなり湿度が高い状態(90%くらい)じゃないと発生しないので、水やりを減らし、風通しをよくすることで防げるし、カビの花を花茎ごと抜けば回復もする。発症したらトップジンM水和剤などで殺菌する。
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ダンゴムシは腐ったものから食べる。なので害にはならない、と思いがちだが食べるものがなくなると生の植物も食べます。意外とヤバイ。見つけたら排除しておきましょう。球根にダンゴムシがたかっている場合、球根が腐って食べられたのか、食べられた結果なのかはよくわからないが、球根は消毒し、ダンゴムシは駆除しましょう。
ウドンコ病は白い粉を吹いたようになるカビ。株が健康なら発症しても回復する。発症したら薬剤を散布して治療します。
アブラムシは葉っぱの汁を吸う小さな虫。新芽を好み、変色させてダメにしたり、歪にさせる。発生したら、テデトールするか薬剤で駆除する。アブラムシなどの汁を吸う虫によってウィルス病に感染させられるので、早めに対処しましょう。
スリップスは葉っぱに被害を与える虫。アブラムシ・ハダニ同様にウィルス病感染の原因になるので発見次第、捕殺するか薬剤で駆除する。放置していると爆発的に増えて他の植物にも被害がある(というか、他の植物からやってくるので、そちらも早めに駆除する)。
●ダニやその他の虫がが植物の成長点(芽の先)で汁を吸うと奇形になる。
●指で球根を押してみて凹んだら、それは腐っているか、中身を虫に食べられています。
●夏に戸外で管理すると虫にやられる。グリーンベイトなどで防虫を。
●虫は他の植物から移ってくるので、他の植物に被害があれば駆除する。また、雑草が生えているとそこから移ってくるので、雑草を取り除くとかなり予防できる。
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